【3分で読める#42】ヒトは土から離れては生きられない
ぼくは植物が好きだ。
好きを通り越して、尊敬しているかもしれない。
植物の有名なはたらきに「光合成」というのがある。
光合成を化学反応式で表すとこうだ。
6CO2 + 6H2O → C6H12O6 + 6O2
式で表せば非常にシンプルなものだが、ヒトはこの化学反応を真似することができない。言い方を少し大袈裟にするのなら、ヒトの科学力は葉っぱ一枚に敵わないのだ。
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光合成のおかげで、空気中の二酸化炭素は有機物(グルコース)として植物の体内に蓄えられ、それは食物連鎖で巡り巡ってヒトの体の血肉となる。ぼくらは死ねば焼かれて二酸化炭素と水になり、大気中に放出されたそれらはまた植物に吸われて有機物になる。
この大きな循環を支えているのが太陽と大地だ。
とりわけ地中には数多くの細菌類や菌類、ミミズなどの小動物が存在し、動植物の死体・枯死体を分解することで植物が生きるための栄養素をつくりだしている。
すべての生き物は、こうやって他の生き物と関わり合うからこそ生きていける。ヒトだって生態系においては、植物や地中の生き物に頼らなければ絶対に生きていけない。もし植物が酸素を作ってくれなかったら、ぼくら動物はあっという間に絶滅するはずだ。
ちなみに、植物は別に動物のために酸素を放出しているわけではなく、もちろん地中の生き物たちも植物のために栄養素を作り出しているのではない。それぞれが生きるために活動した結果、そうなっているだけだ。
ここが結構ポイントで、(巨視的にみると)本来は生きることそのものが、そのまま地球上の誰か(何か)の役に立っているものなのだ。
じゃぁヒトが生きていて得している誰かって、一体誰なのだろうか。(念のため言うが、ぼくは皮肉を込めてこの問いを立てているわけじゃない。)
ぼくは、ヒトが生きるためにする行動のうちで、生態系に重要な影響を与えるもののひとつに「耕すこと」があるんじゃなかろうかと思っている。
ヒトの手が入らない土地は凄まじい勢いで荒れ、痩せていく。別にヒトは自分たちが生きるために耕しているだけなんだけど、実はそれが他の生き物の役に立っているのが農林業だ。
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シータは玉座の間で、ムスカにこう諭す。
ヒトは土から離れては
生きられないのよ
ヒトはこれから先どんなに科学力が進歩しようと、土を疎かにした生き方はできないのだと、ぼくはこの言葉をそう捉えている。
植物は言葉こそ話さないが、ぼくたちヒトに色んなことを教えてくれているのだ。そんなわけで、植物はマジでスゴイ。
100円→今日のコーヒーを買う。 500円→1時間仕事を休んで何か書く。 1,000円→もの書きへの転職をマジで考える。