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同調率99%の少女(25) :見学会に至るまで

# 5 見学会に至るまで

 週が変わって演習試合が週末土曜に迫るある日の夕方、川内と神通は鎮守府本館会議室で那珂・提督そして妙高・明石に向かって、ホワイトボードを二人で挟んでプレゼンをしていた。なお、他の艦娘達は出勤してはいるが本館内にはおらず、それぞれ演習試合に向けた訓練に取り組んでいた。

「え~、お手元の資料を見てください。あたしと神通が考えた見学会のプランです。それじゃあ神通説明どうぞ。」
「……えっ!? こ、コホン。それでは、川内さんに代わって説明させていただきます。」

 普段ケロッと明るく適当な雰囲気のある川内は表情が強張っていた。と同時に一挙一動も固い。神通はというと、川内ほど緊張はしていなかったが、それでも先輩や大人勢を目の前に何か言い知れぬ、将来どこかで体験しそうな圧迫した緊張感を得ていた。
 腹に若干鈍い痛みを感じていたが、原因はなんとなく想像できていたので努めて我慢することにして説明に注力した。

「……という流れで当日は見学してもらおうと思います。案内役を一人立てて、ここの時点で他の人と合流し、演習試合に臨みます。ここまでは…大丈夫でしょうか?」
 神通がややうつむきがちに那珂達に視線を向ける。那珂と提督は何かヒソヒソと囁くように話し合い、そして提督が言った。
「うん。流れは問題ないと思う。ただ時間配分が気になるな。神奈川第一との演習試合は15時からの予定だから、準備も含めて、それに間に合うように案内を立ち回れるかい? 君たちの学校の下校時間は12時らしいけど。」
 提督の指摘に神通は視線を足元に下げて考え込む。彼女をフォローするために川内が数分ぶりに口を開いた。
「それは……多分なんとかなります。案内役の人の仕切りっぷりによりますね。だから案内役には、喋りとか色々上手い人にやってもらいたいんですよ。ね、那珂さん。」
「えぇ!? あたしぃ!?」
 那珂はのけぞりながら自分を指差して驚きを示す。川内は言葉なくウンウンと頷いて肯定した。
「もしかしてあたしに案内役しろと?」
「はい。だって艦娘部の部長でしょ?」
「うわぁ~。川内ちゃんってば意外と抜け目ないというかなんというか。」
 那珂の言い方に川内はケラケラ笑う。そんな同僚をジト目でチラリと見た神通は代わりに謝意を述べる。
「も、申し訳ございません。」
「アハハ。いいよいいよ別に。あたしを使うってのは神通ちゃんも同じアイデア?」
「はい。」「はーい!」

 揃って肯定されてはもはや反論しようも拒否する気も失せてしまったので、那珂はわざとらしく大きなため息を吐いて二人に言った。
「はいはい。それじゃあ二人のアイデアに従いますよ。なんたって部長ですもんね。協力してやりましょ。んで、二人はその間何をするつもり?」
 おどけた返事の後に那珂は鋭く二人に尋ねた。川内と神通は前半後半で温度差のある那珂の言葉を受けて、唾を飲み込んで答えた。
「あ、あたしは学校の皆と歩くの嫌だから、夕立ちゃんたちとギリギリまで訓練しようかと。」
「私は……後学のためにも那珂さんと一緒に皆を案内しようと思います。」
 二者二様の考えに、那珂は小さく唸り声をあげながら頭をグルグル回す。その妙な仕草なぞすでに慣れている提督たちはもちろん、川内たちも気にせず黙って見守る。

「まぁ川内ちゃんは……ちょっと事情があるから仕方ないか。それから後で話すけど、演習試合の準備に専念してくれるのは願ったり叶ったりだね。神通ちゃんはねぇ、あたしについて来るんじゃなくて、先回りしておいてくれないかな?」
「先……まわり?」
 那珂のセリフの意味するところがわからず聞き返した。那珂はコクンと頷いて口を開く。
「うん。あたしが案内して説明するところで、何か不意の出来事があったらあたしも困っちゃうの。だから、神通ちゃんはあたしが案内するところを逐一先回りして、その場所で準備をしておいてほしいの。他に人がいたらそこで話をあらかじめすりあわせておくとかね。」
「なるほど……。なんとなく分かる気がします。」
 神通はコクコクと連続で頷いて同意を示した。
 内心では誰か大勢といるよりもそういう役回りのほうが救いがあると思った。自分で提案しておいてなんだが、人見知りしてうまく喋れず反応も返せない自分が、果たして那珂と一緒に案内役を担当して印象悪くしないでいられるか。
 那珂から対案が出てよかった。密かに安堵する神通だった。

