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天翔ける馬を銀座メゾンエルメスの「ル・ステュディオ」で〜10月のランタンエルメスは「シアター」

こんにちは。
銀座メゾンエルメス10階にあるプライベートシネマ「ル・ステュディオ」で映画『LA FABRIQUE DE LA LÉGÈRETÉ ― 軽やかさの工房』を体験してきました。

10月のランタンエルメスのテーマは「シアター」。

エルメスはウィンドウディスプレイのことを「エルメス劇場」と呼び、街に自由な発想でエルメスの世界観を届けています。
また銀座メゾンエルメスの10階にはプライベートシネマがあり、映画を通じて、クリエイションの大切さを伝えています。

ランタンエルメス - LA LANTERNE D'HERMÈS À GINZA

2024年のエルメス年間テーマは「フォーブルの魂」。
フォーブル=サントノーレ24番地に位置するエルメス第1号店の魂(スピリット)を受けつぐ銀座メゾンエルメスが、今年一年マンスリーテーマを設けてイベントやインスタレーションを行なっているプロジェクトがランタンエルメス。

上映後の感想や意見を書く用紙が解放感ある空間に置かれています。

銀座メゾンエルメス10階にある小さな映画館「ル・ステュディオ」。

パリの街角にあるような小さな映画館を銀座にも届けたい、というエルメス5代目ジャン=ルイ・デュマの想いから、2001年の銀座メゾンエルメスのオープン時に誕生したプライベートシネマ。

今回ここで上映されるのが、エルメスが企画し、ベルギー出身のデュオ、ジャコ・ヴァン・ドルマル (Jaco Van Dormael)& ミシェル・アンヌ・ドゥ・メイMichèle Anne De Mey)により制作・上演された2022年のエルメスシアター『LA FABRIQUE DE LA LÉGÈRETÉ ― 軽やかさの工房(英題 On the Wings of Hermès)』。

『軽やかさの工房』は、ギリシャ神話に登場する天馬ペガサスの物語を独自に再解釈した6編からなるファンタジー。
一幕ごとにまだ飛ぶことを知らない6頭の仔馬たちが「軽やかさ」を見つけに旅に出ます。そして、それぞれが自分だけの「軽やかさ」を知った時、翼を得て空を飛ぶことを覚えます。

6頭の仔馬たちの旅から私が感じ持ち帰ったのは、「軽やかさ」とは視点の柔軟さということ。

1幕 『無重力』
そこに言葉はなく、お互いに大切に想う気持ちを感じあう世界。

2幕 『渡り手袋の飛翔』
手袋たちが自分たちが必要とされる季節へ飛び立つ物語。「ふたつでひとつ」の手袋が氷の上でとても幸せそうに踊っている場面が印象的でした。自分たちの居場所を見つけたペアは心軽やかに満たされているようでした。

3幕 『サーカス』
夢の中ではいつも軽やか。軽やかさは想像の中に存在し、現実は想像の一部。

4幕 『だまし絵』
何が大きく何が小さいのか、近くて遠いもの、違うようでいて本物、偽りなのに真実。起きた直後の夢のような固定されない世界。
見えているものをどのように捉えるか。自由に視点を変え俯瞰してみると思わぬ世界が現れてくる。

5幕 『四つの鞄のオペラ』

ケリーたちが楽しそうに歌うオペラ。一番小さなケリーが楽しさのあまり浮かび上がって歌うシーンが愛らしかった。歌っているこの瞬間を、今在ることを満喫している嬉しさが伝わってきました。これはつくり手が喜びに満たされていないと表現できないこと。嬉しいは軽やか。

6幕 『巻き戻し』
砂で描かれた馬の絵をダンサーの動きが消していく。前半では時間が前に進み、音声が巻き戻しに。半分まで来ると反転し、動きが逆回転になり音声が前に進んでいくという、後ろ向きに進むような感覚を覚えた旅。

時間は幻想。時間という概念から解き放たれた時、今という瞬間だけを満たせた時、軽やかな自由を手に入れることができるんだろうな。

エルメスは仕事を依頼したアーティストの自由を最大限に尊重するという。途中経過における部分的な訂正などほぼ無いそう。それはきっと自分を喜ばせるものを作らなければ人の心を揺さぶることなぞ出来ない、ということを知っているから。エルメスもまた職人。

一番難しいのはこの“遊び”に参加するにふさわしい人やチームを見つけることです。チームで制作を行う際には、仲間と一緒に遊ぶのが得意な人を見つけなければなりません。長い年月をかけて自分たちと合う人を探し集めチームを育ててきました。ーミシェル・アンヌ・ドゥ・メイ

ランタンエルメス - LA LANTERNE D'HERMÈS À GINZA

Behind the scenes of On The Wings of Hermès

2001年の「ル・ステュディオ」オープン以来、150本以上の映画がエルメスの年間テーマに沿って上映されてきました。

大好きな『Life of Pi(ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』も上映されました。

観客は断片を持ち帰り、再構築することで、その人だけの映画となるのです。ージャコ・ヴァン・ドルマル

ランタンエルメス - LA LANTERNE D'HERMÈS À GINZA

仔馬たちに生えた透き通るように薄い翼は反重力を感じさせる。視点をズラすと世界が変わることを伝えてくれた『 軽やかさの工房』。

仔馬たちの薄い羽は、生まれたばかりの蝉の繊細な羽を彷彿とさせました。

それぞれの職人が自分の最上の喜びを捧げている場、エルメス。
「エルメスでは、夢は覚めて見るものなのです」

(Hermès Japon 掲載許可済み)

LA FABRIQUE DE LA LEGERETE ― 軽やかさの工房
英題/ON THE WINGS OF HERMES
上映時間 本編35分/舞台裏映像12分
※上映はフランス語音声・日本語字幕となります。
上映日程:2024年10月26日(土)〜11月2日(土)
上映時間:11:00/14:00/17:00/19:00

※おひとり様1回のみ予約いただけます。
※1回の予約で2名様まで予約いただけます。
※満席の場合にはご予約頂けませんが、当日キャンセルのあった場合は、会場にて先着順でご鑑賞いただけます。(上映時間5分前に会場に直接お越しください。)
※上映会は、中学生以上の方にご参加いただけます。


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