往復書簡 5通目 ~村田くんへ わたしのおすすめ本~
こんにちは!
占い師のルーシー・グリーンです♪
毎月月替わりですてきな人と手紙のやり取りをしているこの「往復書簡」シリーズ。
今月のお相手は村田裕樹さん。
兵庫県西脇市を拠点に、この地の播州織(ばんしゅうおり)を活かした「hatsutoki」のデザイナーを務めておられます。
(この動画、わたしの旦那さんが担当させてもらったもの。
本人も気に入っていて自分のポートフォリオにしています。
今もhatsutokiホームページに載せてくれてる…ありがとう。)
また「365cotton」(サブロクコットン)という綿花の栽培を毎月のワークショップで伝える活動の運営にも参加されています。
2019.11/3には「収穫フェス」と題してみんなで綿を収穫したり芋煮会やお店の出店、DJやトークのイベントも行うそう。
さて、そんな村田さんからお返事が届きました。
個人的にめっちゃ面白かったです。
料理のお話しにとどまらず、村田さんの「情熱」がお手紙にあふれています。
さて、今日はどんなお話しができるかな。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
村田くんへ
お返事ありがとう!
おもしろかったー!
まず。こちらの言葉がうれしかったです。
わたしの「お仕事で言葉を伝えるときに、「実感」と「ルール」の間で揺れてバランスを取ろうとして緊張する」ってなかば仕事相談へのお返事。
本当にものづくりも同じですね。デザインには正解が無い、完成も無いんですよね。
だから、揺れがあるからこそ説得力があるのでは、と思ってます。世界に絶対は無いのだから、誰かが、深く考えを巡らせてたどり着いたそのものや言葉こそ人の心に響くのではないかと思っています。
「揺れていいんだ!」「世界に絶対はない!」と当面のわたしの大切なお守り的考え方になりました。
ありがとう。
そして料理についてのわたしからの質問へのお返事。
週末には365cotton(綿花栽培のワークショップ)もあり、作業後の楽しみに、季節の食べ物を出す様になり、いつの間にか料理係に...。春には庭のたけのこを、夏にはそうめん、かき氷、秋にはキノコやサンマのおにぎり、冬には餅つきや芋煮を。
キノコやサンマのおにぎり…めっちゃ食べたい…
10/5のワークショップへ行こうと思っていて、お昼ごはん美味しいもの期待しています…☆
そして服を作るのも、料理を作るのも同じだと気が付きました。新しい素材の味や、食感の組み合わせを探すことも面白くなりました。
すると異国の調味料や、菌の作用による素材の変化にも興味が湧いてきて、トルコ料理や、インドカレーを勉強するようになりました。違う国の味を覚えると、「いつもの自分の味」を広げることができるのです!自分の味ってなかなか抜け出せないですよね。それを異国の文化を取り入れるとガラッと変えられる。それが面白い。
えっ!!
途中までは「そうなんだ〜うんうん」って読んでたけど、「すると異国の調味料や、菌の作用による素材の変化にも興味が湧いてきて、トルコ料理や、インドカレーを勉強するようになりました。」ってところで「飛躍!!」ってなりました。
ここからの怒濤の「村田くん」があふれだす感じ、めっちゃいいよね。
聞いてる方も「そうなんだ!」って新鮮に感じる。
いつもの自分の味、ってほんとなかなか抜け出せない。
そう思えばなんでもそうかも。仕事でも恋でも。
自分のパターンができあがったら、心地よくってもっと面白くなれるとしても留まって飽きちゃったり。
さては村田くん、なにかがいて座だな…と思いました。
「海外」「自由」「冒険」「探求」「教育」「情熱」「熱中」。そういういて座っぽさを感じました。
発酵は菌の作用によって、素材を変化させますよね。今まで新鮮が一番美味しいと思っていた野菜が、浸け置きすることでもっと美味しく健康的になる!牛乳が一晩でヨーグルトになる!腐る、との違いは何なんだ!?と。これは乳酸菌の力によるのですが無数の菌の働きで味が変わることに興味が湧いてきて。次は味噌や、酢なんかも作ってみたいなぁと思っているところです。
お味噌作りはよく聞くけど、お酢づくりは聞いたことない!どうするんだろ?!
