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【読了】小西マサテル「名探偵のままでいて」
小西マサテル「名探偵のままでいて」
「ほんタメ」で紹介されていた本。
主人公は認知症の祖父の様子にある違和感を覚えていた。発症から2年、病について口にした主人公に、祖父は記憶のままの凛とした姿で、あることを告げた。
認知症というと色々なことを忘れてしまうもののように思っていましたが、実際は様々な症状があるらしい。
とはいえ恍惚の人と呼ばれるように、曖昧な状態で過ごす時間も多いものなのだろう。
主人公はそんな祖父を見舞うたびにありし日の記憶を思って泣きたいような気持ちになるのですが、一方で、あの祖父が失われるはずはないと強く信じてもいるのです。
こう書くとしんみりしてしまいそうになりますが、ある事実を確認したことで、主人公と祖父との間に新しい関係が生まれます。
恍惚と傾眠の狭間にあらわれる奇跡のような時間。
読み手としては少々やるせない気持ちになるけれど、近しい親族ならではの関係性というのもあるのかな。
温かな読後感の作品でした。
(20240420投稿文の再掲)
・第21回 『このミステリーがすごい!』大賞