アフターコロナにO2Oの実態ーデリバリーサービス美団のサバイバル記
どうもYJキャピタルの李路成です。
コロナウィルスの中みなさんいかがお過ごしでしょうか。おそらく一番ご実感されているのは街の中、本当に人が減っていることなのではないでしょうか。そして、どんどん飲食、百貨店の”バッド”ニュースが流されていました。
テイクアウト&デリバリーで外食を救おうって誰も思うが、まだデリバリー習慣広がっていない日本ではやや手に汗を握ります。一方、中国のデリバリー最大プレイヤーの美団もコロナ危機で広東省飲食連合との対峙で波紋を呼んでいます。今回は美団のビジネスを見つつ日本のデリバリーの先行きを予測してみたいです。
1、デリバリーの覇者美団とは?
1.1ビジネスモデル
一言で時価9兆円、中国インターネット企業価値ランキング3位の企業です。やってる事業(2019年データ)は
という三本です。日本の企業で例えると、食と娯楽にフォーカスしたリクルートのイメージです。
1.2プロダクト
アプリの画面は以下ですが、よく見かける中華系のデザイン仕様です。上段に検索やトップバナー、中段にコア機能、下段にレコメンドの構成で、中段にあるのは「飲食」、「チケット」、「ホテル」、「お買い物」のアイコンです。並びの順番は事業に対してのインパクトをある程度説明できるでしょう。
特にデリバリーサービスは利用頻度が高く、上での「美団」アプリとは別に「美団デリバリー」アプリを作っています。UIは下記のようになっていますが、中段にあるアイコンは全て食べ物の分類になっています。(中にデリバリー薬品というジャンルもあります。)
1.3市場
今美団とよく肩並びをする競合企業はアリババ傘下のデリバリー企業“饿了么(ELEME)”です。
だが、市場占有率は圧倒的に美団の方が64.6%で高く、ELEMEと比べてtier2~tier3都市のユーザーを獲得できています。
配送効率についてはTrustdataによると、毎年一回あたりの配送時間は短くなっています。2019年1-6月の平均配送時間は29分まで収まることができました。
加入店舗数において美団が2019年4.5億店まで達して、昨年度より+12.5%です。
そして直近の財務公開情報では初めて純利益が前年度(FY2018)の▲1683億円から今年度(FY2019)の409.59億円です。長らく続いたデリバリーサービス儲からないという都市伝説を打破しました。中国の市場においてデリバリーのリーディングカンパニーと呼んで良いでしょう。
1.4ユニットエコノミックス
2017年のデータによると
レベニュー:290億元の収益で、29億回のオーダー
デリバリー員コスト:7元x20オーダー/日
そのたコスト:ユーザー優遇補助金、およそ1元/オーダー
販管費比率はおよそ20%
なので、なるべくテイクレートをあげるのと、デリバリー効率最大化によるコストダウンはユニット成立させるための鍵です。
2、コロナウィルスは美団にどのような影響をもたらしたのか
問題は二段階で見るべきと考えています。
第一段階2020.1.23~2.14
この期間は大規模なロックダウンが開始してからの二週間です。人々が急にどこにも行けず、パニック状態の二週間でした。
iResearchのデータによると、旧暦年末の帰省ラッシュとコロナウィルス のロックダウンのダブルパンチによって実はデリバリーサービスの利用数が昨年度より減ったのです。
青い線が対昨年度のAPP使用回数であり、1月第二週からはマイナス、第四週は-10.4%になっています。
一方で、叮咚买菜(https://apps.apple.com/cn/app/%E5%8F%AE%E5%92%9A%E4%B9%B0%E8%8F%9C-29%E5%88%86%E9%92%9F%E9%B2%9C%E5%88%B0%E9%B2%9C%E5%BE%97/id768082524)といった生鮮サービスは逆張りをして伸びています。図では春節長期休暇後の対昨年度伸び率を示していて、いつもの年と違うトレンドを示しています。
第一段階では収益は下がる構造に見えます。
第二段階 2020.2.15~2020.4.10現在
