U21ユーロを戦うフランス代表が豪華すぎる...
シーズンが終わったと思ったらそうはいかないのが欧州のフットボール。今季は多くの有名クラブが来日することに加え、6月には国のコンペティションが控えています。
エンバペが新キャプテンに就任し、本代表にばかり注目が浴びがちなフランス代表ですが、アンダーカテゴリーにも逸材が揃いまくっています。
先日アルゼンチンで開催されたU20ワールドカップはフランス代表も満足に選手たちを派遣できない影響もあって、グループステージ敗退という残念な結果に終わりました。
しかしながら、心機一転、今度は上の世代のU21の頑張り時です。彼らは6/21から7/8までジョージアとルーマニアで開催されるU21ユーロに臨みます。グループリーグの対戦相手はイタリア、ノルウェー、スイスとなっています。
*大会名がU21になっているのは、予選開始時には21歳以下の年齢制限で行われるためで、2年の大会期間を経て本大会が行われる時には23歳以下の年齢制限となっています。
それではU21ユーロに臨む通称 les Bleuetsの豪華なメンバーを見ていきましょう。
GK
イラン・メリエ(リーズ)
今季の成績 34試合 無失点5試合
若くしてイングランドの名門クラブであるリーズのゴールマウスを守る人物。「アンダー世代ならスタメン確実だろう」という考えは迂闊で、実際はそうもいかない理由は後述。地元ロリアンで着実に成長し、イングランドでも得意のショットストップを遺憾無く発揮した。チームの降格だけが残念である。意外にも地声がかなり低いことが人を見た目では判断してはいけないことの教訓になっている。
リュカ・シュヴァリエ(リール)
今季の成績 32試合 無失点10試合
メリエが代表の正GKを容易に確保できないのは彼がいるから。彼が2022年3月にU21に初招集されたのもメリエが招集を辞退したという背景が。地元クラブのリールで今季リーグアンデビューを果たし、そのまま定位置を確保した。メニャンの後釜がようやくハマり、将来の本代表入りにも期待できる。幼少期のアイドルはリヨンやリールでもプレーしたFKの名手である、ミシェル・バストス。
ステファン・バイッチ(ヴァランシエーヌ)
今季の成績 11試合 無失点1試合
名前から何となく察することができるように血筋はセルビアにある。両者よりU16、17、18、19と着実に段階を踏んできた。地元サンテティエンヌとポーを経験したあとはイングランド2部のブリストルシティへ。トップチームは1試合のみの出番だったが、今冬からフランス2部のヴァランシエーヌへレンタル。ここでも出番は限定的だったが、両者に負けないくらいの出場機会を増やしていきたい。
DF
ピエール・カルル(ミラン)
今季の成績 34試合 1G
昨シーズンはミランのディフェンスラインを支えてリーグ優勝に貢献。しかしながら今季は離脱も目立ち、さらにはチャウの台頭もあって影は少し薄くなってしまった。複数のポジションをこなせるだけに1年間フルで戦えるようになっていけば自ずと名声はより集まってくるだろう。「プレーしていないときは幸せになる権利がなく、自分の目標を追求するためにもがいて汗をかく必要がある」とコメントするようにかなりの努力家。
カステロ・リュケバ(リヨン)
今季の成績 34試合 2G
昨シーズンBチームから昇格し、若くしてリヨンのディフェンスラインを支える逸材。思ったより評価が鰻登りにならないのは失点につながるポカが目立つから。対人では圧倒的な強さを発揮するだけに周囲に流されずに自信を高めていきたい。先輩のロヴレンからは「グヴァルディオルみたいだ」と太鼓判を押される。なるというより、超えるぐらいの活躍をしてほしい。
ロイク・バデ(セビージャ)
今季の成績 19試合 1G
今冬に移籍したセビージャでチャンスを掴み、先日のEL決勝でもフル出場を果たして、レンタルだったが試合後にモンチSDに直談判して完全移籍を勝ち取った。ローンにローンを重ねるという珍しい形ではあったが来季の就職先が安定したのは何より。それもそう、ノッティンガム・フォレストでは出番が1度も与えられず、飼い殺しという状態だったから。今後は先輩クンデのように経験を積んでステップアップも狙っていきたい。
バフォデ・ディアキテ(リール)
今季の成績 33試合 3G
地元トゥールーズで14年も過ごし、今季から加入したリールではRSBながら攻撃時に可変型3バックの右を務めた。その右サイドからの持ち運びが魅力で、右サイドで起点をつくるリールの攻撃の土台を支えた。今季爆発的に評価を高めたことでアトレティコが猛烈にアプローチしている噂が上がったが、それも不思議に思わないくらいの活躍を披露した。かつては心臓病の疑いを宣告された過去もあったが、クラブの手厚いフォローもあって諦めなかった結果が現在につながっている。
