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交通事故の被害にあった場合に弁護士の僕ならどうするか-7(評価損)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:交通事故 】

昨日に引き続き交通事故について書いていきます。

さて、昨日のブログでは、「経済的全損」について書きました。

50万円の価値しかない自動車を、100万円かけて修理する意味はないので、損害として請求できるのは、自動車の価格50万円のみですよ、という話でした。

さて、今日も、もう少し修理代についてお話しようと思います。

今回の設定では、僕の新車プリウス(納車から1か月ほど)が、後ろからヤリスクロスに追突されましたが、その修理代は、幸運にも30万円で済みました。

リアバンパーを交換し、テールランプを交換するだけで修理できたので、この程度の修理代で済んだようです。

ただ、例えば、自動車のフレームが歪んでいたらそうはいきません。

「自動車 フレーム」で検索してもらえれば、「フレーム」の意味がなんとなくわかると思いますが、「フレーム」とは、要は、自動車の骨組み部分です。

この骨組みが歪んだり、切断されたりしたら、交換するわけにはいきません。

「フレームを交換する」となると、それはすなわち、自動車を最初から作り変えることを意味します。

たった1台の自動車を、オーダーメイドで作り変えることになるわけですが、そんなことしていたら、どれだけ納車されたばかりの新車でも、修理代が自動車の時価を超えてしまいます。

その結果、昨日説明した「経済的全損」の話と同じように、修理代を請求することはできません。

フレームが歪んだり、切断されたりしたら、それを交換するのではなく、歪みをまっすぐに伸ばしたり、切断された部分を溶接してつなぎ合わせたりします。

そういった作業が「修理」になるわけで、その修理代が、自動車の時価額を下回っていたら、修理代を丸々「損害」として請求することができます。

しかし、フレームが歪んだり、切断したりしていると、「評価損」という話が出てきます。

というのも、確かに、歪んだフレームをまっすぐに伸ばしたり、切断したフレームをつなぎ合わせたりすれば、それは「修理」にはなりますが、「完全に元どおり」ではありません。

フレームを交換したわけではないので、過去にいちど歪んだ(または切断した)フレームを使い続けていることになります。

フレームが歪んだり切断したりしていると、その自動車は、安全性に問題が生じているとみなされ、価値が落ちてしまうのです。

今回の設定のように、フレームには損傷がなく、リアバンパーを交換するだけで修理が完了するのであれば、それは「完全に元どおり」なので、理論上は価値が落ちることはありません。

(もちろん、過去にリアバンパーを交換したという事実によって、価値が落ちることはありうるのでしょうけど、その価値減少は、法的には「評価損」ではないと考えられています。)

しかし、フレームが歪んだり切断したりしていると、それによって、安全性に問題が生じているので、価値が下がってしまうことが法的に認められており、こういった、「修理しても払拭できない価値の減少」が「評価損」と呼ばれています。

この「評価損」は、結構な頻度で請求されることがあるんですが、この「評価損」は、なかなか認められにくいですし、認められても、その金額はかなり少額であることがほとんどです。

これまで説明したように、評価損は、「修理しても払拭できない価値の減少」なので、今回の設定のように、リアバンパーとテールランプを交換するだけの修理なら、修理によって価値は元に戻っているので、評価損はないとみなされてしまいます。

フレームなど、自動車の重要な構成部分に損傷が生じ、一応修理は完了したものの、過去に歪んだことがあるフレームを使い続けているという事情があれば、それは「評価損」と認められるでしょう。

しかしながら、評価損の金額は、修理代の1割~2割ほどが相場です。

だから、例えば、修理代が100万円もかかった場合でも、評価損として認められるのは10万円~20万円程度です。

修理代は修理工場に払うお金ですから、そうすると、被害者の手元に残るのは、フレームが歪んでしまい安全性に問題がある自動車と、現金10万円~20万円だけです。

これだけ残っても意味がないと思って、自動車を売却して(下取りに出して)、自動車を買い替える人もいます。

そうやって、いわゆる「買替差額」を請求する人もいます。

例えば、本来50万円で下取りに出せるはずだった自動車が、事故によって10万円でしか下取りに出せなくなったから、その差額を請求する!という主張です。

これについては明日書こうと思います。

それではまた明日!・・・↓

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