美団点評が描くスーパーアプリの未来はアリババを緊張させた
YJキャピタルの李路成でございます。
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まず結論から言います。スーパーアプリ戦略を実現したのはアリババ、テンセントではなく、メイン事業フードデリバリーをやっている美団点評(Meituandianping、以下美団)です。美団点評とは、2010年に設立されたクーポンサイトで、主力事業フードデリバリーが2013年から運営していました。さらに2015年口コミサイト太衆点評と合併し、デリバリー、ホテル予約、カーシェアリング、バイクシェア、などローカルライフを切り口として様々なサービスを提供しているサービスです。
中国以外のキャピタル市場で「美団って何?」という顔されますが、実は美団の戦略は中国のテック界隈に結構研究され、あのアリババでさえ、真剣に勝負の姿勢を構えて美団の展開を警戒しています。CEOの張勇(チョウヨウ)はローカルビジネス事業群(美団と直接競合となっている領域)の直リーダーになり、毎週事業の進捗、対美団の戦略をきめ細かく管理しているだそうです。
なぜ美団はスーパーアプリと言えるか
美団が目指しているビジョンはローカルビジネスサービスを中心に、同じセグメントのユーザーの異なるニーズをみたします。ローフリクエンシーからハイフリクエンシーへ、ユーザーの認知と行動を”支配"し、完全なるエコシステムをを形成するのです。
スーパーアプリの定義の定説はないものの、一般的に中国の文脈ではユーザー数1−2億人を抱え、年間使用回数は8〜10を超えるインターネットサービスのことを指しています。その本質は絶大なユーザー基盤を抱え、全方位なサービスを提供することでユーザーを他プラットホーム行かせない能力を持っていることです。インターネットの仕組み上強いプラットホームがどんどん強くなりーー”winner takes all”という特徴を持っているため、アプリの巨大化を目指すことはある意味正義に近いです。
スーパーアプリの核は本来分散化されているローフリクエンシーなニーズをアグリゲートし、ユーザーのサービス訪問頻度を高め、美団はこのロジックに沿ってこのスーパーアプリを構築してきました。このプラットホームを作るに要点が2つあると考えています。1、使用頻度をなるべく高める→ユーザー基盤を拡大する 2、同カテゴリーのユーザーが欲しいサービスをかき集める→ユーザー基盤を固める。そして美団はローカルビジネスを切り口にして、ユーザーの日常の選択を集中させ、アプリ内の相互送客させることを実現しています。また、
つまり、オンラインサービスの接点を刈り取ることで、他のサービスの代替効果を作り出す狙いです。
よって他単一サービスのアプリよりはるかに低い集客コストでユーザー獲得をし、長期的な事業競争優位性を立ち上げれるわけです。
結果、美団のDAUが6300万を達成しまして。国盛証券の見積もりでは5年以内にDAUが2億人を超えるだそうです。
なぜそれができたか
美団がスーパーアプリを狙いに行っていることは自明だが、具体的にどのように戦術面で戦略を落とし込み、うまくユーザーと飲食店&他事業主を巻き込めたかはポイントです。
1つは供給側の不の解決です。美団は中小事業主にオンライン事業の運営ツールからバックオフィスのソリューションを開発しています。もちろん、事業主側の効率を上げることプラットホームへのロイヤリティが向上されます。さらに美団のプラットホーム自体の質も同時に上がり、新規の事業主が参入する際に比較的にハードルが高くなることが言えます。
具体的にファイナンス、会社経営、マーケティング、物流、決済システム、CRM、データ分析、HRM、FMISといった面で包括的なサポートを行なっています。
ビジネスを起す前に、Kuailvを使って原材料の仕入れを解決します。美団小貸(Meituanxiaodai)は事業者向けのファイナンスも提供して、従業員の研修までも行えます。開業後には美団、大衆点評でマーケティングでき、デリバリーをやったり、物流を使って商品を手配したりすることができます。他店舗内のすべてのニーズがERPシステムを通じて解決できます。
美団のサービスの拡張シナリオは基本的にスーパーアプリの思想に沿った物です。各サービスは必ず1+1>2というシナジー最大化効果が美団の狙いです。例えばリクルートの国内メディア事業も正社員領域、バイト領域、飲食領域などたくさんサービスを有しています。ですが、各事業間がフォーカスするセグメントが違ってシナジー前提の事業戦略ではないです。どちらかというと社会全体を俯瞰し、どのような不が存在しているかを特定して、という課題ドリブンでそしてその課題がリボンモデルで解決する事業戦略だと考えています。
ということで、供給側がまず美団から提供されたソリューションでワンストップで経営課題を解決しているため、戦略的にシナジー事業を開始する際に容易に飲食店&他事業主を巻き込めたと考えます。
もう1つは美団点評の業界内でも評価される実行力です。
Founder王兴(ワンシン)の大学ルームメイト王慧文(ワンホイウェン)とともに強力なビズデブチームを築き上げました。同業二番手の餓了么(エレマ)のと比較しますと、美団の明快な戦略力と圧倒的な組織力が伺えます。
組織力の高さにより、各土俵で戦っている事業がうまく連携をとり、メンバーレベルまで事業間シナジー最大化の推進ができたと言われています。イメージはキングダムの魏国著雍攻略戦で李信の3軍連携のように、スピード感を持って同一なタイミングで同一の目標に向かうというもので、美団は複雑なスーパーアプリに必要な各パーツを巧妙に組み立てられていると思います。
スーパーアプリの戦略のパフォーマンスはどうかというと、財務の数字で一目瞭然です。
事業別で見てみると:
高頻度低利益率事業群:フードデリバリー
高利益率低頻度事業群:ホテル、レストラン予約など
その他新規事業:野菜購入、チケット、カーシェアリング
2020年まで徐々に黒字化に向けて営業利益を劇的に改善し、コロナウィルス後にも外食を控える状況は続き、飲食店のデリバリー参入が加速していました。
そこから獲得できたトラフィックを旅行事業に誘導し、ホテルはCtripグループとは違う客層を狙って、二三級年の安いビジネストリップを求める客をどんどん取り込んできました。コロナウィルスの影響で一時的に予約数が落ち込んでいたが、現在国内の近場旅行が回復しています。ホテル&旅行事業群の営業利益率を見ていると、この戦略はうまく機能していると言えるでしょう。
さらにフードデリバリーを始め、生鮮、果物野菜、生花などの配送は日4000オーダーを突破しています。同時に餓了么(エレマ)は2000万オーダーほど止まっています(この数字は推測です)。今後ローカルビジネスを基盤とする美団は徐々にEC、金融などの周辺事業を取り込んでいくでしょう。
そこでアリババが大きな危機感を覚えて今年の組織変更にCEOの張勇が旗を振っていました。まずは張勇がローカルビジネス事業群に配分する時間が週一から週二へ変更しました。また、元々全国24個の区域を7区域に再編し、24個の責任者も3名から2名へ変更し、レポートラインも直接張勇に対して行うとなりました。
最後に
まとめると、美団が誰もが高く見積もらない薄利多売のデリバリービジネスをハイレベル戦略力と鬼のような実行力によって、スーパーアプリまで育てました。スーパーアプリを考えるビジネスマンの方々はこの正攻法を完璧に実行してきた美団点評をより深く理解すべきであろう。
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拙い文を最後まで読んでいただきありがとうございます。殴り書きで的確でないところがあるかもしれませんが、是非ご指摘よろしくお願いいたします。
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