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兵庫県と神戸市の違い
百条委員会では増山議員に処分が下りそうです.少し尖った若手だけが割を食って,高みの見物を決め込んだり,似たようなことをしているタヌキ年寄が何の制裁も受けないというのは,私が経験した兵庫県外郭団体でも似たような雰囲気があって,兵庫県という組織全体に蔓延る悪しき風習なんじゃないかと思いますね.
オールドメディア,特に東京に本社を持つ低レベル週刊誌の多くは百条委員会を強く支持しているようですが,当事者である兵庫県民の多くはあの知事選を経験していますから,官僚答弁を決め込む斎藤知事にも複雑な感情を抱きつつも,悪しき風習を引きずった県議会を手放しで支持する人はほとんどいないでしょう.
東京リベラル勢が入り込むネットを見ていても分かりませんが,兵庫県の皆さんは井戸時代からの経緯をずっと見てきて本質をよく理解されていると思うので,この傾向は立花・竹内大騒動を経験してもさほど変わっていないと私は推測します.
地方自治体(やその関連団体)というのはそもそも人事システムや給料システムが年功序列制度になっているため,多かれ少なかれ物事をいつも決めるのは年寄のドンで,前例踏襲の事なかれ主義で,出る杭を打つようなところがあるのですが,実は地方自治体によってもかなり雰囲気は異なります.
それを実感したのが新型コロナワクチン事業です.このワクチン事業は短期間に大量の人数をさばく必要があったため,どこの自治体でも医療職や事務員を自前で確保することは難しく,その多くを人材派遣会社に頼っていました.一方で会場の管理監督や市民からのクレーム対応などは役所の人間が行う必要があり,役所の人間と人材派遣会社からの人材が一緒になって運営をしていました.そういう中で公務員と医療職が休憩時間中に雑談したり,一緒に運営の改善方法を検討するなどして,互いの仕事の実情を知る非常に良い機会になったのです.
いくつかの自治体で関与したのですが,神戸市はどこの会場もかなり柔軟でした.現場の係長クラスに運営が任されており,現場の問題は現場が解決できるよう権限が移譲されていました.派遣人材からの提案や問題提起も積極的に採用されていました.本来の配属先の仕事もチャットを使って会場運営と同時に行っており,ICT化が進んでいましたね.話していても公務員らしい堅さがあまり感じられませんでした.一方で兵庫県の外郭団体にいると,「民間がやってることは参考にしてはいけない」「前例を変えるなら変えないといけない根拠が必要」「現場の困りごとを無視して事務方上層部が上の顔色をうかがいながら運営」みたいなことが頻発していました.
同じ兵庫県内の自治体でもこれだけの差があることに私は衝撃を受けました.
皆さんは今回の百条委員会の運営を見ていて,兵庫県の外郭団体と神戸市,どちらが近いと感じたでしょうか.自民党の長瀬議員が過去の動画で兵庫県議会では質問を出すのに体裁や文字の制限が厳しいというようなことを言っていましたが,兵庫県では行政のみならず議会にも公務員臭さがにじみ出ているように感じてなりません.もちろん,斎藤知事のようなパワハラ的なやり方がベストとは言えないと思いますが,誰か強烈な人材の改革の下で一度この公務員臭さから抜け出せないと,兵庫県の再生はありえないのではないかと思います.