テクノロジーにぬくもりを
「どこで食べようか?」
とある県外の出張先で、同僚のミチオがおれに聞いてくる。茹だるような暑さだ。蕎麦が食べたいと伝えると、早速ミチオはスマホで検索し始めた。
おれはスマホを持っていないので、あたりを見回してそれっぽいところが無いか探す。せっかくの県外出張だ。できればチェーン店以外で食べたい。
「お!あったあった!あっちの方だ!」
ミチオがスマホを見ながら歩いていくのでそっちへ付いていく。その道すがら、おれは偶然にもうどん屋を見つけた。
おっ!っと心の中で思うが、ミチオがせっかく汗を流しながら蕎麦屋を案内してくれているので、スルーして付いていく。
「あれぇー。おっかしいなー。。」
地図アプリの調子が悪いのか、それともミチオの方向感覚の調子が悪いのか、すぐそこだと言いつつ、中々たどり着かない。おれは心の中で思いはじめる。
(さっきあったうどん屋にしない?)
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まったく同じとまではいかずとも、地図アプリで表示されたすぐ近く(のはず)の目的地になかなか辿りつかないってこと、無いだろうか?
もしあるのなら、その原因はあなただけにあるわけじゃないから安心して欲しい。
これには地図アプリのデザイン的欠陥も関係しているのだ。
どういうことかというと、土地勘のない場所では地図アプリの性質上、スマホ画面を見ながら動かないと方向感覚が定まらないわけで、人々の集中力は否が応でもスマホに費やされる。結果的に周囲の景色へ意識を向けられなくなるので、目印になりそうないろんなものを見逃して、ドツボにハマっていく。
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LOOVIC株式会社は「スマホを使わないナビゲーション」を開発している。
それは首輪型のウェアラブルデバイスで、まるでヒトが自分の隣で案内してくれるかのような自然なナビをしてくれる。
動画内でも紹介されているけど、このナビのおもしろいところは「声のランドマーク」を登録しておくことができるってことだ。
たとえば、あなたの子どもがどこかに出かけるとしよう。子どもが迷っちゃうだろうなーと感じる場所に親の声を事前に登録しておけば、子どもがその場所に近づいた時に「あの大きな看板を右だよ」だなんて親の声で教えてくれるようにすることができちゃったりする。
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ぼくの知人には、低酸素の状態で産まれてきたため、空間認知に苦手を持つ方がいる。何度も通ったはずの道を覚えられない。目的地の方向をすぐに見失ってしまう。そんなことがよくある。
世の中にはいろんな特性を持った人がいる。
一発で道を覚えられる人もいるし、何度通っても覚えるのが苦手な人もいる。でも苦手にも種類があって、その人はひょっとしたら地図を読むのが苦手なだけで、地図のプレッシャーから解放されたら大丈夫かもしれない。はたまた、その人は左右を覚えるのが苦手なだけで、「あのみどりの建物の方向だよ」と色で言われたら分かるかもしれない。
苦手を
苦手と意識しない社会を作る
何かが苦手な人も、逆に得意な人も、それを意識せずにお互いを心地よく認め合える社会。LOOVIC株式会社はそんな社会を実現しようと、今日も挑戦を続けている。だからか、彼らが開発するまったく新しいテクノロジーには、ヒトのぬくもりがある。
一人で歩くのが不安な子ども、いつも同じところで方向を間違えてしまう若者、目的地がどっちの方向だったか分からなくなりがちなあなたと、おれ。それぞれのちょっとした苦手に、やさしく寄り添って「大丈夫。あと少しで着くよ」と背中を押してくれる。
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結局、ミチオとはラーメンを食べた。
まぁそんなこともあるだろう。
でも、もしまたここへ来ることがあったのなら、その時はわたしたちのたどり着けなかった蕎麦屋へLOOVICが連れて行ってくれるかもしれない。
その時に見える景色は、
また違ったものになるはずだ。
100円→今日のコーヒーを買う。 500円→1時間仕事を休んで何か書く。 1,000円→もの書きへの転職をマジで考える。