見出し画像

現代文明への警鐘~南海の酋長ツイアビが見た『パパラギ』社会の矛盾と弊害

現代文明への警鐘~南海の酋長ツイアビが見た『パパラギ』社会の矛盾と弊害

はじめに

南太平洋の島々に住む人々は、白人のことを「パパラギ」と呼んでいる。本書は、20世紀初頭にサモア諸島を訪れたドイツ人青年によって記録された、パパラギ社会を初めて目にしたサモアの酋長ツイアビの演説集である。ツイアビは鋭い洞察力で、当時の西洋文明の矛盾と弊害を指摘し、警鐘を鳴らしている。

1. 物質主義への警告

ツイアビは、パパラギが物の豊かさを追求するあまり、心の豊かさを失っていると指摘する。「物がたくさんなければ暮らしていけないのは心が貧しいからだ」という言葉は、現代社会にも通じる警句である。物質的な豊かさを求める一方で、精神的な充実を忘れてはならない。

2. お金崇拝への批判

パパラギ社会では、お金が「本当の神様」となっていると、ツイアビは言う。宣教師もお金に買収され、サモアの人々をだましたと主張する。お金持ちに対する世間の尊敬も、本人ではなくお金に向けられたものだと喝破する。現代社会でも、お金至上主義に陥る危険性は常にある。

3. 自然から遠ざかる文明への疑問

パパラギの中には、「朝露が草の上で光っている限り、青空の下をはだしで歩こう」と主張する者もいたというエピソードから、ツイアビは自然と調和した生き方の重要性を説いている。現代社会は利便性を追求するあまり、自然から遠ざかりつつある。自然との共生を忘れてはならない。

4. 真の豊かさとは

サモアは物質的には貧しいが、人々の目は「喜びに、力に、いのちに、そして健康にあふれ、輝いている」とツイアビは言う。対するパパラギの目は「かすみ、しぼみ、疲れている」。真の豊かさとは、物の豊かさではなく、心の豊かさにあるのではないか。

おわりに

ツイアビの演説は、100年以上前のものでありながら、現代社会への鋭い警鐘となっている。物質的豊かさを追求する一方で、心の豊かさや自然との調和を忘れてはならない。私たちは、ツイアビの言葉を胸に刻み、より良い社会を目指していく必要がある。

本稿では、酋長ツイアビの演説集「パパラギ」を通して、現代文明への警鐘を鳴らしている。物質主義やお金崇拝への批判、自然から遠ざかる文明への疑問を投げかけ、真の豊かさとは何かを問いかける内容となっている。ツイアビの言葉は100年以上前のものでありながら、現代社会にも通じる普遍的なメッセージが込められている。私たちは彼の洞察を糧に、より良い社会の実現に向けて歩んでいくべきだろう。​​​​​​​​​​​​​​​​


いいなと思ったら応援しよう!