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令和の歳時記 センリョウ
銀世界の中の真っ赤なマンリョウの輝きをフィルムに刻みたかった。
自然は本当に過酷で何度も足を滑らせて辿り着いた場所は深い雪でマンリョウは埋もれていた。
おまけに転んだせいでカメラは壊れるし、予備のカメラはバックから突然取り出したため結露し散々だった。後日、雪が解けたのを見計らって再び撮影に出掛けた。
マンリョウにこだわる理由は単に正月の縁起物である、という短絡的なものだ。江戸時代に赤い実が多数つくことから“万両”という景気の良い名前を付けたらしい。
少しでもお裾分けしてもらいたい。ようやくマンリョウの赤い実を撮影して図鑑で確認するとどうやら私が撮影したのはマンリョウではなくセンリョウであることがわかった。
両種は非常に似ている。マンリョウは葉っぱの下に、センリョウは葉っぱの上に実が付く。
縁起物の “格付け”では万両を筆頭に千両、百両(唐橘)、十両(藪柑子)といった植物が続くらしい。
「なんだ、センリョウか」と舌打ちをしそうになった瞬間、私は自分の思考に恥じた。
今メディアを中心に“セレブ”だの“一般人”という言葉で下品な格付け業務が頻繁に行われている。それが何だ、と言いたい。
そんなに“勝ち組”という部類に入りたいのか。昔の人は万両、千両、百両、十両にもそれぞれの長所を尊重し評価したそうだ。
しかし現在はお金持ちがすべてという風潮すらある。世の中何だかおかしい。私は新年早々、つまらない大人にはなりたくない、と誓った。
分布●本州、四国、九州、南西諸島に生育する
生息地●常緑広葉樹林の林床に群生している。暖地の半日陰に生えている。
花期●6 - 7月 果実は直径 5 - 7 mmで冬(12 - 1月)
高さ●50〜150㎝
学名●Sarcandra glabra
和名●センリョウ(仙蓼、千両)