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成人式は着物の思い出

自分の成人式の日のことは、
20年以上経った今でも
とてもよく覚えている。
そう、なんとなくだけれど成人式の日って、
結婚式の日と同じ感覚だった気がする。

成人式の日に、着物を着られること、
実はとても楽しみにしていた。
あたしの生まれ育った土地は奈良。
着物を着ている人を見る機会が
もしかしたら他の地域よりも
ちょっぴり多いのかもしれない。
最近ではレンタル着物で着付けをして
着物で街中を歩くというサービスが
若い女の子の間で流行っているみたいだけど、
当時は当たり前にそんなもんはなく(笑)

浴衣を着るのも好き。
バイト先に着物で接客する場所を選ぶくらい、
着物を着たい気持ちは大きかった。
そう、あたしが興味あったのは
「成人式」ではないのだ。
「理由をつけて着物を着ること」だ。
こうして行事の意味をすり替えてしまうこと、
昔から得意すぎる。

あたしは当たり前に、
母の振袖を着るつもりだった。
浴衣もそうだけれど、
今のものよりも昔のものの方が
質も絵柄デザインも素敵なものが多い。
そして1番の問題は金額面。
買うことなんて不可能な我が家。
だけど、あたしは忘れていた。
自分が母よりも10cm以上デカいという事実。
あの日の絶望は今でもはっきり覚えている。
「そんなん着られるわけないやん。」
と言い放つ母に、どうしても諦められないあたし。
せめて羽織ってみるだけでも…
と止める周りを強引に制し、羽織り愕然。
短すぎる!!!!!
「つんつるてん」のお手本だった。
諦めるしかない、淡い桜色の可愛い振袖。

結局、父方の祖母の強い勧めで
叔母が昔着ていた振袖をもらえることになった。
叔母は昔お花かお茶を習っており、
たくさん振袖を持っているとのことだった。
身長もあたしと同じくらいでなんて幸運!
「おばあちゃんが見立ててあげる!」
と意気込んだ結果、選ばれたのは
母の振袖とは真逆のものだった。
当時のあたしは
「あたしってこんなイメージなんや!」
と驚き言われるがままであったけれど、
今思えば祖母のセンスに感謝しかない。
インパクト大、派手好きな祖母らしい
と言えばそうだけれど、本当に素敵な振袖だった。
帯や草履、バッグなどの小物類もほとんど
叔母から借してもらえたので、
母曰く本当にお金がかからず助かったそう。

成人式の日の朝、
着付けの終わったあたしを車に乗せ、
父は祖母の家を2軒はしごしてくれた。
父方の祖母も、母方の祖母も、
もうこれ以上ないくらい喜んでくれていて、
ああ2人のこんな顔見られるのなら、
よかった!!って強く思ったのを覚えている。
色々準備してくれた両親にも感謝だし、
両親が当たり前のように喜んでくれたのも
かなり嬉しかった。
まさに、結婚披露宴をやった時と同じ。
もちろん自分のためでもあるけれど、
やっぱり家族の喜ぶ顔には弱い。

その振袖は
・成人式の前撮り
・成人式
・大学の卒業式
の計3回着た。
大学の卒業式は袴にブーツ。
楽しかったし良き思い出。
こんな機会でもないと着られない!て思って
十分に楽しんだな。
本当にいい着物で、着るたびに
「誰に見立ててもらったん?
絶対自分で選んでないやん?」
って言われるくらいあたしの日頃の好みとは
かけ離れているのに驚かれたり、
そのセンス褒められたり嬉しかった。

自分の選んだものだけじゃない、
自分の周りの人に生かされてるって、
大袈裟だけどそんなふうに思った
自分の成人式の着物エピソード。
肝心の式のことは殆ど覚えていない。
そんなもんだ、そんなもん。

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