異なる文化が出会う場所。ムンバイで開催された Christian Dior Fall 2023
こんにちは。
日本時間 3月31日深夜0時 (インド時間 3月30日午後8時30分)、ムンバイで開催された ディオール2023年フォールコレクションのショー。
マリア・グラツィア・キウリは、今回もインドのチャーナキヤ工芸学校とのコラボレーションを実現しました。
インドへの玄関口を象徴する壮大な「ゲートウェイ・オブ・インディア」。高さ8メートル近くのこのアーチは、カリシマ・スワリ (チャーナキヤ工芸学校のクリエイティブ ディレクター) の指揮の下で職人たちが創りあげたもの。
トーラン(入り口の飾り掛け)は、インドの伝統的な技術を駆使し、その豊かな文化を織り込んでいました。
チャーナキヤ工房とチャーナキヤ工芸学校の300人を超える熟練職人が、何月間にもわたって共同で制作し、3万5千時間もの時間を積み重ね紡いだ天然繊維を使用したテキスタイル。
そこにはフルカリ、ミラーの刺繍、ノットステッチ、カンタなど、25以上もの職人技術が凝縮され、象、曼荼羅、蓮、カァマデヌ、虎、孔雀などの仏教図像が随所に散りばめられています。
マリア・グラツィアがカリシマ・スワリに出会ったのは1992年。当時、フェンディでアクセサリーデザイナーをしていたマリア・グラツィアが、チャーナキヤ工芸学校と刺繍の仕事をする為にムンバイへ赴いた時。
マリア・グラツィアがディオールに移った後も、女性性を大切にするふたりの協働は続きました。2015年にはパリにチャーナキヤ財団学校が設立され、女性の手仕事を守り、教育の機会を提供しています。
今回マリア・グラツィアは、インドの伝統的なテキスタイルに、職人の多様性に敬意を評したコレクションを発表。
多彩な刺繍技術が散りばめられています。気の遠くなるような手仕事!
ミラー刺繍に
AARI 刺繍、
レースのような刺繍ZARI。
手縫いのアップリケ。
そして、シャリシャリとした張りと美しいドレープを描くのは、南インドのタミル・ナードゥ州に古くから伝わる技法で織られたシルク。
アーカイブからは、1962年4月にインドのムンバイとデリーに渡り、フランスとインドの対話の糸口を開いたことで知られている当時のクリエイティブ ディレクター、マルク・ボアンによるディオール モデルが取り入れられています。
グリーン、イエロー、ピンク、パープルのシルクだけを使用したカラーブロック、
インドの伝統的なシルエットが確かなテーラリングで表現されていました。
「トワル ドゥ ジュイ」もインディア。湿度感じるねー
マリア・グラツィアは一貫して「女性性」を大切に表現しているように感じます。
男性の中にも女性性があり、女性の中にも男性性がある。内面にある陰と陽の融合。その融合は外側においては、互いを補い、互いの存在に敬意を表し、互いを磨き高める関係性に反映する。美しいバランス。
(記事「タロットの多元的な美しさが表現された Dior Spring 2021 Couture Collection」)
うわーん Spring 2023 のコートがある!欲しくて欲しくて問い合わせたら案の定、値段で倒れたコート。
それぞれの得意、それぞれの強みを持ち寄り、美しいを構築する。美しいは嬉しいね。これは全てに通じること。
今回も美しいをありがとう!