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今どきのサクセスストーリーはフェンタニルみたいなもん
今日はこの動画を観てました。
昨日知ったんですが、男爵はしばらくひきこもりだった時期があったんですね。
でこの番組の第一回ゲストとして呼ばれていたことも知り、観てみたんですが、本質をとらえた金言の連続ですごいなと思うと同時に、救われるなぁととても感銘を受けました。
男爵のご意見を簡単にまとめると、
「過去はこんなに壮絶で過酷だったけど、今は乗り越えてこんなに輝いてます!!」というサクセスストーリーばかり商品化されて巷に流れていて、それでしんどくなる人は居るはずだ。
本当は「いろいろ乗り越えた結果、特に今輝いていません」という人生のほうが多いはずなのに。
だから自分はインタビューを受けても引きこもっていた時期のことを「無駄だった、ドブに捨てたようなもんだ」と言うことにしてるが、
「それでも、それがあったから今の貴方が~」となにがなんでも美談にしようとしてくる。
『(人生に)無駄を許してくれない』どこが寛容の社会やねん。
というものなんですが、
ほんっっっとにおっしゃる通りだと思いましたね。
今の世の中、とくに日本、キラキラした人生観を追い求めすぎ。
人生は望み通りである,一生懸命に戦えば成功するものである,肯定されるべきものであるというポジティブを押し付けすぎ。
多様性を訴える活動家もそうですけど、もうとにかく「人生は美しい。あなたは素晴らしい。みんな幸せになれる」というスピリチュアルな人生観に執着しすぎで、正直異常ですよ。
少数派の感覚を一般常識化しようとするおかしな多様性論理。
成功した人にスポットライトを当てたこじつけの成功論。
新興宗教じみた、劇的で神秘的な幸福論。
なんか大人たちがおかしくなってきちゃってるよ。
何かものを語る前に世の中をそのまんま観てみなさいって話。
そんなわけがないんだから。
人生つまらない人がいるから自殺があるんだし。真面目に頑張っても報われず消耗する人が居るから鬱病があるんだし、薬物に走る人が居るんだし。悪意の塊みたいな人間が居るからいじめや凶悪犯罪が無くならないんだし。
自分勝手な生き物だから、戦争(ドンパチだけじゃない)は無くならないし、よその国の貧しい女子供が低賃金でブランド服織ってても気にならないんだろ。
現実はそういうものじゃないか。
あの子たち、あの人たちに、
「引き寄せの法則だよ」
「成功者はこう考えてるよ」
なんて言えない。
すくなくとも僕は。
てかあの手の人たちはなんで海外のこういう場所で布教しないんだろうということを考えれば、いろいろお察しだ。
人生が苦しくなかったら、
昔むかしに宗教なんか生まれてないよ。
この世はそもそも混沌。
それをがんばって美化する人生観というのは、視界が開けてるんではなく、単に病んでるだけだと思う。
『この世は不平等で理不尽で、分からないことだらけで、人生なるようにしかならない。けどあなた次第で過去とはいつかきっとケリをつけられるし、仲間も見つけられるし、なるようにはなる。楽しいことや面白いことはどこかに必ず在るから、精一杯人間やってみる価値はあるよ。』
というまとも(正気)なことを言う世の中になりましょうや。
と思いますわ。
それを皆が腹の底で分かっていれば、きっと今のこの、ちまたに哲学者大量発生みたいな異常事態からも抜け出して、みんながただの悩める個人として、多様に生きられるんだから。
サクセスストーリーなんてものは恐らく、人生の手本ではなく、いつまでも勇気づけの香辛料であるべきなんだ。
YouTube広告みたいな物言いがこの世の主役になっては、
狂ってると言わざるを得ない。
これからは多様性賛美じゃなく本質理解の時代だと
個人的には確信している。
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