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#420 弁護士と簿記:譲渡制限株式の価格算定
【 自己紹介 】
※いつも読んでくださっている方は【今日のトピック】まで読み飛ばしてください。
弁護士古田博大の個人ブログ(毎日ブログ)へようこそ。プロフィールページはこちら
このブログでは,2017年1月に弁護士に登録し,現在弁護士5年目を迎えている私古田が,弁護士業界で生き残っていくために必要不可欠な経験と実績を,より密度高く蓄積するため,日々の業務で学んだこと・勉強したこと・考えたこと・感じたこと,を毎日文章化して振り返って(復習して)います。
僕の経験と実績を最も届けなければいけないお相手は,このブログを読んで,僕のお客さんとなってくださるかもしれない方々,つまり,法律のプロではない皆さんだと思っています。そのため,日々の業務・経験がこのブログのトピックになっているとはいえ,法律のプロではない方々にわかりやすく伝わるよう,心がけています。
後戻りの必要なく,スラスラと読み進められるようにも心がけていますので,肩の力を抜いて,気軽な気持ちでご覧くださるとと大変嬉しいです。
【 今日のトピック:簿記 】
今日は,素人ながら,「簿記」について書いてみようと思います。
プロフィールページにも書いていますが,僕は,簿記2級に合格しています。
昨年2月に受験しているので,もう1年も前の話ですが,それでも,簿記2級に合格したことは間違いありません。
しかも,毎日家計簿を複式簿記でつけているので,複式簿記の操作はお手のものです。
複式簿記に対応したExcelファイルを無料でウェブページにアップしてくれている方がいて,その無料Excelファイルを,ありがたく使わせてもらっています。
本当にありがたいです。
まあ,僕が複式簿記を勉強し始めたのは,2019年にうつ病を発症した後なんですが(僕のうつ病エピソードについては,これまでたくさん書いていますので,ご興味のある方はそちらを御覧ください),きっかけは,うつ病とは別です。
仕事で,簿記に出会ったんです。
その「仕事」とは,株価の算定です。
「株価」といっても,もちろん,その会社は上場していないので,市場価格があるわけじゃありません。
市場価格がない株価をどうやって算定するんだよ!と思われるかもしれませんが,市場価格のない株価を算定するというパターンは,それなりにあります。
僕も専門じゃないのですぐにパターンがいくつも思いつくわけじゃありませんが,僕が直面したのは,譲渡制限株式の買取請求の場面でした。
難しい言葉が出てきたので,少しずつ説明します。
譲渡制限株式って,その名の通り,「譲渡」が「制限」されているので,基本的に株価を売ったり買ったりすることができません。
ただ,「譲渡」が「禁止」されているわけじゃないので,一切売れない,というわけじゃない。
「譲渡制限」であって,「譲渡禁止」ではないので,「譲渡」は可能です。
ただ,譲渡するには,会社の許可が必要なんです。
会社の許可なく株式を売却することができない。だから,「譲渡制限」なんです。
売ろうとしても,会社が許可してくれなかったら売れない。
「じゃあ,結局売れないじゃん!」となってしまいそうですが,そうじゃないんです。
そもそも,会社が許可しない限り手放すことができない株式なんて,そんなの誰も欲しがりません。
こういう譲渡制限株式の争いって,会社を作った後に,仲たがいしてしまうことがきっかけなんです。
株式を持っている,ということは,その会社に出資しているということです。
そして,自分以外にも株主がいるからこそ,「会社が許可してくれない」という場面に直面するんです。
株式を手放そうとしている株主も,最初は,会社側についている株主=多数派の株主とも仲が良かったはずです。
一緒にお金を出し合って会社を作り,ビジネスを始めているわけですから,最初から仲が悪いはずありません。
でも,時間が経つにつれて,仲が悪くなってしまうこともあります。人間なんて,そういうもんです。
将来の人間関係なんて,誰も予測できません。
そういった,どこにでもあるような「人間関係のすれ違い」が,譲渡制限株式の場面で顕在化すると,「譲渡制限株式を譲渡する」となっていくんです。
「譲渡制限株式」なんて書くと,めちゃくちゃ難しそうな感じがしますが,そこにあるのは,よくある「こじれた人間関係」です。
ちょっと脱線しましたが,まあ,そうやって,多数派の株主とケンカしてしまって,譲渡制限株式を手放したいと思う場面も出てきます。
そういう場面が起きることは,長い歴史上何度もあったはずで(「人間関係のこじれ」なんて,太古の昔から数え切れないほど起きてきたでしょう笑),法律が,そういう場面を想定していないはずありません。
譲渡制限株式を手放したいと思う人は当然現れる。
にもかかわらず,その「手放したい」という要望を完全に否定してしまうと,そもそも「譲渡制限株式」なんて誰も使っていません。