「ねぇねぇ、あたしは? なんで願ったり叶ったりなの?」
 黙って神通と那珂のやりとりを聞いていた川内が聞き返した。
「川内ちゃんはねぇ~。」
 そこまで言いかけて那珂はやめた。那珂の言葉の続きは提督が発した。
「演習試合の打ち合わせのときに改めて伝えるよ。」
 川内は頬をわざと膨らませて不服そうな表情になる。
「ゴメンな、川内。次の議題に移ったらちゃんと話すよ。」
「なーんか二人して示し合わせてるようでヤだなぁ。あたしも……まぁいいや。」
 提督の謝意の言葉に川内はウウンと頭を横に振り、気にしてない素振りを見せた。

 そして見学会を議題とする打ち合わせは最終局面に入った。その後那珂たちは意外な事実を知る。それはなんと同日、五月雨たちの中学校、不知火の中学校、五十鈴の高校、そして提督の会社から見学希望者が参加するとのこと。
 那珂たちの高校から話の始まった見学会だが、意外な広まり方をしていた。

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 しばらくしてコンコンとノック音が響いた。全員が会議室の扉に注目する。
「失礼します。」
 会議室に姿を現したのは五十鈴だった。扉を開けて会議室をどんどん奥にゆく五十鈴は、那珂とホワイトボードの側、神通の近くで止まった。その位置はつまるところ那珂たち全員から注目される位置だ。
 神通はほのかに五十鈴から石鹸の香りを感じた。それまで訓練をしていたはずだが汗だくではなく全く臭わないところを察するに、入浴を済ませてきたのだろう。それ以上気にするところもないので神通は話の展開の進展を待った。

「五十鈴も来てくれたところで次の議題に移ろうか。次は神奈川第一との演習試合についての作戦会議だ。」
 提督はそう言い、話題が変わったということで立っている三人を席に座らせ、代わりに自身がホワイトボードの前に立った。

「さて、ここからは来たる演習試合に向けて戦術を考えて行こうと思う。」
「おー。作戦会議。○○っていうゲームでいうと、軍師がドアップで出てきてプレイヤーにあれこれ教えてくれる場面かな~?」
「ンンン! まずは相手の編成を説明しよう。」
 川内の趣味全開のたとえに提督は話に乗りたかったが、努めて我慢して話を進めた。

「あれ?そういうのって明かしていいの?」
 と那珂が尋ねる。
「あぁ。そのあたりのルールは自由だからね。ただあっちからは、こちらの編成を教える必要はないって言われた。」
「それもまた自由なルールの一つってことだね。」
 那珂の再びの問いかけに提督は言葉なくコクンと頷いた。

「なにせあっちは戦艦や空母やら多種多様な艦種の艦娘がいるからね。そのくらいのハンデはありがたくもらっておきたい。」
「うわ~提督ってば結構したたかだね~。」
 という那珂の言葉に提督はやや頬を引きつらせるが、説明を続けた。

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 提督はノートを開き、そこに書いてある内容を読み上げた。それは、神奈川第一鎮守府から来る演習用の艦隊の構成だった。

 独立旗艦:重巡洋艦鳥海

 旗艦:軽巡洋艦天龍
 軽巡洋艦龍田
 駆逐艦暁
 駆逐艦響
 駆逐艦雷
 駆逐艦電

 支援艦隊
 旗艦:戦艦霧島
 軽空母隼鷹
 軽空母飛鷹
 駆逐艦秋月
 駆逐艦涼月

 提督が読み上げ終えると、即座に反応したのは川内だった。
「何なんのよ……その地味に史実に沿った感じのある微妙なチーム構成は。」
「そーなの?」と那珂。
「はい。鳥海っていう重巡と天龍と龍田が同じ艦隊にいるのって、第8艦隊の初期編成にあるんですよ。でもそうすると暁たちがいるのはなんか違うなぁ。史実だと附属扱いで第30駆逐隊、駆逐艦睦月っていう艦がいたはずです。」
「ほーへー。さっすが川内ちゃん。それもゲームで覚えたの?」
「もち。」
「さ、さすが川内だわ。ゲームや漫画からの知識だけどそういう補足的な知識は役に立ちそうね。」
 那珂と五十鈴の二人から褒められ、エヘヘと照れ笑う川内。

「それにしても空母がいるってどういうこと? しかも支援艦隊って?」
 五十鈴はその戦力差に若干苛立ちを交えて尋ねる。
「これから説明するよ。あちらの本体は旗艦天龍がまとめる6人。独立旗艦というのは、総司令官みたいなもので、本隊と支援艦隊を指揮する立場とのことだ。そして支援艦隊は、独立旗艦の指示を受けて追加で攻撃をする部隊だ。」
「えぇ……なんかガチであたしたちを潰しに来てなぁい?訓練だよねこれ?」
 那珂の言葉に神通が頷く。川内はというと異なる反応を見せて言った。
「戦艦は支援艦隊に一人だけならマシだと思いますけどね。なんていうのかなぁ~。様子見しながら相手の戦力を少しずつ削りとろうとする、一番小賢しい敵ですよ。○○っていうゲームにも中盤あたりにこういう編成の敵ポコポコ出てきますもん。ね、提督?」
「俺そのゲームやったことないから知らねぇよ。……ともかく、相手はこういう編成だ。俺たちが人数少ないのをわかっていてのこの人数だと思う。村瀬提督は戦闘に関してはかなり厳しい方だから、本気でかかってくるだろうからボコボコにされる可能性がある。」

