【小説】生かされているということ vol.2
2020年6月7日(日)
AEDが鳴り響く前日。いつもの日常だった。
妻は、サービス業をしていたため、コロナの影響をもろにうけていた。
そのため、4月と5月は休業。
6月は、仕事が再開した月でもあった。
1週間の勤務を終え、疲れている様子だった。
3歳の娘も登園自粛から登園して1週間経っていたこともあり、家族水入らずで少し遠出をして、公園にいくことにした。
自然豊かな公園で、蝶々を追いかける娘。
それを暖かい眼差しを向ける妻。いつもと変わらない日常。
お昼ご飯は、公園で食べた。
そんな日常が突如変わった。
……
2021年6月8日4時52分 心肺蘇生を開始した。
「胸が5㎝は沈み込むように、床に垂直になるように圧迫をしてください」
指示に従い行うが、いま横たわっているのは、妻。
今、振り返ってみると、5cm沈み込むように圧迫しているつもりだったが、できていなかった。
「1、2、3、4………………30、人口呼吸2回」
繰り返し行う。
時折、妻の名前を呼びながら。
「ちはる!戻ってこい!子どもがいるんだぞ!」
遠くでサイレンの音が聞こえ始めた。
時刻は4時57分。心臓マッサージから5分は経過していた。
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