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地球の歩き方

××は歩いていた。もう大分長いこと歩いていた。面白いことも別にないが、なぜか疲れも飽きも感じなかった。それで最後まで辿り着くと思っていた。最後というのが何なのか××は知らなかったが、行けば分かるだろうと思って歩いていた。

誰にも会わなかった。特に困ることもなかった。街中を通り抜け、人里離れた山奥も通り過ぎた。道は時々途切れていた。だがそういう時も、とりあえずまっすぐ進むだけだった。時々、昔覚えた歌を口ずさむ以外、音も言葉も××には無縁だった。考えることもなかった。靴が擦り切れても、腹が減っても、雨に降られても、特に何をどうしたいと思うこともなかった。

やがて行き止まりに着いた。それは文字通りの行き止まりで、そこで地面は終わっていた。そこに来て初めて××は少し考えた。これが最後なのだろうか。それにしては呆気ない。何よりくたびれ果てたという感覚が全くない。まだいくらでも歩けそうだ。××は初めてこれからどうしたらいいか分からなくなった。だが結局、できることと言えば歩くこと以外にない。そこで、当初の予定にはなかったことだが、××は終わりの先まで進むことにした。

××は崖から飛び降りた。海は深かった。しかしやはり××は歩き続けた。不思議なもので、周囲を水に満たされているという以外、陸を歩いている時と何ら変わるところはなかった。息の苦しさも、水の冷たさも、暗黒の寂しさも、××には特に何の印象も与えなかった。××は歩いた。さすがにときどき、どうしてこんなところを歩き続けられるのだろうと思わないこともなかった。だが××は、こんなところというのがどんなところか、そもそもよく分かっていなかったから、それ以上の思索が深まることもなかった。

何事も起こらず、感銘を受けることもなく、特に消耗もしないまま、海は終わった。××は再び岸に上がった。そこは××にとって未知の大陸だった。砂漠を越え、密林を越え、見たことのない動物を目にし、聞き馴染みのない言葉を耳にした。だが××はただ歩いているだけなので、やはりそれらも何の印象も残さなかった。

そしてやがて、再び陸の終わりが来た。二回目からは迷いもなかった。××は波をかき分け海に入った。そして再び海の底を歩いた。

海が終わるとまた陸だった。陸の次は海だった。海の次は陸、幾度もその繰り返しだった。何度それを繰り返したことだろう。それが七周目くらいに入った時、初めて××は「ずっと同じところを歩いているな」と思った。

2022-06-21

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