サービスの成長とインハウスデザイナーに必要なこととは?―Design Cross 2019を振り返って―
Design Cross 2019とは?
先月行われたインハウスデザイナー向けのカンファレンス「Design Cross 2019」では、toC領域を軸に事業を行っている様々な分野の企業10社の方々が登壇し、そのお話を聴いてきました。
いまインハウスデザイナーをしている自分にとって、非常に共感することや考えさせられることが多かったです。
カンファレンスの内容や登壇者の方々の詳細は以下のページで紹介されています。
振り返って考えてみると、主に以下の2点が大きなテーマだと感じました。
①サービスの成長を実現するために必要なこと
②インハウスデザイナーとして必要なこと
今回はそれぞれについて、お聴きしたことと考えたことを交えながらまとめてみようと思います。
(※スライドの写真は自分で撮影したもので、掲載して良いとされていたものを載せています。ブレててすみません…)
①サービスの成長を実現するために必要なこと
今回の話を聴いたうえで、サービスの成長を実現するためには、以下の3点が重要なのではないかと思いました。
1. ブランドのビジョンの共有
2. 共通のものさしをつくること
3. ブランディングの重要性への理解
1. ブランドのビジョンの共有
ブランドのビジョンについては、どの企業の方も重要性を伝えていました。今自分の勤めている会社にもあり、そのビジョンに共感したから入社したので、これは身に染みてそう感じました。ビジョンが重要だという理由は2つあると思います。
1つ目の理由は社内的に必要だから。
会社で働く仲間が同じ目標に向かって進んでいくためには、会社のビジョン・ミッションが言語化されて、皆に共有されていることが大変重要です。
中川政七商店のデザイナー榎本 雄さんも、中川政七商店がビジョンを掲げてリブランディングしてきた経緯と、ビジョンに基づいて作っている商品について話してくれました。
FiNC Technologiesの小出 誠也さんは、ブランディングした際のワークショップなどについて説明しており、1日かけてビジョン・ミッションを決定している会社があることに驚きました。
また、小出さんはnoteにリブランディングの軌跡を詳しく書いてくださっています。
ビジョンが重要な2つ目の理由は、対外的に企業の価値を伝えるため。
企業の大切にしている価値、届けたい思いを対外的に伝えるためにビジョンは必要です。
BAKEの勝部 竜太朗さんが「ブランドを好きになってもらって、広げたいと思ってくれる強いファンを増やすこと」が重要だと仰っていたのが印象的でした。
2. 共通のものさしをつくること
社内で共通言語として指標となるものを作ることで、ブランドを確固たるものにする。そのためには「共通のものさし」が必要となってきます。
「共通のものさし」の話をしてくれたのが、スマイルズの木本 梨絵さん、ピースオブケイクの小谷 麻美さんです。
木本さんは、スマイルズで行っている事業立ち上げの際に、架空のキャラクターを作ってストーリー作りをし、店舗、ロゴ、ビジュアル、メニュー、サービス、皿の選定などを手掛けたといいます。
また、小谷さんはnoteを作り上げるうえで、「noteさん」というキャラクターを作り、noteさんだったらこうする、という考え方に基づい作っていると仰っていました。
ブランドを作り上げる中で、メンバーの共通言語としてキャラクターやストーリーを作り共有することで、ブランド価値がブレないようにすることをしているのです。
これは良いことを聞きました。
自社でもやってみたいですね…
3. ブランディングの重要性への理解
もう一つ大切なのは、ブランディングの重要性への理解だと私は思いました。その理由として、以下が挙げられます。
勝部さんは、 「ブランドの価値を伝えていくことと、売り上げを伸ばすことは同じ時間軸で考えない」、
小谷さんは、「数字だけを重視しない」で、「長期的な成長の妨げになることはしない」、
ラブグラフの村田あつみさんは、ブランド投資は利益に返ってくることを説明していました。
今回参加した企業は、どこもブランディングとデザインを重要視し、成功している企業だと思います。
会社のフェーズなどにもよるとは思いますが、自分でも少しずつ組織に対してブランディングの重要性の認知を広げていきたいなと思いました。
②インハウスデザイナーとして必要なこと
もう一つのテーマに関して、たくさんの意見があったので、まとめると以下になります。
- 共通スキル(対人・対課題)
- クオリティ
- スピード
- サービス愛
- 仕様理解
- 自ら考えること
- 自分で物事を進められる能力
- 主体性(自分事化)
- 共感性
まず共通スキル(対人・対課題)についてわかりやすく説明してくれたのはツクルバの柴田 紘之さん。必要なスキルを筋トレになぞらえて説明していました。
デザイナーとしての専門スキルをアウターマッスル、共通スキルをインナーマッスルととらえ、インナーマッスルが鍛えられていないと、専門スキルも発揮できないということです。
対課題スキル↓
対人スキル↓
これは、エウレカの渡辺 智保子さんが以下のように説明していたことにも通ずると言えます。
サービスに携わる全ての人と関わるインハウスデザイナーだからこそ、共通スキルが必要になります。
また、渡辺さんやオイシックス・ラ・大地の寺内 能之さんが仰っていたように、クオリティやスピード、自分で物事を進められる能力も必要です。
渡辺さんは、ペアーズを作っていく中で求められたものを以下のように、クオリティやスピード、自分で物事を進められる能力が必要と話していました。
サービスの仕様理解も非常に重要です。なぜなら、仕様を理解していなければ企画・提案もできないからです。
渡辺さんが仰っていた中で、一番共感したのがサービス愛です。
結局その気持ちがなければ、サービスを一緒に成長させていこうという気にならないからです。むしろ、サービス愛さえあれば、わりといろいろなことをやれると私は思います。笑
また、寺内さんは、デザイナーとしての自分の価値を高めるポイントに関して説明してくれました。
・デザイナーとして自分の価値を高めるポイント
→ デザイン以外の何にでも興味を持ち、デザインされていないものなどないので、電車の広告でも「自分だったらどうデザインするか?」を常に考え引き出しを増やすこと。
・インハウスデザイナーとしての価値を高めるポイント
→ 企業理解・サービス理解をすること、企画者と同じくらい考えること
そして、CRAZYの林 隆三さんが仰っていた以下のことが印象的でした。
-「共感性が高いことが大切」で、それによって「自分事化」し主体性をもつこと
- 組織のあり方によってデザインは変わり、いいデザインはいい環境から生まれるため、一緒に仕事をする仲間のことを「熱心に一人の人間として知ろうとする」ことが重要
木本さんも、スマイルズでは「自分がどう思ったかを大事にする」と仰っていたので、今までは逆に排除されてきたように感じていた「自分がどうしたいか、自分はどう思うか」という主体性や主観をこれからは大切にしていかなければならないのだと感じました。
まとめ
インハウスデザイナーとして、サービスをより良くするためにどうアプローチしていくか模索中の私には、大変参考になるカンファレンスでした。
ここで学んだことを心に刻みつつ、自分がやらなければならないことをしっかり進めていこうと思います。
追記
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https://design-cross2019-movie.peatix.com/
ご興味のある方はぜひ!