「ボコボコって……。少しは私達に気を使ってくれるとかしてください。」と五十鈴。
「すまない。けど練度的には君たちじゃ勝つのは厳しいかなと思ってしまったんだ。国に提出した評価シートをベースに、国認定の練度を与えられるのは君たちもすでにわかっているね。彼女らは平均30だ。」
「えぇ!? そんなに高いの? あたしは今15だし五十鈴ちゃんは~」と那珂。
「私は16ね。五月雨でさえまだ22だっていうのに。」
 那珂の言葉を引き受けて五十鈴が自身の練度を明かす。
「あたしと神通は……。」
「二人はまだ新しい練度の認定を受けていないんだ。館山任務まで評価はまとめて提出済みだから、もうそろそろもらえるはずだ。」

「練度的にはあたしたちより少し上なのね。ふーん。あと人数も多いし、たしかに勝とうとするのは容易じゃないね。」
「そうね。うまく作戦を練らないといけないわ。」
 那珂の真面目風味の喋り。五十鈴は那珂の意を汲んで賛同する。その視線は那珂から提督に向かった。
「演習の形式はノーマルな試合形式。こちらと相手の本隊同士がぶつかり、全員轟沈判定に追い込むか、旗艦を倒せば勝利だ。独立旗艦と支援艦隊は本体からは離れたところに陣取り、任意のタイミングで攻撃をしてくると思う。」
「支援艦隊や独立旗艦っていうのに攻撃するのはアリなの?」と川内。
「村瀬提督からは禁止とは言われてないからOKだと思う。ただ、素直に攻撃をさせてくれるとは思わないほうがいいぞ。」

「ですよね~~。艦隊しろーとのあたしから見たって、その編成じゃ本体と戦うのにかかりっきりになりそうってわかるもん。」
「どういう布陣になるのかわからないけど、独立旗艦を倒してはい終わりというわけにはいかないのね。」
 那珂が茶化すように吐露する。そして五十鈴の確認の問いかけに提督は頷く。

「当面の敵は多分天龍ちゃんと龍田ちゃんだろーね。あの二人の練度がどのくらいか知らないけど、前の合同任務で見た時、武器使ってたから厄介かも。」
「あぁ、天龍と龍田の艤装は、専用の刀剣や槍が付属するんだ。うちには配備されてないから俺もそれ以上はわからない。」
「いいわよ。どうせ距離を置けば問題ないでしょうし。そうでしょ、那珂?」
「……そうだね。うーん、だといいけど。」
 那珂の歯切れ悪い返しに五十鈴は疑問を抱き再度同意を求める。すると那珂は腕組みをし、やはり歯切れ悪く言葉を続けた。
「いやさ、普通のどこぞのお侍さんとか薙刀習う教室とかならまだしもさ、艦娘の艤装についてくる剣や槍だよ? 何かありそうじゃん。そのあたりは川内ちゃん詳しそう。」
 那珂は言い終わった後、頼むよという意味を込めた視線を川内に投げかけた。その視線に気づいた川内は軽やかに答える。
「おぉ。よくありますよ、ゲームや漫画でも。まぁ現実でどこまで特殊効果が実現できてるのかわかりませんけどね。」

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 相手の本隊の対策を話し合う那珂と五十鈴そして川内。話し合いに加わらない神通は、提督が開いたノートの相手の編成とにらめっこしていた。

 いくら本来の目的が本隊の撃退だからといって、支援艦隊は捨て置けないのではないか?

 神通は実際の艦船に関わる書籍を読み、艦種とその役割を勉強し続けていた。戦艦は長距離を狙える艦種。(軽)空母は直接的な砲撃力などはないが、搭載する艦載機次第でいくらでも脅威の存在になり得る。そんな強力な存在の灯台下暗し的な危険性の防御を固めるのが護衛を務める駆逐艦。
 それらが艦娘のその種類にどの程度当てはまるのかは想像だにしないが、まったく違う存在の名を騙ることなどはありえない。近しい能力と装備で圧倒してくるはず。
 だとすると、以前行った対空が重要になるのは想像に難くない。

