カトラリーはどの部分をとってみても、職人の手が必ずかかわっています!
皆さん、こんにちは!ラッキーウッドの小林です。
今回は、またひとつ熟練工の手わざのお話し。
写真は、「刃スリ」という工程です。
フォークの歯の中を、専用の機械(エンドレスベルトマシーン)で整えます。
なんで、歯を「刃」と呼ぶのかは、謎です・・。
さて、カトラリーを、硬いステンレス板から形を抜くとき、金型とパワーのある機械で行うのですが、途中から破断したようになります。
それを「破断面」と言い、まるで板チョコを割ったように、ぶつぶつの凸凹面となっています。
ファインブランキングという方法がありますが、機械も型も高価となり、材料も周辺が必要なので、高くなります。
カトラリーの場合、長年の熟練工がいてくれる事もありますが、手間をかける方が、結果的に良くなって、安くなります。
破断面は、そのままだと、洗っても汚れが落ちにくくなるため、錆の原因になりやすいので・・
そこで、この「刃スリ専用機械」の登場です。
サンドペーパーがループ状になっていて、それがエンドレスで回っています。ペーパーにフォーク歯を差し込み、ヤスリ部分に破断面を当てて、一皮むき取るように削り、細かく均一に縦目を入れていきます。
そうすると、汚れは縦目の方向に落ちやすくなります。
そのように、フォークの歯の中まで磨かれているほど、
カトラリーはどの部分をとってみても、職人の手が必ずかかわっている製品なのです。
今、熟練工が「マリール」の「デザートフォーク」の刃スリ中です。
マリールのフォークは、スプーンのようにお皿が「つぼ状」のため、
通常のフォークのように、まっすぐ「 | | 」の字に機械に入れてしまうと、かたちを壊してしまうため、非常に職人泣かせのデザインなのです。
そのため、エンドレスペーパーを片面だけ削れるように設定された専用の機械で、フォークの歯の中の片側1ヶ所ずつ (合計6ヶ所) を、つぼに合わせて「ハ」の字に当てているのです。
かたちを壊さないよう、彼はものすごい集中力で、1本1本丁寧に、しかも早く、確実に仕上げていきます。
出来た製品は、何事もなかったような「当たり前」の様相となります。
腕の良い職人ほど、手がかかっていると気づかせない、自然な形状に。
やればやるほど、良い仕事をすればするほど目立たない・・
悲しいですね。
あくまで、主役は料理のおいしさ。
良いカトラリーこそ、脇役に徹します。
考えてみてください。
お客様の一番やわらかで繊細なお口の中に、陶器よりも硬い金属が入っていくのです。
どれだけ、気を付けて手間をかけていることか・・
しかしながら、ほとんどの方は知らないです。
知らなくていいのです。
料理のおいしさにだけ、全集中していただければ、良いのです。
そのために、手間を惜しみませんし、
皆さまの「おいしい!」が、うれしいのです。
それが、カトラリー職人の「喜び」なのですから。