ヤマダさん(わたしの旦那さん)が、甘酸っぱい味つけが好きなので我が家には米酢、黒酢、梅酢、白ワインビネガー、バルサミコ酢と揃っています。
わたしもつられて甘酸っぱいものが好きになってきて、それぞれを使い分けて、違うムードにするのが好きです。お酢は甘さの種類やサッパリ度合いがそれぞれ違うので小さな頃に色えんぴつを使い分けてお絵描きしていたのを思い出します。
…ここまで書いたところで、この調子でひとつひとつにお返事書いていて大丈夫かな!?って気持ちになってきました。ちゃんと書き終えられるのか?!と。
人の熱意は、自分の熱意を誘い出す…
まあいいか、楽しいから。
そしてここからいろいろ本を紹介してくれたね。
① 発酵の技法 ―世界の発酵食品と発酵文化の探求
② トルコ料理大全: 家庭料理、宮廷料理の調理技術から食材、食文化まで。本場のレシピ100
③ スパイスカレー事典
④ 今日のまかない (CASA BOOKS)
⑤ ノーマの発酵ガイド
⑥ ヨーガン レールとババグーリを探しにいく
⑦ カイ・フランクへの旅 “フィンランド・デザインの良心"の軌跡をめぐる
村田くんのこの…専門書好き!!笑
皆川さんの「今日のまかない」とヨーガンレールの本をさっき注文しました。
あとスパイス辞典をヤマダさんに買ってもらおうかと…
ヤマダさんと村田くんはわたしにとって趣味の似てる二人なんだけど、ノーマの本も我が家にあります。
ある日ヤマダさんが仕事帰りに「ちょっと高かってんけど…」と箱を小脇に抱えて帰って来ました。
レシピ・スナップ写真・日記がセットになったもの。
Amazonになかったのでhontoのページを。
わたしも読ませてもらって、「ものをつくる人のやさしい狂気」みたいなのを感じました。おもしろかった。
今までは高級で贅沢な料理は=脂肪や糖分が多いもの、だったのですが(例えば油の乗ったお肉、魚、フォアグラ。特別甘いフルーツなど。)nomaの考える贅沢は、その土地のものであったり、健康的なもの。発酵はその土地の風土に影響を受けますし、健康的です。新しい贅沢の概念としてともて興味深かったです。
はあ…nomaのレストランでの食事を想像するだけでドキドキする…食…新しい概念…最高。。
4人でいけたらいいなあ、と思いました。
それからヨーガンレールのサイトを見ました。
たぶんわたしは存じ上げないと思っていたんですが、あの特徴的な筆記体のお店のブランドなんですね。
(日本版のお店のホームページより。大丸梅田店。)
ブランドでは首尾一貫して、自然に優しいもの、手仕事を大切にしたもの。人の役に立つ美しいもの、がデザインされています。その他、社員食堂も有名で、本社の食堂は有機野菜を使い社員の健康を気遣ったとても優しい日替わりの食堂なのです(羨ましい!)。
ものが溢れる時代だからこそ、人も自然も大切にしながら、長期的に物事を考え、デザインする。僕も常々こうありたいと思います。
有機野菜中心の社員食堂、羨ましい!
こちらの本を注文するときに出てきたんだけど、社員食堂のレシピ本もあるんだね。仕事の合間のお昼ごはんがいい時間かどうかってその後のやる気につながると思う。
それからカイ・フランクの本。
わたしはこちらもどなたか存じ上げないのでgoogleで調べてみました。
「あれ?iittalaに似てる…?」と思ったら、iittalaでデザインをしていたんだね。
わたしがお店で手に取るときはすでに「製品」で、でもそこにはたくさんの人の美学や体験が詰め込まれているんだと改めて気づきました。
影響を受けて新婚旅行をフィンランドにしてしまったほどです笑
みたいだね 笑
カヤちゃんに写真を見せてもらいました。
行かないと分からないことあるもんね。
ふたりにとってとてもいい旅だったんだろうなあ♡
…えっと、ではここから、わたしの本棚のご紹介をします!
もうこの時点で3000文字越してるけど大丈夫かな!?
