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日本人のための日本製カトラリー、ロングライフの秘密~デラックス誕生秘話③

皆さん、お疲れ様です!ラッキーウッドの小林です。

ラッキーウッド・デラックス誕生秘話その③です。

「デラックス」の、ティースプーン・コーヒースプーン・デミタススプーンを比較すると、ハンドルと皿の大きさの比率や、皿の形状まで違うことがわかります。

「デラックス」以降は、基本サイズをしっかり作りこんで、それを拡大・縮小し、同じサイズのスプーン・フォークならば柄押し型を兼用するものが多いです。(金型費も節約できます)
また、手にした時の「絶妙なバランス」も、基本サイズで整えれば、拡大・縮小しても、引き継がれます

ところが、「デラックス」は個々のアイテムすべてが単独設計! 
写真をご覧いただくと、柄の幅が一番広い部分=一番持たせたい場所が、少しずつ幅が違うのがお解りいただけます。
言わば、すべてが「フルモデルチェンジ」なのです。

ここまで金型費を投入したのは後にも先にも「デラックス」だけ。

そのお陰で、すべてのアイテムの用途や機能を元から再確認でき、
日本人にとっての使いやすさとは?
日本人が美味しいと感じる、一口のスープの量とは?
等々の答えや考え方を、当社なりに得る事ができました。

例えば、
世界標準の「ティースプーン」は、すくった茶葉が2~3g(一人分)=皿の容量約5ccが基準で、ティーカップ&ソーサーが大きいため、ティースプーンの皿も柄も大きめなのですが、
日本ではデザート等を食べることも考えて、皿を少し深くして適度な量が入るようにし、その上で茶葉の2~3gの量に合わせると、皿の外径が小さくなり、結果、日本人の口の大きさに合わせて小振りに出来ました。
「コーヒースプーン」はコーヒーカップに入れてかき混ぜやすくするため、小さく短めに。
「デミタススプーン」は、さらに小さなカップの隅々に届くように、全体的に細くというように、
個々のアイテムの機能性を別々に吟味した結果が見られます。

さらに、柄の幅が一番広い部分=一番持たせたい場所が、スプーンよりフォークの方が少し幅広です。
それは、「ケーキフォーク」は横にしてケーキを切る時に、力を入れやすいですし、オードブル・ビュッフェ用 (ご家庭ではディナー兼用) の「デザートフォーク」は、幅広の方がパスタを巻く時にパタパタと柄が回しやすく、とても巻きやすいのです。

また、「デザートフォーク」の歯が短めなのが気になった方がいらっしゃると思いますが、これは多くのパスタが入らないようにわざと設計されていて、これで巻くと、ちょうど一口分がまとまります。

これも、西洋の文化ではフォークの歯は長いのですが、そういう固定概念を一度なしにして、外国人に比べて口が小さい日本人に合わせて、いちから考え直し、実際に検証して得られたものなのです。

また、椅子に座って、テーブルに置かれたスープ皿から、スープをすくって口に運ぶときに、「こぼさずに運びやすいスプーンの皿の角度」があるのですが、それは海外から教えてもらったスプーンの角度とは違ったのです!

さらに、当時のご家庭の食卓に新しく登場し始めた、イチゴ・パイナップル、バナナ、グレープフルーツ等々も、西洋風に、さらに食べやすい道具も検証したようです。

そのように先人たちは、用途別にサンプルを作ってはモニターし、不具合有れば修正し、それを繰り返して、手間をかけ、1年かけて作りこんで行きました。

デラックスの各アイテムを細かく見れば見るほど、
一本ずつにこめた、先人たちの思いが伝わってくるようです。

そのような徹底した日本人のための機能追究の結果と、
日本人が昔から目にしているような、ほっとするかたちは、
生活の中に溶け込んで、まったく違和感がありません。

人の手で大切に作り込んだ、クラフト品のような「愛らしさ」と、
昔からある道具のように、手になじむ自然な使い心地の、不思議な金属器。

それがデラックスの魅力であり、60年以上販売され続けている、ロングライフの秘密と思うのです。 (その④に続く))


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