部屋にいるゾウを見て聞いて
There is an elephant in the room.
英語の慣用句で、「この場で触れてはいけない話題がある」という意味らしい。
象=触れてはいけない話題、タブー。
みんなが重要だと認識しながらあえて触れないでいる話題、空気を読んで触れない話題というような意味とのこと。
部屋にはち切れそうにいる象。
面白くてイメージしやすい表現だなあと思った。
この慣用句は、大きな困難の乗り越え方を記した本『オプションB』に教えてもらった。
この本の著者のシェリルは夫を突然死で亡くしており、その事が象であり、象に触れないように振る舞う人がいることが辛かったという。
こんなに大きい象がいるのに、見えているはずなのに、いないように扱われることで悲しみが増したと書いてあった。
わたしも以前は象に触れない人だった。触れずにそっとしておくことが良いのだと思っていた。
わたしの場合、そもそも上手い触れ方が分からず、変に聞いて嫌われるんじゃないかとか保身でただ逃げていただけだったとも思う。
実際に自分に辛い出来事があり、そしてこの本を読んで、辛さをしっかりと見て聞いてくれる人がどれほど有難いか気づいた。
聞いてもらって何かしらのリアクションをもらうことで心が安らいだ。
そして、親切心だろうけど、なかったようにして触れない人も当然いて、勝手ながらショックを受けたりもした。
この本から、象を見て見ぬふりをせず触れることが大切だと学んだ。
相手に寄り添うということはどういうことかが分かってきた気がする。
人はみんな自分の心の部屋に、ひとつやふたつは大きな象を飼っていると思う。
それはきっと明らかに見える場合もあるし、上手く隠されていて見えない場合もある。
わたしがこの経験と知識を得て今後出来ると思ったことは3つ。
ひとつ、
大切な人達が心に象を抱えていないか、気にかけること。思い切って聞いてみること。
みんな上手く隠しているけれど、1人で抱えるのはきっととても辛い。一緒に持ってあげれるようになりたい。持てるように心の幅も増やしておく必要がある。
ふたつ、
誰かの部屋に大きな象がいると分かったら、丁寧に向き合い触れること。
まずはそっと触れてみて、受け入れてもらえたら更に触れてみる。触れられたくなさそうであれば、その意志を尊重する。
プラスで、常に気にかけていることといつでも頼って欲しいことを伝える。
みっつ、
自分の象を他の人に見せること。
どうしても暗いことは隠してしまう。言葉にして伝える過程も辛い。どう思われるか怖い。
でも心の中の大きな存在を見せて受け入れてもらう過程を経ないと、相手のことを信頼してあげれない。深く繋がれない。
象を見せれないと、自分のことを本当に受け入れてくれる人なのかいつも疑ってしまい、どんどん辛くなるという負のループに入る。
実行は難しいけれど思い切ってさらけ出してみたいな、きっとみんな意外と受け止めてくれる。
自分の心にも相手の心にも、向き合ったり寄り添ったりするのはなかなか難しい。億劫になる。スルーする方が楽な場合もある。
けれど、そこを1つがんばって乗り越えると生まれるものがある。暖かく深い心の交流がある。微力ながら大切な人達の心の支えになれる。
だから、誠心誠意を持って、周りの人たちと心のゾウについて話していくぞ、とここに決意。
There is an elephant in the room.
ネイティブの間でどのようなニュアンスで使われているかは分からないけれど、いい気付きを与えてくれたことわざだ。