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友達の話1
小学生の頃の思い出。
鳥と話せるという女の子がいた。
野良のカラスに名前をつけて可愛がっており、
家でもインコやハムスター等生き物を沢山飼っていた。
私は「鳥とコミュニケーションがとれる」っていうことに引いたり、変な子って思ったりしないタイプだったので、逆に興味深いな~、鳥と喋れていいな~って思っていた。
でも、周りのクラスメイトから見たら少し変な子だったんだと思う。
ジワジワとその子は周りからハブられるようになった。
当時の担任の先生から、
私が彼女と仲良くするように言われて、
私は普通に友達として接していたんだけど、
段々彼女が私に依存するようになって、
約束もしていないのに、急に家に来るようになったりして、
元々人間関係が苦手で、
1人の時間が必要なタイプの人間だった私は、
彼女のことが負担になり初めた。
そうこうしているうちに彼女はお家の都合で転校することになり、しばらく会わなくなった日々が続いた。
でも、高校生になり、
たまたま電車で彼女とばったり出会った。
それもそのはずで、
学部は異なったが、同じ高校だったのだ。
彼女は明るい笑顔で
「あの時はごめんね。もう、友達も出来て楽しく過ごしているから大丈夫だよ。」
と私に言った。
そこには、もう当時の重く苦しく何かに縋るような彼女はいなかった。
「良かった。自分に合う場所があったんだ。」
彼女を負担に感じてしまったという胸につっかえていた罪悪感が軽くなるのを感じた。
もしかしたら当時、私の行動や言動に薄情な部分があったかもしれない。
でも、小学生の私には精一杯だった。
自分自身も自家中毒を何度も起こすくらい情緒不安定だった時期。
決して彼女を避けたいとか苦しめたい等とは思っていなかったけれど、彼女の負の感情を全部背負うことは出来なかった。
偶然に彼女と再会し、
元気な姿を見せてくれたことに感謝だった。
そして、彼女から軽くなる言葉をもらい、
客観的になれたことで、
当時は苦しかったけれど、
彼女と過ごした時間の中にも、
濃く楽しい時間が沢山あったことを思い出した。
深い部分で繋がれる感覚があったこと。
自然や動物を愛していた彼女。
多分、私も彼女も感受性が豊かすぎて、
上手く周りに馴染めなかった。
でも、あの頃皆に変に思われていたことの中に、
「本当のこと」や「失くしちゃいけないもの」も混ざっていたのかもしれないなあ、と思う。
今でもたまに彼女の感覚的な物の言い方とか、
不思議な言動が恋しくなることがある。
彼女にしか見えない世界があったのだろうと。
そういう、少し切ない思い出のお話。