【読了】乙一「夏と花火と私の死体」
乙一「夏と花火と私の死体」
乙一さんの作品は中高生ぐらいの時に何冊か読んだことがあって、ホラーの人というイメージがあります。
「ほんタメ」で紹介されているのを観て、そういえば最近読んでなかったなぁと懐かしさ込みで読んでみました。
夏休みの間、仲良しの女の子とその兄と遊ぶことを日課にしている「私」は2歳年上の彼のことが好きで、同時に彼が年上の従姉妹に惹かれていることも知っていた。ある日の午後、木から落ちた私は死体となり、私の好きだったひとは妹のために私の死体を隠そうとするのだった。
語り手はずっと「私」で、死体となった後も変わらないのが不思議に思いつつ、大人しくも淡々とした語り口にそういうものだとすんなり受け入れてしまう。
まだ年端もいかない子どもがもつ残酷さと賢さが、あぁ、乙一さんてこういう作風だったなと思い出させてくれました。
基本的に乾いているところに、少しだけ顔をだす湿り気や、最後にちゃんと怖さをもってくるところも含めて懐かしく面白かったです。
後で知りましたが、乙一さんはこれがデビュー作だったそうで、なんだか最近このパターンが多い気がする。
他の作品を読んだことがあるからか、デビュー作とはいえ既に作風も世界観も完成されている感じがします。
もう何年も経っているけど末恐ろしいですね!
(Twitter20230202投稿文の再掲)