第二段階のサインは各業界がコロナウィルス のことよりコロナウィルス の経済的な影響を考え始めたことです。飲食業界はその中一番早く直撃していて、飲食店は春節特需対応のため恒例はいつも平時より少し多めに卸売やから注文しておくのです。だが、外出制限によってキャンセルが相次ぎ、大量な浪費が発生していました。なので、今までデリバリーに登録していなかった企業もデリバリーから活路を見出そうとしていました。供給側は特に盛んでいました。しかし、儲かったと思う店舗数はほとんどいない。なぜなら、慌てて出店し、全く美団内のSEOやSEM、そしてメニューの最適化が行っていないし、できたとしても店舗や人員のコストをとてもカバーできると思わない人がほとんどです。
また、巣篭もりがしばらく続いて人々はやがて在宅生活に疲労感が湧き上がり、デリバリーに対する需要も高まっていました。急激に増えた需要に対して美団がまた33.6万人のデリバリー員を増やしました。下の図は美団自身が行った調査で「ロックダウン中インターネットサービスのどれを使って何をするか」に対して「美団でデリバリー注文する」と答えた人は71.7%です。
そのため、第二段階では「店舗数急増」、「注文数急増」、「美団のデリバリー員も増加」といった構造になったのです。これは美団が大炎上したニュースとつながりました。
<2020.4.10広東省飲食協会連名抗議事件>
4月10日に広東省飲食業界連合会は何百社の飲食店を代表して、美団は不当な寡占的地位を利用し、広東省の飲食店の経営に多大なる負荷をかけていると訴えつけていました。
理由は簡単です。
①高い手数料
②独占契約
手数料は下記の例で考えてみます。上海にある小規模飲食店を例えとします。
人件費:5人雇用して、月35,000元ぐらい拠出
地代:人気じゃない商圏に150平米、月25,000元
原価:屋台系料理なので、料理単価は15元前後、原価は8元ぐらい、客単価は23元前後
1ヶ月の概算で入店客は5760人の場合、粗利率はだいたい19%で、残りの利益は26400元
だが、デリバリーを使うと、一回あたり注文の原価は+4.5~6.5元になるので、4.5の計算だと粗利率は4%まで下がり、営業維持するための細かな出費を加えると飲食店はほぼ儲かりません
上の例からお分かりになると思いますが、毎回の注文+4.5元だけでもかなりの負担です。実際手数料レートは2017の8%から2020の一部20%までもなっています。(武漢など一部は手数料免除、もしくは値下がりをしている)、
独占契約は飲食店が美団に出店する場合他同業他社に登録してはならないという二点です。
デリバリーによる手数料の収入は約7530億円の規模です。財務公開データによると、そのうちのだいたい80%の6219億円はデリバリー員給料です。それ以外のコストはデータサーバーのコストや消費需要を刺激するためのマーケティング費用が挙げられます。
従って、第二段階さらにこれからの世界では実は美団が直面しているのは経済下向するトレンドに対して、ニーズの下落と手数料が取れるレンジが圧縮されることです。
4月18日広東省飲食業界連合会は美団と和解の声明を出しました。条件として飲食店がコロナ影響から生き抜けるまで手数料の優遇措置をとることでした。そうしたことは飲食業界に対しても美団に対してもメリットしかないことでした。美団は実に飲食業界と共同運命体となっていて、いかに早く飲食店をコロナ影響を塗りつぶすことやどれだけ店舗運営の効率化させることが美団自身のサバイバルするキーとなるでしょう。
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参考内容
1、消費行動、コロナで一変 クレカ決済のビッグデータ分析:https://www.asahi.com/articles/ASN4J4WC3N4HULFA001.html
2、美団財務データ:http://meituan.todayir.com/attachment/202003301717261783547356_en.pdf
https://meituan.todayir.com/attachment/2020041708160230919238681_tc.pdf
3、デリバリー市場http://www.199it.com/archives/924253.html
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