モハメド・シマカン(ライプツィヒ)
今季の成績 24試合 1G1A
ウパメカノ、コナテ、ムキエレという名だたるフランスの先輩たちが育ったライプツィヒにて彼も前例にならってオファーを受けた。筆者は普段ブンデスリーガを見る機会は少ないが、Twitterで「シマカン」と検索すると「何してんねん」というワードが目立つため何となく様子が想像できる。ただCBとRSBを兼任できる点とスピードには圧倒的な自信があるため、将来どのクラブに行こうが重宝される存在になるだろう。
サシャ・ボエイ(ガラタサライ)
今季の成績 31試合 1G4A
今季「東欧の銀河系軍団」と称されるほど積極的な補強を行い、見事リーグ優勝を勝ち取ったガラタサライのRSB。今季活躍できたのは同じフランス人で同ポジションのデュボワの加入も影響したのではと感じる。出身国のカメルーンの国籍も取得しており、Aチームの招集があったが怪我で出場することは叶わなかった。アンダーはフランスを選択しているが、今後どの選択を取るかは注目すべきである。
ヤセル・ラルーシ(トロワ)
今季の成績 30試合 1G1A
今季後半戦は負の連鎖が絶えなかったトロワにおいて数少ない希望をもたらした選手の1人。攻撃時は圧倒的なスピードを活かして左サイドを突破する。守備面がもっと向上すればといったところ。かつてはリバプールのユースも経験してトップチームでも2試合出場した。ぜひ来季も1部で見たい選手だが、まずは見た目以上のインパクトより具体的な結果を残していきたい。
ニエル・エンクンク(サンテティエンヌ)
今季の成績 20試合 6G7A
トップチームではいきなり国外のエバートンでデビューを果たし、その後はレンタル移籍を繰り返している。今冬加入したサンテティエンヌではLWBとして定位置を確保してチームに貢献した。ヌーノ・タヴァレスのように爆発的な攻撃力を活かすためにはSBよりも1列前での起用が理想的。コンゴ共和国🇨🇬のルーツがあるが、コンゴ民主共和国🇨🇩にルーツがあるクリストファー・エンクンクとは血のつながりはない。
MF
マクサンス・カクレ(リヨン)
今季の成績 36試合 4G7A
リーグアンの中でもイケメンランキング上位に入るであろう美貌の持ち主。普段はオールバックだが、前髪を下ろすとよりイケメン度が引き立つ。6番らしくピッチを支配し、短く速いテンポのリヨンのパスワークに絡む。ユース出身者の中では珍しくリヨンに忠誠を誓い契約を更新した。スパイクはポグバやエジルも愛用していたPredatorを使用したしている。
ジョリ・ショター(モンペリエ)
今季の成績 35試合 6A
彼もまたいかにもフランス人らしいというような顔立ち。ダローイオ監督によりアンカーに抜擢され、今季はダブルボランチの1角として前線にスピードスターを備えるモンペリエのアタッカーたちを背後からサポートした。モンペリエではユニフォームは自腹制度にしているが、プロデビューを飾った試合後に先輩のフェリが記念にとお金を出してくれた。
クアディオ・コネ(ボルシアMG)
今季の成績 30試合 1G1A
"マヌ"ことエマニュエル・クアディオ・コネは2021年からドイツへ渡った役者は緩急自在のドリブルで持ち運び、ボルシアの攻撃を活性化させる。守備面でもボール奪取能力に優れており、先読みする能力も抜群。中盤の補強に失敗したPSGが猛烈にアプローチをかけているが、本人の意思には反している様子。しかしながら早くもビッグクラブで活躍したとしても何の驚きもないだろう。
エンゾ・ル・フェ(ロリアン)
今季の成績 35試合 5G5A
彼がどれほど素晴らしい選手であるかは以前からくどいほど述べてきたのでもはや語る余地もないが、アンダー世代でも核を担う選手。もっとリーグ全体として彼を評価すべきなのではとどうしても思ってしまう。今季限りの移籍が濃厚で、現在はレンヌがリードしている様子。同じ中盤のブリジョーを支える屋台骨としてはこれ以上ない人選になるだろう。
ミカエル・オリーズ(クリスタルパレス)
今季の成績 37試合 2G11A
ナイジェリア出身の父と、アルジェリア系フランス人の母親のもとにロンドンで生まれた。つまり、ナイジェリア、アルジェリア、イギリス、フランスの国籍を有しており、豊富な将来の代表選択肢がある。フランスのレジェンドであるヴィエラ監督のもとで出番を得て着実に成長してきた。フランスのクラブではプレーした経験が全くないが、一番最初にアンダー世代に呼ばれたフランス代表に参加し続けている。
ケフラン・テュラム(ニース)
今季の成績 35試合 2G4A
父リリアン・テュラム、兄マルクス・テュラムの強大な血を受け継いで彼もまたここ近年名を高めてきた。推進力はリーグトップクラスで長身ながら足元の技術にも長けている。中盤の若返りを目指すリバプールの触手が伸びていることが連日報道されている。日本のメディアでは"ケフレン"と表記されるが、フランス語の読みを尊重するならば"ケフハン"と読むのが一番近い表記となる。