続きは翌日にでも読んでください笑
はしやすめ写真。
この夏、石川県にある素敵な海の家へ行ってきました。
若い店主さんが目の前の海で獲ってきた生牡蠣。
お店の壁に「食材に旅をさせず」人が旅をしその地のものを頂く、というような言葉が書かれていたのを、今回の村田くんの手紙を読んで思い出しました。贅沢とは。
〜〜〜〜〜〜
さて、わたしのおすすめの本。
「このすてき専門書群のあとに紹介できるものなんて知らないよ〜!!」とあせったんだけど、わたしはわたしなりに好きな本を読んでいたんだなあと思いました。
全部で4冊。まず1冊目。
わたしは今でこそ占い師として仕事が成立しているけれど、長い間「働くってどういうこと?」って悩んでた。
大学在学中から就活がイヤでイヤでフリーターになって、ちゃんと正社員にならなくちゃ!とがんばって就活して入社しても続かなくて、ニートに逆戻りしたり。
そんな中でこの本の前作「自分の仕事をつくる」が近所の図書館にあって「こんな風に働いてもいいんだ!」と思えた。
(今ふりかえると、その本の中にヨーガンレールのお話しが出てくる。著者の西村さんがいろんな働き方をする人たちにインタビューしている。)
それからやっと真剣に、自分にできること、自分がしたくないこと、していて楽しいことに目を向けるようになって結果、占い師になった。笑
この2作目は、著者の西村さん自身が前作以降「仕事」「働く」ということについて考えたことが書かれてる。
あんまりそんなことしないんだけど…本にたぶん8年ほど前のわたしが直接横線を引いている箇所がありました。(この頃は仕事について思い詰めるくらい悩んでいたんだと思う笑)
美味しい料理をつくりたい職人も、コンサートをいい時間にしたい音楽家も、「善くありたい」とか「良くありたい」というより、それに触れた人が、より新鮮いきいきとした状態になること。存在の輪郭がよりハッキリすることに、喜びを感じるんじゃないか。
そしてクリエイティブという言葉が指し示しているのも、実は創作物より、この生まれ直すような人間の創造性の方なんじゃないか。
この部分のなにがこの頃のわたしに響いたのか思うと、仕事をするということを小手先やつじつま合わせじゃなくって、生活や体験もふくめた全身で向き合うような命のやりとりにしたいと思っていたんだと思う。
ショシンワスレルベカラズ。
そして2冊目。
365日のめざましスープ
Twitterで好きだった料理愛の人が、おすすめされていて手にした本。
たくさんの種類のスープが載ってる。
これからの季節、温かくてこっくりしたスープが恋しくなるのよね。
この本で自分の「スープ観」が変わったのが、アレンジの楽しさ。
たとえば基本のかぼちゃスープにトッピングを変えることで発見がある。
本の中では5つのかぼちゃスープが紹介されていて、そのうち深煎りコーヒー豆をミルですったものをぱらりとかける、というのがわたしは好き。
よく行く台湾料理屋さんのランチで、台湾の茶葉で煮るゆでたまごかあげさん(大阪もんはすぐ固有名詞に"さん”とか“ちゃん”をつける。あげのことでここでは厚揚げ。)がついてくるんだけど、そういうごはんじゃないものをごはんに昇華しているのって最初にやろうと思った人すごいなあと思う。
3冊目。
スピリチュアル占星術―魂に秘められた運命の傾向と対策
占い師だし、占い本を。
「スピリチュアル占星術」…なんとあやしいタイトル!
本の中でも魂とか前世の記憶とか、まゆつばな言葉がたくさん出てくるんだけどそこは「そういうもんか」と読み進めてもらえるととてもいい本だと思う。
というのもこの本に書かれていることって耳が痛くなる内容だから。
ふつうの占い本と同じように、その人の性質とか行動傾向を占いで書かれているんだけど、たとえば、
あなたは知的な人です。けれども自分の知性が優れていることをいつでも周りに示したいと願っていると、あなたはそれを立証することで頭がいっぱいになってしまいます。
あなたは自分の人生を完璧に飾り、それを周りに誇示することができれば、周りの人々が賞賛の目であなたを見上げ、忠誠を誓うようになると言う妄想を心のどこかで抱いているかも知れません。
「…も、もうやめてー!はずかしー!」と叫びたくなるような誰の心にもある中学二年生な部分を見つけ出して指摘してくるんです。
でもこの本のいいところは、その人が持つそういう照れちゃう性質を上手に活かす方法も別項目としてみっちりきちんと伝えてくれているところ。投げっぱなしじゃない。
あなたはいろいろ考えることなく、心に浮かんだ答えを人々に返してあげると、人々はあなたの言葉の中に探していた答えを発見し、自分の隠された才能を引き出す糸口を見つけるのです。この過程の中であなたは満たされ、心の安定とともに、人々の親密な愛情を受け止めることができるのです。
というように。
投げっぱなしじゃない文章、というのはこの本を読んで、わたしも意識しているなと思い出しました。ショシンワスレルベカラズ。
最後に4冊目。
星占いは西洋占星術と言って、西洋で発展した占い。
昔のヨーロッパではこの西洋占星術をもとに体質を診たり、ハーブで健康を促していました。
それは東洋でも同じで、東洋医学には東洋占術と同じ「五行」という概念が使われています。
五行は自然界にある万物を「木・火・土・金・水」の5つにカテゴライズするという考え方。
(西洋占星術ではエレメントと言って「火・風・地・水」4つにカテゴライズする。)
わたし自身の体に照らし合わせると西洋、東洋、それからインドのアーユルヴェーダの考え方で見てもしっくりくる。わたしはどれで見ても「水」と「風」が多い。
病気になったときに通常医療は体の部分でとらえるけれど、こういう代替医療は体全体を見ようとするのがおもしろいなと思う。
ということでさすがに鍼灸師さんにはなれないけれど、ちょっとエッセンスを知りたいな〜と思ってこの本を購入しました。
この本は東洋医学のあれこれが分かりやすく網羅されているけど、その一部、「舌診」はやっぱり東洋医学ならではと思う。
村田くんは自分の舌を見ますか?
