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【読了】凪良ゆう「すみれ荘ファミリア」
凪良ゆう「すみれ荘ファミリア」
TLに流れてきた本
下宿の住込み管理人をしている主人公は、ある日自転車で男性をひいてしまう。彼は利き手の怪我が治るまで面倒を見てほしいと、半ば強引に下宿に転がり込んできた。
内容とは関係ないけど、つい先日TLでみた「面倒くさいことは大体大事なことだ」だったか「大事なことは大体面倒くさい」だったかの文言がまさにこの作品に描かれていて、面倒くさがりな自分を少し反省…。
どんな文脈で紹介されていたのか忘れてしまったけれど、著者の読んだことのある別作品からなんとなくの当たりをつけて読んでいったら、あれ?と思わされました。
下宿に住むある人の告白、と付けられたサブタイトルは伊達ではなかった。
視点こそ変わらず主人公にあるのだけど、彼にわかっていたことと住人が内に秘めていたことの乖離は大きく、ギャップの在り様がリアルでした。
ひとは見せたい自分しか見せようとしないし、見る方もまた見たい部分しか受け取れないのだと思う。
隠されていたものの存在を思いがけず知ってしまったら、自分の見方を変えていくのか、それまで見えていた部分を信じていくのか。
当初、流されていくばかりだった主人公が少しずつ変わっていって、それでも根っこのところは変わらずあるのにほっとしました。
それが彼の気持ちとは異なっていたとしても外からは変わらず「優しさ」と受けとめられることも含めて。
(20240721投稿文の再掲)