Thank you, Jane Birkin
こんにちは。
ジェーン・バーキンさんが 7月16日(現地時間)に他界された、というニュースが飛び込んできました。76歳でした。
1946年生まれ。ロンドン出身の歌手そして俳優。囁やくような歌声と、自由で艶やかな魅力に世界が魅了されました。
"Je t'aime... moi non plus"が脳内をめぐります。
才能豊かな3人の男性との間に3人の娘をもうけたジェーン。自分たちなりの独自の関係性を貫く様は見事。
2011年3月の東日本大震災発生後、4月という早い時期に来日し、復興支援としてのチャリティーコンサートを開催して下さいました。
1971年来日時の一枚。シャルロットがお腹に。
ジェーン・バーキン、で思い浮かべるのがあのエピソード。
ロンドン行きのフライトで隣り合わせになったジャン=ルイ・デュマ(Jean-Louis Dumas:エルメス5代目)との会話。
ジェーンが機内でバッグから物をぶちまけてしまった時、「ポケット付きのバッグを持った方がいいね。」とデュマ。「あらっ、エルメスがポケット付きのバッグを作ってくれたらいただくわ。そうね、ケリーより大きくて、スーツケース(セルジュの)より小さいのがいいわ。」
この会話から生まれたのがバーキン。1984年のこと。
ジェーンが「機内オーダー」したバッグを受け取りに行った際、デュマはバッグを提供するかわりに、バーキンの名をこのバッグに付けることを提案します。(エルメスはジェーンにロイヤリティーを支払っていますが、それらは彼女が指定した慈善団体に寄付されています。)
あーFall 2008のヒマラヤなキャンペーンは今でも一番好き!
ジェーンが放つ魅力のように、「バーキン」というバッグの磁力も強烈。
皆それぞれこのバッグに惹かれる理由があるでしょうが、私はやっぱり馬。どこまでいっても馬の要素に惹かれます。
エルメスのバッグは、馬の鞍=サドル、の縫い方「サドルステッチ」で縫いあげられています。
2本の針と錐を持ち、穴を開けると同時に裏から針を通す。10年程前かなー挑戦させていただきましたが、これが結構難しい。
馬の鞍を「縫う」とはこういうこと。
リボンの白いステッチがそれです。
馬好きの私が乗馬雑誌で「馬具商エルメス」を知ったのは小学生の時。障害飛越という競技があることを知ったのもこの頃。
(記事「エルメス主催の馬術競技 Saut Hermès / ソー・エルメス 2018〜パリ旅行記⑴」)
今でも私にとってエルメスは馬具商。ブレスレットの金具ひとつ締める時にも、サドルステッチで手縫いされたバッグを持つ時も、馬装しているような特別な感覚があるのです。
エールフランス パリ発ロンドン行きの機内の会話から生まれたバッグ、バーキン。
そこにはジェーンの自由で快活な魅力が映し出されているように感じます。底鋲が付いているこのバッグは、床に無造作に置ける、最高に優雅で最高にカジュアルなバッグなのです。
飛び切りチャーミングな生き方をありがとう。
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