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弁護士の僕ならこうやって立退きに対処します-3(法律知識の確認)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:賃貸物件の立退き 】

今日は、まず、昨日のブログを補足します。

昨日のブログでは、「僕だったら立退き要求はとりあえず無視します。」と書きましたが、これは、将来必ず、大家さんとの交渉が必要になってきます。

なぜなら、僕が立退き要求を無視したくらいで、大家さんは諦めないからです。

だから、僕の手法だと、大家さんとの紛争を生み出しかねません。

これに対し、いちばん穏便な対応は、大家さんからの立退き要求を鵜呑みにすることです。

大家さんが提示してきた期限までに、自分のお金と時間を使って新しい物件を探して初期費用を支払い、自分のお金と時間を使って引っ越し業者に引っ越しを依頼する。

これが、いちばん穏便な手段で、穏便を重視する方は、これで結構です。

先ほど書いたとおり、大家さんからの要求を拒むということは、大家さんと交渉しなければならない負担が発生します。

僕は弁護士ですから、交渉をあまり負担には感じないので、大家さんからの要求を鵜呑みにした結果として、立退き料が貰えなくなってしまうことが「もったいない」と考えます。

しかし、「立退き料なんてどうでもいいから、なるべく穏便に済ましたい。大家さんが立ち退いてほしいのであれば、まあ、立ち退いてあげてもいいか。ちょうど引っ越しを考えていたし」と考える人もいたっていいんです。

その考えが、法的に間違っているとか、そういうことはありません。

争いごとを避けて、そのぶん、楽しいことに自分の時間を使うという選択肢もあっていいです。自分の時間とお金は、自分で自由に使いましょう。

ただ、あくまで、僕の場合は、大家さんとの交渉事が増えたとしても、大家さんの立退き要求を鵜呑みにすることは納得できないので、昨日書いたように、「立退き要求をとりあえず無視」します。

立退き要求の書面なんて見なかったかのように、前日までと同じ生活を続けます。

ただ、大家さんは、わざわざ書面まで作成して立退きを要求しているわけですから、無視したら、必ず次の攻撃を仕掛けてきます。

この視点を忘れたらダメです。

大家さんからの立退き要求を無視していれば、以前までの生活がいつまでも続くかというとそうではなくて、無視された大家さんは、次のステップに移行して、さらに強く立退きを求めてきます。

こんな面倒ごとに巻き込まれるくらいなら、さっさと立退きに応じちゃうという選択肢も、僕はあっていいと思います。

ただ、僕はそれでは納得できない、ということです。

さて、こういったことを前提に、今日は、立退き要求に関する法的知識を整理しようと思います。(↑に書いた、「次のステップ」についても、おいおい出てきますので、少々お待ちください。)

「法的知識」なんて書くと、なんか難しそうですが、今日僕がお伝えしたいのは、「契約が終了しないと法的に立ち退きを要求できませんよ」という、ただ1点です。

そんなに難しくないですよね?

そもそも,僕が大家さんが持っている物件に住めているのは、大家さんとの間で「賃貸借契約」を結んだからです。

「賃貸借契約」とは、簡単に言えば、「毎月家賃を払うから部屋に住まわせてもらいます」という契約です。

この「賃貸借契約」は、部屋に住む「権利」を法的に発生させます。とすると、大家さんが法的に立退きを請求するためには、この契約を終了させて、僕の「住む権利」を消滅させなければなりません。

契約が続いている限り、部屋に住む法的な権利は消滅しないので、大家さんは、僕に対して法的に立退きを求めることはできないのです。

「立退き」って、こういう仕組みになっているんです。

じゃあ、僕を立ち退かせたい大家さんとしては、何としてでも、僕との賃貸借契約を終了させたいですよね?大家さんは、そのために何をするでしょうか。

大家さんのとった行動は、今のところ、「今年いっぱいで立ち退いてくださいね」という書面を僕の郵便受けに入れただけですが、この行動では、賃貸借契約は終了しません。

大家さんにとっては残念なお知らせですが(笑)。

大家さんが、僕との契約を終わらせる手段は、僕が家賃を滞納しているかどうかで変わってきます。

僕が家賃を滞納している場合は、大家さんから解除通知を僕に対して送ります。「〇月×日までに滞納賃料全額支払わないと契約を解除しますよ」という書面を僕に送るわけです。

大切なのは、僕が家賃を滞納していても、それだけで当然に契約が終了するわけではないということです。

僕が家賃を3か月滞納していても、大家さんは、「滞納家賃全額を支払え。さもなくば契約を解除するぞ」としか言えないんです。いったんは、滞納家賃全額の支払いを待たなければなりません。

ただ、「待つ」といっても、その期限は、10日間くらいで十分です。本来、家賃は、契約で決められた期限までに毎月返済しなければいけないのに、それを滞納しているわけですから、「待たなきゃいけない」といっても、ほんの短期間でいいんです。

既に払ってなきゃいけないお金ですからね。少しだけ待てばいいです。

ただ、「待たなくていい」わけではありません。原則として、「滞納家賃全額を払え」と請求して、10日間くらい待たないと、大家さんは契約を終了させられません。

まあ、家賃を1年以上滞納しているとか、かなり悪質であれば、「無催告解除」といって、待たなくても契約を終わらせることができます。

ただ、こんなに長期間の滞納を放置するくらいなら、3か月の家賃滞納を理由に解除通知を出したほうがいいでしょう。僕が大家さんならそうします。3か月も家賃を払わない住民には秒で出ていってほしいですから。

しかし、待っている間に、滞納家賃全額が支払われたら、契約は終わらせられません。またもや、大家さんには残念なお知らせです!

賃貸借契約書には、家賃を1か月でも滞納したら無催告解除できる、と書かれている場合もありますが、この契約条項がそのまま裁判でも認められることはあまりありません。

1か月や2か月の家賃滞納で契約を終わらせるのは、かなり難しいです。

1か月や2か月の家賃滞納を理由に解除通知を送り、期限までに家賃の返済がなかったとしても、その後、滞納分も含めて家賃を全額返済し、以後、家賃の滞納もないのであれば、裁判では、契約は終了していないと認められる可能性が高いでしょう。

「家賃を1か月でも滞納したら無催告解除できます」と契約条項に書かれていても、です。

しかし、家賃を3か月以上滞納し、それを理由に解除通知が大家さんから送られてきた場合に、期限までに家賃全額を返済できなければ、その後に家賃全額を返済したとしても、契約が終了したという事実は覆せません。

契約は、解除通知に書かれた期限までに家賃全額の返済がなかったことによって、その期限の翌日に終了してしまっています。

だから、大家さんは、契約終了を理由に、法的に、立退きを求めることができます。

僕が家賃を滞納していた場合の前提知識はこれくらいにしますが、前提知識の確認は、明日も続きます。

今日は、僕が家賃を滞納している場合についてお話をしましたが、実のところ、僕はきちんと家賃を毎月払っています。

そんな僕に対して、大家さんは立ち退きを求めてきたわけですが、先ほど説明したとおり、法的に立退きを請求するためには、僕と大家さんとの賃貸借契約を終了させなければなりません。

しかし、家賃をきちんと毎月払っている僕との賃貸借契約を、大家さんは一方的に終了させることができるのでしょうか。

明日は、この辺から話していきます。

それではまた明日!・・・↓

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