感想 『数学する身体』 自分のための覚え

『数学する身体』 著者:森田 真生 氏

数学には苦手意識しかないから、そもそも書店では手に取るはずのない本なのだけど、著者の対談記事を読み、興味を持って購入。

読み終えての感想。
恐らく、私は今後何度もこの本を読み続けるだろうと思う。
人の「心」というものを私はどう捉えるか、それを考える上で大切な取っ掛かりがこの本にはあるような気がしている。

前段、数学は頭の中・脳の中にとどまるものではなく、身体性・肉体性を持つもの、更には社会的文脈にも関わることが述べられる。数学的な記述については、理解できるものも、理解できないものもあったけれど、何の違和感もなくすんなりと受け入れられる内容。
本文第三章より
「数学的思考は、あらゆる思考がそうであるように、身体や社会、さらには生物としての進化の来歴といった、大きな時空間の広がりを舞台として生起する。脳内を見ていても、あるいは肉体の中だけを見ていても、そこに数学はないのだ」

後段に入ると、森田氏に深い影響を与えたという、数学者の岡潔氏に関する記述がメインとなってくる。「自他」の話、「情」と「情緒」の話、「零から」と「零まで」の話。これらの話がとても奥深い。私ではまだ、本当の意味で、説明も要約もできない。私がどんなに時間をかかってでも深めていきたい、ものの捉え方、心もちのありようが散りばめられているのは何となく分かるのだが、それが自分の中で綺麗には像を結ばない。未来を思い描く上で、足がかりとなるよう精神のありようがありそうなのだけれど、まだ霧の晴れる時機ではない。そのような感じ。

また時間を置いて、再読してみたいと思う。

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