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「ありがとう、しおりちゃん」
みなさんは本を買って、読むでしょうか?ひと昔前にこんな質問をしようものなら、こっぴどく怒られたと思います。
でも今や電子書籍の方が勢いがありますから、失礼にならない質問かと思います。時代が変われば、質問に対する印象も回答も変わる現象に触れるきっかけにもなります。
さて、わたしは「本を買います」まず書店へ行き、並んでいる本や雑誌をくまなく眺めます。この時間が「好き」なんです。
今はそれほどインクの匂いがしなくなりましたが、かつての本屋さんに通った人の鼻はそれを覚えていると思います。人によっては本屋や図書館へ行くと、便意を催す人もいます。
本の装丁デザインや背表紙を眺めて、なんとなく気に入ったものを手に取って読みます。「乱読」です。次から次へと読み連ねます。
アウトドア、カメラ、ネコちゃんから映画関係と割と軽いものから、重たいものへと歩を進めていきます。最後は小説の棚です。ここで、一度気合いを入れます。
全部、読むつもりで挑みます。気に入った一冊を手にとって、大抵は半分くらい読みます。そしてレジへ向かいます。そこまで読んだのなら、「最後まで読めるじゃない?」と声が聞こえます。
わたしが本を買う理由のひとつに、「お風呂で読む楽しみ」を持っているからです。
ゆっくりと長湯をしながら読むのが最高なのです。お風呂で読むと大抵、湿気まみれになります。
汗や水滴が落ちて、ページ同士がくっついてしまいます。しかも油断をすると湯船に落とします。(後から古本屋へ持って行っても買い取ってくれません)
しおりちゃんも同様で、湯船に落ちます。そして、ひらひらと魚が水中へ潜るように華麗です。これが紙のしおりだと使い回しはできません。
本に挟むしおりですが、人によって好みあることをご存知でしょうか。映画『花束みたいな恋をした』では、映画の半券を本のしおりにしていると描かれていました。わたしの友人は買い物のレシートを使っている人もいます。
わたしの場合はテレホンカードを用いています。いまや化石のような存在です。若い子はそれ自体知らない人がいるでしょう。
このテレカって、水に強いのですよ。濡れてもオッケーだし、折れ曲がることもないです。
しかもページに挟むと、なんか本が「ピシッと」背を伸ばした佇まいになるんです。水で濡れて、「フニャフニャ&波波」になっているのにちょっとだけ元気になります。
本屋で装丁デザインを眺める。半分くらい読む。そして自宅のお風呂で残りを読む。さらにテレホンカードを挟んで、再び本を眺める。
意味のない個人的な癖ですが、最後の最後に華を添えてくれるのが、しおりちゃんです。とても満足な気持ちにしてくれます
「ありがとう、しおりちゃん」