#499 自動車の評価損=修理しても戻らない価値の下落
【 自己紹介 】
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【 今日のトピック:自動車の評価損 】
「自動車の評価損」と,唐突に言われて理解できる方って,あんまりいないと思います。
僕も,弁護士になるまで,「評価損」という言葉を聞いたことありませんでしたし(笑)。
弁護士なんて,そんなもんです。どの仕事もそうですが,仕事をするようになって初めて知ることばかりです。
前置きはこれくらいにしておいて,「評価損」の話です。
「評価損」は,交通事故のケースでしばしば出てきます。
そもそも論から始めますが,交通事故に遭った被害者は,加害者に対して,損害賠償を請求することができます。
「損害賠償」とは,被害者が受けた被害をお金に換算して支払ってもらう,ということです。
「被害者が受けた被害」の代表例は,「ケガ」です。
交通事故でケガを負い,その治療費がかかったとか,ケガの痛みによって精神的苦痛を受けて慰謝料を請求するとか,そういった「損害賠償」が,多くの交通事故で問題となります。
でも,交通事故で発生する被害はケガだけではありません。
自動車の修理費も,交通事故で発生する損害に含まれます。
だから,交通事故の被害者は,交通事故によってキズついた自分の自動車の修理費も,加害者に対して請求できます。
例えば,交通事故によってフロントガラスがベコベコに割れてしまったのであれば,フロントガラスの修理代(新しいフロントガラス代+割れたフロントガラスの取り外し費用+新しいフロントガラスの取り付け費用)を,加害者に対して請求できます。
普通の交通事故であれば,自動車に関して発生する損害は,修理代と,あとは,代車費用くらいです。
「代車費用」とは,自動車を修理に出している最中は,自動車を使えないので,その間,修理業者などから車を借りているのですが,その車のレンタル費用が「代車費用」です。
修理代と代車費用を,車の「損害」として,加害者に請求できるのですが,これに加えて,「評価損」も請求することがあります。
「評価損」は,車の修理代とも代車費用とも別モノです。
普通に考えると,車を修理して,修理している期間の代車費用を貰えれば,それで満足できるような気もしますが,そうではないケースがあって,それが「評価損」を請求したくなる理由です。
そもそも,自動車を修理しても,完全に元の状態に戻るわけではありません。
まあ,例えば,キズがついたのはフロントガラスのみで,フロントガラスを交換すれば完全に元通りになる,ということもあります。
ただ,車のフレーム(↓の画像参照)が歪んだり傷ついたりすると,「完全に元通り」とはいきません。
いちどフレームが歪んでしまうと,歪んでしまったという事実を元に戻すことはできません。
歪んだフレームは,修理して再び伸ばすことはできますが,とはいえ,歪んだフレームを伸ばすことによって,強度が落ちてしまうことは避けられません。
歪んだフレームを伸ばしたことで強度が落ちた状態の自動車は,事故前の自動車とは別モノです。安全性が違うからです。
フレームのどの部分がどれくらい歪んでしまったのかによって,安全性の落ちる度合いは変わってきますが,とはいえ,フレームは,車体の土台となる部分ですから,ここが歪んでしまったことによって安全性に大きな悪影響が生じてしまいます。
そして,この安全性の下落が,車両価値の下落も引き起こしてしまうのです。
そりゃそうですよね。現状,フレームの形に問題はないとしても,過去に歪んだことがあって,それによって安全性が低下しているのであれば,価値も当然下がります。
この「価値下落」は,どれだけ修理しても避けられません。修理してもなお価値が下落してしまう,という話だからです。
こういった,「修理してもなお価値が下落してしまう」というのを「評価損」という言葉で表現しています。
この「評価損」も,被害者は,加害者に対して請求することができます。
【 まとめ 】
今日は,「評価損」とは何か?という話でした。
理論的に言えば,修理しても避けられない価値の下落があれば,その下落した価値の分を請求できるのですが,「価値の下落」があるかどうか,激しく争われることも多いです。
修理したことで元に戻っているのだから価値の下落はない,という理屈です。
事故によって,車両のどの部分にどれくらいのキズが発生したのか,
そのキズが,どうやって修理されたのか,
そんなことを立証していくことになります。
それに加えて,下落した価値の金額がどれくらいなのかを算定するのが難しいケースもあります。
評価損を請求したいと考えている方は,弁護士に相談することをオススメします。
それではまた明日!・・・↓
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