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#494 交通事故と弁護士費用特約:なるべくわかりやすく説明しています

【 自己紹介 】

※いつも読んでくださっている方は【今日のトピック】まで読み飛ばしてください。

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【 今日のトピック:弁護士費用特約 】

自動車保険に加入するとき,「弁護士費用特約つけますか?」と聞かれることも多いと思いますが,今日はこの「弁護士費用特約」についてお話していこうと思います。

交通事故が発生した場合,弁護士に依頼することもあります。

全部が全部,弁護士に依頼しなきゃいけないわけではありませんが,後で説明する通り,依頼したほうがいいケースも多いです。

その際の弁護士費用を負担せずに済むのであれば,加入しておいたほうがよさそうな気がします。

しかも,弁護士費用特約をプラスしても,上乗せされる保険料も,かなり安いです(笑)。

例えば,↓の保険会社だと,弁護士費用特約をプラスすることで増える負担は,年間3500円です

1か月あたり300円ほどで,万が一の際,弁護士費用を負担せずに済むのなら,まあ入っていてもいいと思います。

ただ,弁護士費用特約ってどんな保障なのか,あまり理解されていないことが多いような気がします。

弁護士費用特約って,交通事故が起きたら,何でもかんでも弁護士を無料でつけられる,ということではないんです。

この点が誤解されがちなのですが,弁護士費用特約を使うのは,交通事故で被害を受けた場合だけです。

そもそも論から始めますが,交通事故が起きると,自分が被害者になる場合もあれば,加害者になることもあります。

「もしものとき」というワードで思考停止するのは,あんまり得策ではありません。「もしものとき」には,自分が被害者となるケースと,自分が加害者となるケース,どちらも含まれているからです。

自動車保険に加入する際は,「もしものとき」という言葉の意味を,もう少し掘り下げて考える必要があります。

「掘り下げて」というのは,自分が加害者になるケースと,自分が被害者になるケースに分けて,それぞれのケースでどんな保障が受けられるのかを考える,ということです。

で,自分が被害者となった場合に,弁護士費用を負担せずに済むのが「弁護士費用特約」です。

交通事故の被害者となった場合,加害者に対して損害賠償を請求することになりますが,弁護士に依頼しないのであれば,基本的に自分で交渉する必要があります。

被害者とはいえ,自分にも交通事故の落ち度がある場合は,保険会社が相手の保険会社と交渉してくれることもありますが,自分が受けた被害の損害賠償を請求するのは,原則として,自分の役割です。

自分で損害賠償を請求すると,相手の保険会社(加害者が加入している保険会社)から金額が提示されますが,その金額が十分なのかどうかを,専門家でもない被害者が自分で判断するのはかなり難しいと思います。

しかし,弁護士費用特約をつけていると,弁護士に無料で相談することができますし(相談料は自分の保険会社が代わりに支払ってくれます),弁護士を代理人につけて損害賠償を請求する場合に,本来なら自分で払わなきゃいけない着手金や報酬金を,MAX300万円まで,自分の保険会社が代わりに支払ってくれます。

しかも,弁護士費用特約を使っても,保険のグレードは下がりません。だから,弁護士費用特約を使ったせいで保険料が増額になることもありません。

だから,自分が被害を受けた場合のことを考えると,弁護士費用特約をつけておいたほうがいいと思います。

僕も,自動車保険に加入するのであれば,弁護士費用特約はつけるでしょう。僕自身が弁護士なので,不要にも思えますが,交通事故でどんな被害にあうかわかりませんからね。

自分が意識不明状態になるほどのケガを負ってしまうこともあるわけですから,そういった場合に,弁護士費用特約がなければ,別途着手金を支払わなきゃいけなくなります。

だから,弁護士である僕も,弁護士費用特約には加入しておきたいなと思うんです。

そして,実際のところ,弁護士を代理人にして請求すると,損害賠償の金額がぐんと増えることが多いです。

基本的に,弁護士をつける前の時点で保険会社から提示される金額は,裁判で貰える金額よりも,かなり安めです。

「裁判したらこれくらい貰える」という金額は,だいたい決まっているのですが,保険会社が最初から「裁判したら貰える金額」を提示してくることはありません。

各保険会社には,それぞれ支給基準があって,弁護士を付ける前であれば,その支給基準に従って,かなり安めの金額しか提示してこないんです。

ただ,弁護士を代理人として請求すると,「裁判したら貰える」金額に応じてくることも多いです。

なぜなら,弁護士が代理人となっているということは,いつでも裁判できる状態になっているからです。

いつでも裁判できる状態になっている被害者に対し,裁判したら貰える金額よりも安い金額を提示しても,それに納得してくれるはずもありません。

弁護士が,被害者本人に対し,「裁判したらもっと貰えますよ」とアドバイスしますし,弁護士は秒で裁判を提起できるので,裁判したら貰える金額よりも安い金額を提示しても時間の無駄なのです。

だから,弁護士つける前よりも,かなり増額した金額になることも多いです。その結果,弁護士に依頼したけれども,裁判を提起しないまま,かなりの増額を実現できることも結構あります。

【 まとめ 】

弁護士費用特約をつけていない場合,自分が被害者となった交通事故で損害賠償を請求する際,弁護士費用は自分で支払わなきゃいけません。

弁護士費用特約によって上乗せされる保険料も,月々数百円なので,弁護士費用特約は結構お得だと思います。

ただ,弁護士費用特約が使えるのは,自分が被害者となった場合だけで,自分が加害者となった交通事故は対象外です。

自分が加害者となった場合は,保険会社が被害者に対して弁償金を支払うわけですが,その金額に納得がいかないとか,過失割合(被害者と加害者の責任の割合)に納得がいかないなどの理由で弁護士をつけて争いたいと思った場合の弁護士費用は,弁護士費用特約で保険会社に負担してもらうことはできません。

ただ,自分が加害者となった場合に,被害者が自分に対して訴訟を提起してくることがありますが,その訴訟を弁護士に依頼する場合の弁護士費用は,保険会社が出してくれます。

これは,「弁護士費用特約」ではなく,「対人保障」ですので,誤解なさらないように。

あくまで,相手が訴訟を提起してきたことを受けてやむを得ず,弁護士をつけるわけで,どの弁護士に依頼するのかも,保険会社が決めます。

弁護士費用特約の場合(自分が被害者の場合)は,自分が選んだ弁護士に依頼することができ,その弁護士費用を保険会社が負担してくれるのですが,自分が加害者の場合は,保険会社に決定権があります。

今日はちょっと難しかったですかね(笑)

弁護士費用特約に加入しておいたほうがいい,ということだけ伝わればいいかなと思います(笑)

それではまた明日!・・・↓

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