*白紙の私・続編・2
一体いつになったら、明日は来るんだろう。
母が何もなかったようにせっせと夜ごはんを作っている。今日のメインは手作り餃子だ。ご丁寧に皮まで手作りしちゃってる。
「昨日、『明日一緒にスーパー行こうね。お互いに好きな惣菜買おうね』って言ったのになんで夜ごはん作ってるの…」が言えない。
どうしても言えない一言を頭の中で、心の中で何度も何度も確かめるように、無意識に忘れようとしていた。
--言わないんじゃない、言えないんだ。
バックミュージックのように、日常に溶け込むようにテレビの天気予報は、明日は警報級にの大雨だといっている。
聞き分けがいいのも、ワガママを言わないのも、こんなふうに言ったら悲しむだろうな…困るだろな…じゃなくて。
母が私の内側に関心がないくて、きっと受け止めてもらえないって思うからだ。母は笑ってる私しか視野に入れてくれない。
土砂降りの止まない雨みたいに、泣いてわめいてみたい。もし、土砂降りの雨の中佇んでいたら母は手放しで傘を差し出してくれるんだろうか。
--明日、雨の中ずぶ濡れになって歩いてみようか…
「明日、大雨なんだー。でも私土砂降りの雨ってワクワクしちゃうんだ。傘もささずに歩いてみたくなるんだー」
「何バカなこと言ってるの。そんなことしたら風邪ひいちゃうでしょ。そんなことより今日の餃子の皮失敗しちゃったな。少し固くなっちゃった」
全部が許される場所を知ってる人は、どこまでも無敵で振り返らずに前に進める人だ。
私は前に進めず、波風も立てずにずっと同じ場所でもがいてる。
相変わらずの食卓で、飲み込んだ膨大な言葉をチャラにするくらい母の手作り餃子は相変わらず美味しくて、いろんなことがどうでもよくなって、餃子も言葉も一緒にパクパク飲み込んでいた。