“クジラ夜の街”を知っているか
邦ロックや若手のバンドに詳しい方なら名前は聞いたことあるかもしれない。
四人組バンド、クジラ夜の街。
今月(2024年12月)から、最新アルバム『恋、それは電影』を引っ提げて全国ツアー『DENEI』を行う。
しかし、先日Xにて、Vo.宮崎一晴が一つの動画を投稿した。
チケットが売れていないそうだ。
チケット、売れてほしい。
バンドも、売れてほしい。
これは、クジラ夜の街のファン、通称“ファンたち”の私が、彼らの魅力を紹介する記事。
微力ながらも、どこかの役に立つことができたら、大好きなバンドの魅力が少しでも伝われば、本望です。
クジラ夜の街とは
『ファンタジーを創るバンド』。
Vo.Gt.宮崎 一晴、Dr.秦 愛翔、Gt.山本 薫、Ba.佐伯 隼也の四人からなり、高校の軽音楽部で2017年に結成された。
当時から自分たちで楽曲制作を行い、高校生軽音楽部の全国大会で優勝。その後は各オーディションを総なめし、高校卒業後から全国のイベントに多数出演。
2023年5月、日本クラウンよりリリースされた
EP『春めく私小説』でメジャーデビュー。
もう少し細かいプロフィールはこちらから☟
この経歴からわかるように、クジラ夜の街は実力派のバンドと言える。
もう少しメンバーの話をすると、クジラ夜の街の作詞作曲を手がけているのはVo.宮崎(X:@miya_za_)。しかし、制作には他メンバーの意見やアイデアを入れているため、メンバー全員でクジラ夜の街を作り出している。まさにバンド。
他のメンバーが意見を出して制作した楽曲で言うと、『祝祭は遠く』という楽曲はアイリッシュ音楽が基調となっており、これはアイリッシュ音楽が好きなDr.秦(X:@m28_mt)が、各所に注文に注文を重ねて完成した作品となっている。
バンドの中で比較的サポート側に回ることが多いベースは、クジラ夜の街ではひと味違うポジションにいる。見せ場とサポートの切り替えが非常に上手く、これはBa.佐伯(X:@exr_ekisa)の才能と遊び心の賜物と言えるだろう。楽曲『BOOGIE MAN RADIO』や『Saisei』は彼のベースラインが特に際立っている。
Gt.山本(X:@amrc_zariga2)はライブの会場BGMを制作しており、ライブ毎に彼がBGMを新調している。クジラ夜の街の大きな武器であるライブは彼がその雰囲気を作り出していると言っても過言ではない。
実際に彼らのライブに行くとわかるが、他のバンドとは少し違う開演前の雰囲気が、クジラ夜の街にはある。
ライブのMCや冠ラジオでよく喋るのはVo.宮崎とDr.秦。Gt.山本とBa.佐伯が喋らないわけではない。よく喋る人が喋りすぎているだけ。
FM NACK5で毎週金曜24:00から放送している『クジラ夜の街のメタラジオ』では、ファンタジーを取っ払った彼らのトークを聞くことが出来る。30分と聞きやすいので良ければ。
※2024年内で放送終了のためご注意ください!
魅力① 楽曲は三つ要素の組み合わせから成る
僭越ながら、彼らの魅力を綴らせてもらう。
一つ目は楽曲について。
彼らは『ファンタジーを創るバンド』。
楽曲にもファンタジーが散りばめられている。
“失恋喫茶・かみふうせん”(失恋喫茶)や
“古本屋・ファンタジア“(踊ろう命ある限り)
というような架空のお店の名前が出てきたり、
泥棒や魔女、宇宙人、王女、姫、とある秘密結社などといった、彼らが描くキャラクターが題材になっていたりするなど、聴き手の想像力を掻き立てる歌詞が多い。まるで物語を読んでいるかのような気分になる。
そこに最近加わったのが現実的というエッセンス。加わった、というよりも今まで楽曲に潜在していたそれが最近明るみになってきた、と言った方が正しいか。
ファンタジーに現実?何を言っているんだ!