舌診は自分の体を素人でもある程度把握できる優れもの。
かんたんな見方で言えば舌の色。
淡い赤色がちょうどいい状態として、
赤が強ければ熱が過剰。白っぽければ体内に水分が多く冷えている。
それから舌の裏側を見て、血管が紫色にふくれている場合は「瘀血(おけつ)」。血のめぐりが滞っている状態。
こういうのを毎朝顔を洗うときに鏡で見るようにしていると、前日の寝不足とかお酒や冷たいものの飲み過ぎや脂っこいものを摂り過ぎていたりの不摂生や、イヤなことがあったときのストレスがすぐに現れるし、逆に規則正しい生活やホルモンバランスが安定していると良好な色になっていく。
冷えていると不安になりやすいし、体が潤っていない熱が過剰なときは怒りっぽくなる。
西洋占星術も東洋占術もアーユルヴェーダのインド占星術もそういう体と心がつながっていることを教えてくれる。
働くことは楽しいし、仕事つながりの交際は刺激をもらえる。
でも体は交感神経だけでできていなくてリラックスやなにも考えない時間も大切。その両方を合わせて生きてたいなあと思います。
本は売れにくい時代と言われるし、わたしも電子書籍を買うことが多いし、ブログもよく読む。
でも本棚のあるカフェやホテルで手に取ると、やっぱり本っていいなって思う。
ある雑誌に「最近はファッションやメイクもinstagramなんかで済ませる人が多いけれど、雑誌や本はその道のプロ達が関わって作ってるものだからやっぱりクオリティが高い」というのを読んで「これからは本!」と思った。
この往復書簡シリーズもまずは電子書籍にしようと思ってる。
そして手伝ってくれる出版社があれば単行本化できたらいいなと思っています。
その際にはまたいろいろご相談させてください。。
〜〜〜〜〜〜〜
しゃ、しゃべりすぎたー!
読むのも疲れたよね、ごめん!!
今日で9月は終わるけれど、村田くんに最後の質問をしたくて、もう1通お返事をもらえたらと思っています。
「カヤちゃんとの恋愛は村田くんの仕事にどうつながりますか?」
「女性ってむずかしい存在ですか?」
わたしで言えば、ヤマダさんのことを「ミューズ」だと思ってる。(ちょっと野生味の強いミューズだけど。笑)
ヤマダさんの仕事をがんばる姿やつくる映像、興味の方向、がわたしのやる気や感覚につながっているし、ヤマダさんと過ごす楽しい時間やケンカしている時もふくめてわたしの心が揺さぶられた分、感情体験値が上がる。めぐりめぐって誰かを応援する言葉にかえられる。
村田くんも?カヤちゃんからもらう影響ってどんなんだろう?
また、hatsutokiはストールなど男性も身につけやすいアイテムが充実しているけれどやっぱり女性の身体に合わせた服がメインだと思う。
男性の身体を持つ村田くんにとって、女性って自分とはちがう存在?
どんな気持ちで女性が身につける服をデザインしているんだろう。他者として?それとも自分自身として?
恋愛は仕事から一番遠い場所にあるものだと思う。
けれど、生活や感情の大きな部分も占めている。
生活や感情はものづくりにつながっている。よね?
じゃあ、恋愛と仕事もつながっている…?
そんなことを聞けたらなと思いました。
…ちなみにこの往復書簡はカヤちゃんも読んでくれているので、公開ラブレターになってもいいよ♪
それでは…楽しみにしています!
ルーシー・グリーン
ルーシー・グリーン
占い師。主な占術は星占いとタロットカード。
インターネット界を中心にファッション誌など各種メディアでの運勢ページを担当。占いを通して自分自身を肯定し、豊かな人生を創る素晴らしさを伝える。ノリのよさと、ほとばしる愛の言葉で迷える子羊たちを絶賛導き中!!
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