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【読了】北沢陶「をんごく」
北沢陶「をんごく」
「ダ・ヴィンチ」でみて気になっていた本。
東京で画家をしていた主人公は関東大震災を機に大阪に戻るが、地震の際の傷が元で妻は他界してしまう。妻の死を認められず、彼は口寄せができるという巫女を訪ねる。
装丁や目次からわかりやすい怪談なのかと思いましたが、読み始めると夫婦の情愛がしっとりと滲む作品でした。
主人公の一人称というのも少し久しぶりかも。
やわらかな口調で語られる巫女とのやり取りや妻との思い出を通して、情愛の深さが伝わってきます。
派手な怖がらせ方はなく、怖さとしてはおとなしめでしたが、ハッと息を飲む迫力あるシーンもあり印象的で良かった。
タイトルの「をんごく」が何なのかも含めて満足度が高く、余韻の美しい作品でした。
(20240504投稿文の再掲)
・第43回 横溝正史ミステリ&ホラー大賞