FW
アミヌ・アドリ(レバークーゼン)
今季の成績 26試合 5G3A
本職はLWGだが、1トップや2トップを任されることも多い。まだ荒削りな部分が多いが活躍は十分見込める選手。今季のハイライトは何といってもバイエルン戦。2度のシミュレーションを取られてイエローをもらうが、VARで2度もイエローを取り消されてPKを与えてくれたシュティーラー主審とはだいぶ仲良くなっただろう。同じ"アドリ"という名前ではミランで燻るヤシヌ・アドリも頑張ってほしい。
ブラドリー・バルコラ(リヨン)
今季の成績 26試合 5G8A
シェルキとともに若くしてリヨンの前線を支え、今季はリーグアンのウインガーランキングで1位になった。最大の魅力は長い足であり、多少アバウトなボールでも走力と長い足で追いついてしまう。前線であればどのポジションでもできるが、持ち味を最大に発揮するのであれば右サイドが理想的であると感じる。様々なルーツを持つフランス人の中では珍しく、トーゴにルーツがある。
ライアン・シェルキ(リヨン)
今季の成績 34試合 4G6A
他のリーグには知られたくない人物の1人だったが、そうもいかないほどのインパクトを残してしまった。まさしくリヨンの魔術師であり、両足で決定機を何度も演出する。A代表にルーツがあるアルジェリアを選択するという報道が出たが、アンダー世代でフランスが招集した。確かにレ・ブルーでも見てみたいし、大事にしなければならない。16歳でリヨンに入団した背景には、父と共に兄の試合を観に車で行き、駐車場でジャグリングをしていたところジェラール・ウリエにスカウトされた。
アミヌ・グイリ(レンヌ)
今季の成績 36試合 15G3A
彼もまたビッグネームの1人。リヨンでもニースでも尻すぼみになることが懸念されていたが、今季のレンヌでは調子の波は安定していた。というのも、レンヌの攻撃の特徴としてかなり流動的に人が絡み、彼がある程度自由に動いてもそれを背後でサポートできるだけの体制が整っていたことが挙げられる。また、リヨン時代を知る恩師ジェネジオ監督の存在も大きかっただろう。
アルノー・カリムエンド(レンヌ)
今季の成績 30試合 7G3A
プレシーズンを日本で過ごしたことで日本においても知名度はある選手だろう。出場機会が限定的とはいえ、そのプレシーズンの成績を踏まえればなぜPSGが完全移籍させたのかわからない。しかし、流動的に多彩な攻撃を仕掛けるレンヌにおいてターゲットとしては期待はずれ。明確なターゲットを決めないレンヌでは、周囲との連携およびフットボールIQを向上していく必要がある。ただ、2トップ向きの選手ではないことは確実。
エリー・ワイ(モンペリエ)
今季の成績 33試合 19G5A
僭越ながら先日の記事でベストイレブンの次点に選ばせていただいた。最終節のスタッド・ランス戦でもカウンター時に相手DFの死角をとる"らしさ"を発揮して逆転勝利に貢献した。交代時に涙を浮かべていたのは今季限りでの退団が濃厚だから。国内での移籍にも興味はあったらしいが、最近国外のクラブから関心が寄せられている状況になってきており、本人も考えが変わってきている様子。ただ、ニコラン会長は売買の技術が優れており、容易な要求は受け入れないだろう。
監督
シルヴァン・リポール
レンヌ出身でプロキャリアもレンヌやル・マン、ロリアンでプレーした実績がある。ロリアンのアシスタント、監督を経て2017年からアンダー世代を任されている。2021年には東京オリンピックでもU23の指揮を執った。どの大会でも有力候補に挙げられるフランスのアンダー世代だが、彼が就任して以降は何も勝ち取っていない。今大会こそは優勝という結果を母国に持ち帰りたい。
改めて公式の画像がこちら
今回のU21ユーロに参加するチームはバディアシルがキャプテンを務めてきましたが、今回は怪我で召集外。彼以外にもギュストやサリバ、カマヴィンガやディオプなどが過去に選ばれてきました。層が厚すぎるフランスですが、他国を見るとうかうかしてられない状況なのは確か。
フォーメーションは4-4-2を軸にしてきましたが、このメンバーとなると変わってくることも大いに予想できます。誰を起用するにしてもドリームチームになることは間違いないですが。
一致団結してU20世代の挽回を期待しましょう!
Allez les Bleuets!!💙🤍❤️
今後の日程(日本時間)
6/17 1:30 メキシコ @グルノーブル*練習試合
6/23 3:45 イタリア @クルジュ=ナポカ
6/26 3:45 ノルウェー @クルジュ=ナポカ
6/29 3:45 スイス @クルジュ=ナポカ
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