古い手拭いを美しく纏う!「鶴輝製作所」
こんにちは。
いつか纏える形にしたいなーと集めていた手拭いや風呂敷があって。
なんだか急に思い立ち、作るならこの方にお願いしたい!と思っていた鶴輝製作所さんにお会いしてきました。
なんたってネーミングが秀逸。鶴輝(ツルピカ)製作所、TPW。
「目印はハゲ頭です」とおっしゃっていた通り、待ち合わせ場所には優しい目をしたジェントルなハゲ頭がいらした。
古い手拭や風呂敷や着物をバラし、再構築して生まれる作品。
魅せる部分の選び方、配置、そこから生まれる全体のバランスの秀逸さに惚れ惚れします。
とにかくセンスがイイのです。
作り始めたきっかけは、ダボっとしたベースボールシャツ、そして作業着が欲しかったから。サイズが大きいので、いわゆる流行ってるものも着られなかったという鶴輝さん。「当時流行った501もダメだったんですよー」
なら、自分が着たい!欲しい!と思えるものを作ってみよう、と。
縫製もパターンの作成も経験なし。ただ図面は読めたのでなんとか出来るかなという感じで始めたそう。
4年ほど試行錯誤してそれから2年、少しづつ軌道に乗ってきた感触ありの今。
若い頃に背伸びして米兵達が集まるバーへ行った時、彼らがキリンラガービールの小瓶をラッパ飲みしていたのを見て凄くシビれたんですって。トレンディドラマなるものが流行っていたあの頃、主人公が飲んでいたバドワイザーがお洒落に見えてたのに。
「カッコつけたい私はラガービールを注文しました」
ライブハウスに通ったのも壁に貼られているフライヤーに惹かれたから。
その頃からメインストリームとちょっと違う方向に深く入っていったといいます。正面からじゃなく少し斜めから捉える「感覚」はこの辺りから来てるのか。
そう、登場人物の会話が聞こえてくるような独特のユーモアがあるんです。
縦分割の対話も、
横分割の対話も楽しそうだ。
タコちゃんとカニさんがヒソヒソ話してる。
裏地も凝ってて素晴らしい!裏地は着てる人にしかわからない嬉しさよね。
そして美しいのが水色の存在感。
見えにくいところも丁寧に作り込んでいました。
手の出し入れで擦り切れやすいポケット部分も補強されていましたし、
古い生地はほつれやすいので、弱いところには格子状にステッチがかけられていました。
「壁にかけておきたいもの、自分が着たいものを作りたいんです。」
この意識は本当に大切。でも持続するのは難しい。売るとなるとだんだんと薄れていくから。
質が落ちているのに値上がり続ける最近の傾向に疲れている私は、久しぶりに高揚感ある服に出会い嬉しくなりました。
既に完成しているデザインを解いて再び繋ぎ合わせる。
生地それぞれの声を聞き、鶴輝さんの号令で並んだらこんなに格好良い世界が生まれましたとさ。