もらいもの(仮)38
―― 知りませんよ だって覚えてないんだから ―― 記録記録って何なんですか ここで僕が あなたの目の前でこの僕本人が喋っていることよりも ね 記録のほうが信頼に値するというんですか ―― 客観性って でもそれ俺のことですよ 俺の話でそんな無茶苦茶言われてんですよ 誰にとっての客観性ですか そんなん とりあえず聞いてください 施設では寮に 軽作業を お継母様はお父様が亡くなった後も あなたの症状があまり まあはっきり言うと入院を その件でお継母様も あなたに差し入れを ほとんどお会いになったこと だから急に 混乱させるだけ でもその頃 時期とがちょうど なんでそれが分かるんですか ―― 騒ぎ? 騒ぎと言いますかね 路上で その日に無断で 通報もありまして その時にずっと誰かが そこからしばらく そして退院後は ふうん そうなんですか へえ それが客観的な記録だと ―― だからその男は俺の妄想だと ―― へえ そうなんだ なので今回の一件も あなたがやった もちろん断定することは そうだよね 何だって断定はできない しかし事実だという証拠は でもさ 断定はできない そうでしょ できないよね 俺はそう思う 断定はできない そうだよね だって俺は何も信じない 俺はそんなの信じない 俺にとっての現実は だって俺は全然 絶対に俺は ああ そんなふうに考えるのも 俺の自由だよね 違う?
終
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