見出し画像

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(2015年)

もしかしたら(昭和の)日本人のいちばん好きな洋画「ローマの休日」の、本当の脚本家、ダルトン・トランボさんの伝記です。

監督のジェイ・ローチ、過去の監督作品より何より、スザンナ・ホフスの旦那さんということにビックリ!バングルス、大好きだったな〜。

主役のブライアン・クランストン、私は初めて見ました。ちょっとゲイリー・オールドマンやケヴィン・クラインを彷彿とさせる、知的で飄々としたオジサンですね。
ダイアン・レインが夫を支える妻を好演しています。
少女時代のエルでファニングも出ています。
母娘全く似てませんが。
ヘレン・ミレン演じるヘッダ・ホッパーが憎たらしくていいです。
ヘッダ・ホッパーと同じ時代に同じようなゴシップ・コラムニストとして活躍していたルエラ・パーソンズ、2人の出てくるドラマ、見てみたいなー。

トランボさん、偽名でも2回もオスカー獲っちゃうなんて…才能あるってことですね。
劇中でトランボは「ほかにできる仕事がないから」というようなことを言ってましたが、もちろんそれだけではありません。
書くことは彼にとって生きることだったのでしょうね。生活のためでもあるけど、息をせずには生きられないように、書かないでは生きられない人。
だから他の人の名義でも、偽名でも、ギャラが安くても、条件が悪くても、書き続けたのでしょう。

派手な生活の人も多いであろう映画界で、ダルトン家は家族がしっかり結びついています。妻は夫に理解があり、娘は父の背中を見てまっすぐに育っています。
家族で父の仕事に協力します。
外の世界が敵だらけなのだから、家族は協力しないとですよね。

エドワード・G・ロビンソンや、映画には出てきませんがエリア・カザン等、裏切ったとされる人たちにも、本人からすればやむにやまれぬ理由があったと言うでしょう。
でもトランボは、一瞬たりとも迷いません。嫌がらせをされたり、お金に困ったり、友達が病に倒れたりしても、それも引き受けて生きて行きます。
収監されても信念を曲げません。
トランボのすごいところは、そのまま表舞台から消えて終わるのではなく、自分の信念を通したまま、仕事も諦めず、最後にはもう一度返り咲いたことです。
時代の流れもあったでしょうが、10年もよく頑張ったものです。
トランボは結局、実力で「スパルタカス」と「栄光への脱出」の脚本に実名でクレジットされるところまで戻ってきます。

1971年には自身原作の「ジョニーは戦場へ行った」を監督しています。
「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」は気になっていましたが「ジョニーは戦場へ行った」を見たときにはトランボ原作&監督作とは全く知りませんでした。
「ジョニーは戦場へ行った」も、反戦的な内容から戦争中には絶版にされるなど、紆余曲折あった作品のようです。
自分が監督するところまで辿り着けてよかったね!
…と言うにはなかなか辛い作品ではありますが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?