マイホームが舞い込むと?
「俺はマイホームがほしいんだよな」
普段、ほぼ物欲がなく、サッカーの試合にだけにしか
お金を使わなかった我が夫は籍を入れた当初から
この言葉をよく口にしていた
普段、どこに行っても、財布の紐が硬い男が
なぜ、それほど家にこだわるのか・・
当時の私には全く理解できなかった
もちろん一般的な、いわゆる
『マイホームを持ってこそ一人前!』という価値観があるのは
漠然とわかってはいたが、我が夫のそれには
なにか違う『執着』のようなものを感じていた
結婚式も挙げず、ハネムーンもお金をためてから・・・
とようやく2年後にいけたハネムーンの後
それほど貯金もないのに、彼は
「近所の家が売りに出される!購入を考えてるから見学に行く」
と言い出した
私は乗り気ではなかったが、ついて行くと
家の持ち主の初老の男性が
「生活スタイルが変わってしまったのでね・・」
と苦笑いしながら、家の中を案内して下さった
丁寧な方だったが、やはり家は随分と年季が入っており
壁からは、どこか時代を感じさせるレトロ感が感じられた
そして、入口の玄関を支える柱には大きなひび割れができていた
帰り道に「残念だけど、この家はなかなか売れないかもしれないね・・」と
当たり前のように私が言おうとした時
我が夫はローンを組み、その家の購入に話を持って行く気マンマンであった
私は驚いた
なぜそれほどまでに家が欲しいのか・・
当初は全く理解できなかったのだが、数年後
その価値観が彼の国籍である韓国の文化の影響があることに気がついた
韓国では、不動産資産を持つということに
夢をもつ若者が多い
実際、韓国ではお金ができたら不動産を購入しておき
その後事業が駄目になって、首が回らなくなっても
一家全員、不動産のお陰でなんとか生き延びられた
という世代が昔から多く存在していたため
その価値観が浸透しているのではないかと思う
ご存知の方も多いかと思うが
昨今のソウルの不動産価格の上昇に歯止めがかからず
「家を買えないなら、何を目的に生きればいいのか?」と
苦しんでいる若者が少なくない
そして、大統領選挙にも不動産の価格についての公約が
若者の票集めになったりする
チャ・スンウォンが不思議な役柄で大活躍する
パニック??ムービー『奈落のマイホーム』では
そんな韓国社会の様々な考察が描かれていて
とても興味深かった
私にはそこに出てくる、三人家族の父親が
どうしても我が夫に見えてしまい
決して他人事と思えなかった
え??
我が家は結局マイホームを手にいれたかって??
それはもちろん・・・・
我が家の近所にチャ・スゥオンが引っ越してくるという知らせがくれば
考えようかと思っている