 神通は話し合い熱中する三人の輪に遠慮していたが、意を決して話に割り込んだ。
「あ、あの! 対空のょぅぃもした……方が……!」
「おぅ? 何なに神通ちゃん? 何かいいアイデア?」
 那珂がすぐに気づいて輪の中に神通を入れるべく促す。五十鈴と川内は神通に視線を向けて聞く体勢に入る。
 素直な注目のされっぷりに怖気づきかけたが、せっかく那珂が話を譲ってくれたので喋ることにした。
「支援艦隊の、空母に気をつけるべきかと。実際にどう仕掛けてくるかわかりません。各自せめて1基ずつ対空用の武器を付けておいたほうが……。」
「なるほどね。神通の提案には一理あるわ。本隊の攻撃にばかりかまけるのは良くないわ。どうかしら那珂。神通の意見も踏まえて、一度こちらも編成を考えてみない?そのほうがより考えやすくなるハズよ。」
 五十鈴が神通の意見を回しながら提案を追加する。その合計二人の意見を得て、那珂は言った。
「そーだね。ねぇ提督。こっちの編成は? あたしたちで決めていいの?」
「あぁ。最終的には俺が承認するから、それまでに自由に考えてみてくれ。」

 提督の許可を得た那珂は早速編成についての話し合いに臨んだ。

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 第一案として、演習に応じるのは次の構成が考え出された。

 旗艦:五十鈴
 川内
 時雨
 夕立
 不知火

 支援艦隊
 旗艦:妙高
 那珂
 神通
 五月雨
 村雨

 第一の案として聞き受けた提督は難色を示した。
「5、5で本隊と支援艦隊? 無理に同人数の2部隊に分けなくてもいいんじゃないか? それに唯一の重巡で高火力の妙高さんを支援艦隊にしてしまうのはもったいないよ。」
 そんな指摘をする提督に対し、神通の言葉で後ろ盾を得た那珂が言い返した。
「妙高さんは中距離を確実に狙える主砲を装備できるでしょ。だからむしろ支援として、離れたところから狙ってほしいの。あっちの霧島さんっていう戦艦に対する重巡洋艦かな。あたしと神通ちゃんは、偵察機飛ばして相手を撹乱する目的。あっちの軽空母隼鷹・飛鷹っていうのに対するあたしたち、みたいな? で最後に護衛として五月雨ちゃんと村雨ちゃん。偵察機飛ばすと操作に集中してあたしたち無防備になっちゃうからね。」
「私と川内それから時雨たちで堅実に相手の各個撃破を狙うわ。」

「あたしらにも戦艦とか空母の艦娘いたらまた違った作戦立てられるんでしょうけど。あーあ、ガチャやったら艦娘現れないかなぁ~?」
「おぉい川内ちゃん。ゲームじゃないんだから。」
「あんたちょっとゲーム脳すぎやしない?」
「うえぇ!? 二人してひっどいー!」
 川内の愚痴りと例えに那珂と五十鈴は同時にツッコミを入れるのだった。

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 会議室にいるメンバーの話題は、しばらくは試合に挑む鎮守府Aの編成の具体案にスポットが集中した。アイデアがぶつかり合い、反発しては結合を繰り返し、最終形が見え隠れするようになってきた。
 が、艦娘たちの思惑と提督の考えは一部相容れなかった。

 提督の思惑では那珂を本隊に加える。それにより経験的にも実力的にも上位2人+那珂と似て爆発力の可能性を秘める(と評価した)川内の3人体制で戦闘の事運びを優位に持っていくことだった。
 那珂の考えでは本隊は五十鈴の堅実さで指揮・行動させることだった。川内はそのゲーム・アニメ由来の突飛な知識からの奇策で五十鈴を近くでサポートさせる。自身はというとあくまで支援に徹する。

 提督の編成案を耳にした時、何かしら期待をかけてくれているのだけはわかったが、裏で見え隠れする意図にまで賛同する気はなかった。提督が目論んでいるのは、同調率が一番高い自分主導の勝率アップなのだろう。
 しかし演習試合はあくまで皆のためであり、自身が独断していいはずがない。

 相手の編成を見た時、那珂は単独でも勝てる自信が不思議とあった。館山の観艦式のデモの練習中、空母艦娘からの攻撃を食らいそうになったが、苦もなく回避して反攻できた。
 あの時参加した赤城と加賀は、神奈川第一でもトップクラスの練度といっていた。その二人を相手にできたのだからという自信はある。もちろん状況次第ではあろうが。

 だが自身に自信があっても、他のメンツはそうはいかない。本隊として加わって相手の本隊の攻撃と支援艦隊の攻撃を仲間を守りながらしのいで反撃するのと、支援艦隊にいて相手の支援能力を潰すことに専念し本隊の仲間を守ることを天秤にかけ、那珂はあえて自身を支援艦隊にと案を出した。
 那珂と提督の口論がヒートアップしかけた時、神通が新たな案を口にした。

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