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兵庫県の外郭団体で一番困ったこと

こちらではまだ土曜日の朝なのですが日本では土曜日の夜ですね.神戸マラソンはいつも第一走者だけ子どもと見に行っていたのですが,今年はそれもできそうになく残念です.

知事選前最後の投稿になりますが,焦点が県民局長不倫問題から地方自治の闇,すなわち議会と行政の癒着に移ってきている感じがするので,できるだけ生の兵庫県行政の情報を出そうと思います.

兵庫県のとある外郭団体では県に10億円規模の新規施設を建築してもらい,建築後は指定管理者となることで県から指定管理料を得て,新たな団体の収入とする予定でした.実はその団体はすでに近くの敷地で似たような比較的新しい施設や関連する施設を運営しており,その運営も必ずしも効率的とは言えない状態でした.案の定,斎藤知事になってから,やはり必要性に疑問があるとのことで一旦計画がストップとなりました.幹部たちは焦っていましたが,現場ではそこまで新規設備が必要なのかな?という声が多かったです.

むしろ現場の人間がよく思っていたことは,新規施設の建設を行う前にそもそも既存施設の管理手続きに非常に問題があり,正しい効率的なメンテナンスがあまり行えておらず,先にそっちの問題を解決してくれということでした.

具体的には,施設は県の持ち物ですが,運営は外郭団体が行う形であり,日常の簡単な保守点検は外郭団体の予算の範囲内で迅速かつ適切に行うことができていました.施設管理専従職員もいて何かあったときは電話一本で来てくれて,初動は早かったです.ところが,一般的な建築物では業者を呼んで行うような定期的なメンテナンスや故障を予防するための専門的なメンテナンスが必要な設備があります.たとえばマンションであれば定期的に排水管の高圧清掃をしたり,老朽化が激しい部分は本格的に故障する前に部材や機器を交換したりしますよね.ある程度金額が高額で職員単独では行えようなメンテナンスは,外郭団体の予算で行うことはできず,都度県の予算承認が必要でした.その手続に異様に時間がかかるほか,予算申請が面倒だったのか必要性が認識されていなかったのか,「問題があることはわかっているのに,完全に故障するまでメンテしない」ということが井戸時代から常態化していました.

トイレや水道設備は水漏れするまで交換されませんでしたし,水漏れが発見されても,少量であれば応急処置のみで放置されていました.台風で雨漏りがあってもサッシやコーキングを交換することはなく,タオルを敷いて対応していました.職員だけが使う事務設備ならそれでもいいとは思いますが,県民が滞在する部分でもそれを行っていました.いつも施設管理担当から言われたのは「完全に壊れて使えなくなるまで予算が下りないんですよ」.結果として建築からまだ30数年しか経っていないのに,あちこち水漏れや雨漏りがする古びた施設になってしまいました.そしてとうとう設備が広い範囲で故障してしまい余計に高額な交換費用が発生していました.

同じような管理方法を踏襲している限り,立派な新しい施設を作ったとしてもまたすぐに老朽化が進んでしまうことでしょう.新規施設に莫大な金額を投じるより,こういった既存施設のメンテナンスに対して迅速かつ適切に予算を出してほしいというのが現場が常に感じていることでした.既得権益だか何だか知りませんが,要するにカネの使い方が間違っているのです.

斎藤知事になってもその部分はまだ切り込まれていませんでした.さすがに現場の細かすぎる問題だからでしょう.しかし,新規施設建築をストップして浮いたカネができればそういうことに予算を回す余裕も出てくるはずです.

見た目が派手で実績にもなりやすい建築時だけではなく,その後のメンテナンスや社会情勢の変化も考慮したプロジェクトや予算設計をする.そういう文化が県庁や外郭団体に根付くようになるまでは,高額施設の建築は一旦立ち止まるのが県民のためと私は思います.

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