でも,実際はめちゃくちゃ使われています。ほとんどの会社の株式は「譲渡制限株式」となっています。
めちゃくちゃ使われているということは,譲渡制限株式を手放す人を保護する方法がきちんと用意されている証です。
「譲渡制限株式」は,「会社の許可」がなければ譲渡(売却)できないとは書きましたが,じゃあ,「許可」が出ない場合はどうするのか。
その場合,会社が,譲渡先(売却先)を指定する必要があります。
つまり,株式を手放そうとした(売ろうとした)株主側が提案してきた売却先に売ることは拒否できるけれども,会社が指定した売却先に売ることは拒否できないんです。
だから,最終的には「譲渡制限株式」といえども,売られちゃうんです。
「譲渡制限株式」も必ず売られちゃう。
しかし,大事なのは,売却「代金」です。
株主側が提案してきた売却先を拒否した会社側が指定してきた売却先は,当然ながら,会社と何かしらの関係があるはずです。
もしかしたら,その売却先と会社との間で,代金は会社が持つという密約が結ばれているかもしれません。
とすると,会社が指定した売却先としては,なるべく安く購入したいはずです。
まあ,普通に考えても,買う方はなるべく安く買いたいと思いますよね。
これに対して,売る方は,なるべく高く売りたい。
だから,売る方と買う方って,完全に利害が対立します。
しかしながら,譲渡制限株式の譲渡って,会社が売却先を指定した瞬間に,代金未確定のまま売買契約が成立したとみなされます。
だから,株を売ることは決まってしまっているんです。
そうすると,「いくらで売るか(=いくらで買うか)」を決めなきゃいけません。
でも,お互いの利害は完全に対立している。
話し合いで決まればいいんですが,決まらないこともあります。そりゃ,利害が真っ向から対立していますから。
話し合いで決まらない場合,決める方法を定めておく必要があります。法律で。
じゃあ,法律には何が書いてあるかというと,「裁判所に決めてもらう」と書いてあります。
裁判所に売却代金を決めてもらう手続きがあって,この手続きによって,売却代金は決まります。
ただ,裁判所も,譲渡制限株式の売却代金を決める方法なんて知りません(笑)。
東京地裁のように商事部があれば,めちゃくちゃ精通している裁判官がうじゃうじゃいますが,それ以外の裁判所では,譲渡制限株式の価格を決められる裁判官は,まずいないでしょう。
そういった素人裁判官を相手に,自分のお客さんに有利な結論に持っていけるよう,説得する必要があります。
この「説得」には,簿記の知識が不可欠なんです。
そもそも,株価というのは,その会社の利益によって決まります。
一般的に,株価は,その会社が1年間に生み出す利益から導きます。
会社を,「1年間に〇〇円の利益を生み出す物体」としてとらえるわけです。
その会社が,これからもビジネスを続けていくわけですから,将来も利益を生み出します。
その将来利益を足し算するんですが,ただ,将来のことなので,当然ながらリスクがあります。
将来のことは誰もわからないからです。
その「リスク」を差し引いた利益を足し算した結果として,株価が算定されます。
この話はめちゃくちゃ簡単なんですが,いざ,会社の財産関係書類を見ると,簿記が読めない僕にはむりぽでした。
簿記を学んだ今ならわかりますが,会社の「利益」というのは,日々積み重なる「売上」が源泉となっています。
売上が,複式簿記によってどのように計上されるのか。
売上を生み出すために必要となる「費用」が,どのように計上されるのか。
それすら理解できていない場合,「利益」なんて,どれだけ財産関係書類を見ても見えてきません。
いやあ,本当に,簿記の知識の必要性を痛感しました。
今思うと,複式簿記って,とてもわかりやすくて,めちゃくちゃ優れた仕組みなんですが,知識がないと,ちんぷんかんぷんです。
そして,いざ勉強してみたら,僕の性に合ってました。これは本当にラッキーでしたね。
複式簿記って,簡単にいうと,「お小遣い帳の難しいバージョン」なんですが,どうやら僕は,お金を数えるのが好きみたいです(笑)。
お金を稼いでも,そのお金の使い方は,多くの日本人と同じようにヘタクソなんですが,お金を数える才能はあるみたいです。
これから少しずつ,お金の使い方も学んでいきたいですが,とりあえずは,お金の数えるのが好きなので,そちらに集中していきたいです。
お金の上手な使い方は,西野亮廣さんがオンラインサロンで教えてくれるので,それを毎日読みながら,そして,稼いだお金を実際に使ってみながら,少しずつ上達していきたいです。
今から少しずつ会計の勉強して,来年の公認会計士試験を受験しようと思っています。
あと1年7か月くらいあるので,毎日少しずつ着実に勉強を進めたいです。
それではまた明日!・・・↓
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