というような声が聞こえそうだが、単なるファンタジーを歌うバンド、ではなくなったのだ。
私はこの要素が彼らを、楽曲をパワーアップさせた、クジラ夜の街に深みを出す大事なものであると思っている。
最新アルバムより、
『ホットドッグ・プラネッタ』。
この楽曲は、宇宙のサービスエリアでホットドッグを売っている女の子のお話。その子には昔から好きだった、今は有名になってしまったバンドがいて…といった設定になっている。
実際には存在しない“宇宙のサービスエリア”
という非現実的な設定と、
一定の人は経験したことがあるであろう
“好きなバンドに思いを馳せる”
という現実的な内容。
そしてそれを表現させる彼らの実力。
この三つの要素が合わさって成る音楽の世界。
これこそが今のクジラ夜の街である。
最新アルバム『恋、それは電影』には、この楽曲以外にも三つの要素が感じられる曲が多い。
魅力② クジラ夜の街が詰まったCD
近頃は音楽を聴く手段としてサブスクリプション(以外、サブスク)が主流となっており、CDを買う機会も売上も全体的に下がっている。
そんな中彼らがこだわっているのはCD。
Vo.宮崎がいつかのインスタライブでこんなことを言っていた。
サブスクだとデータが飛んでしまったり、そのサービス自体が終わってしまったら音楽が聴けなくなる、けれどCDは手元に音楽を残すことができる。
彼らは自分たちの音楽を未来に残すために、音楽の基盤であるCDにもこだわりを持っているのだ。
こちらでも最新アルバム『恋、それは電影』、通称『恋盤』を例にあげて話していこう。
ワンマンライブDVDがついた初回限定盤と、通常盤の二種類が発売されたのだが、初回限定盤のギミックがすごい。
このアルバムのテーマは恋と電影。「電影」には稲妻、雷という意味や、中国語では映画といった意味もある。
テーマ、タイトルの通り、収録曲にはラブソングが多かったり、『End Roll』という映画を連想させるような楽曲があったりする。
ジャケットカバーの女の子、その目に注目していただきたい。
映画のフィルムのようなものが写っているのがわかるだろうか。
通常盤はそこまでなのだが、初回限定盤は…
拡げると、映画のポスターが表れる仕組み。
ポスター上部には、彼女の目に写っていたフィルムが並んでいる。中身は過去に配信、発売された楽曲たちのカバーアート。
それだけではない。通常、冊子状になっている歌詞カードだが、このアルバムはひと味違う。
拡げたポスターの裏を見てみると…
まるで映画のエンドロールのように歌詞が書かれている。これは通常盤の歌詞カード(冊子状)も同じようなレイアウトだ。見開き一ページ、冊子を縦にして歌詞を読み進めていくスタイル。
どこまで世界観を貫くのか。彼らの「クジラ夜の街」を追求する姿に私は脱帽した。
彼らのCDは、ただ音楽を聴くためのものではない。あの一枚にクジラ夜の街の世界観や彼らの音楽に対するこだわりが反映されている。パッケージ、歌詞カードを含めて一つの音楽作品である。
これらのギミックは、彼らもラジオやインスタライブで嬉しそうに話していた。「こうするとポスターみたいになるんですよ!」「映画のエンドロールみたいな歌詞カードで!」「すごくないですか!」と、自分たちで制作したCDについて誇らしげに話す姿を見て、こちらまで嬉しくなった。
発売前にたくさんこの話を聞いてCDに隠されているギミックもだいたいわかっていたのに、買ったもので実際にポスターを拡げたら感動してしまった。
それぐらい、こだわりにこだわりまくっている彼らのCDは、手元にあるのとないのでは音楽体験の感動度合いが変わってくる。
「クジラ夜の街」が詰まったCD、ぜひ手に取っていただきたい。
…とはいっても、サブスクがあるこの時代に、気になる程度のバンドにお金を出すのは渋ってしまうだろう。そんな方にオススメしたいのはワンコインCD。
一曲収録されたCDが500円で販売されているもので、数量限定。販売場所も、タワーレコード渋谷店、町田店、ライブ会場とかなり限られてしまうが、正方形の封筒に入ったCDは集めたくなるような見た目で、捺されている判のデザインも作品ごとに異なる。
もう一度言おう、「クジラ夜の街」が詰まったCD、ぜひ手に取っていただきたい。
魅力③ ライブは彼らと楽曲を輝かせる
彼らを語る上で欠かせないのはライブ。
ライブでの彼らは強い。
一つはライブを作り出す力の強さ。
クジラ夜の街の楽曲にはみんなで手を左右に振るところがあったり、声を出すところがあったり、クラップをするところがあったりする。
一見、詳しくない人からしたらハードルが高いようにも思える。
しかし、不思議なことに、楽曲を聴いていたら自然とクラップしたくなる、声を出したくなる、そんな曲と場面が多い。
そして何より、ノれる音が多いから楽しい。
学園祭やサーキットイベントでライブをする場合は、ワンマンライブと違いクジラ夜の街のファンではない人もいる。
それでも、SNSに上がるライブ映像などを見ると手が挙がっている、クラップが起きている。
それは彼らが作り出す音に、一体となる魅力や強い力があるからに違いない。
もう一つは世界観に惹き込む力の強さ。
クジラ夜の街のライブは、開演前から始まっている。これから何が始まるのだろう、と、Gt.山本が作る会場BGMが観客のワクワクを大きくさせている。
楽曲だけを聴いてもクジラ夜の街の世界観はわかるのだが、そこに視覚的な効果が入ると楽曲がまた変わって聞こえる。
それが大きく表れたのは2024年の6月21日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催されたワンマンライブ『7歳』。
これまではライブハウスでの公演が多かったが、このライブは初めて舞台セットを組んだ日になった。
幕が上がり、スモークの中ステージに現れたのは、楽曲『踊ろう命ある限り』に出てくる古本屋“ファンタジア”。その後ろには、楽曲『ヨエツアルカイハ一番街の時計塔』のジャケット画像やクジラ夜の街の公式HPに出てくる時計台があったりと、彼らの世界観が存分に再現されていた。
こちらはホールで舞台セットが組まれていた時の話。
では舞台セットがない、ライブハウスでの彼らはどうなのか。
それはそれはかっこいい姿を近くで見ることができる最高の場だ。ライブハウスのステージにあるのは、照明と楽器と本人たち。ホールほど豪華な装飾はない。
そこで際立つのはクジラ夜の街。ライブハウスでは彼らと彼らの音楽を純粋に味わうことができる。そして、すごく広いライブハウスではない限り、演者との距離は結構近い。ライブに没入できる。
しかしこの没入感、他のバンドとは一味違う。先述した、クジラ夜の街が持っている世界観に惹き込む力がこれでもかというほど発揮される。
クジラ夜の街×ライブ、それは最強である。
今告知されているツアー『DENEI』ではライブハウスをまわる。ツアーファイナルはZepp Shinjuku。やや広め。
これだけは言いたい。
Zepp Shinjukuでバンドをしているクジラ夜の街は最高にかっこいい。胸を張って言える。なぜならこの会場には360°LEDビジョンが常設されており、他のZeppと違いライブにビジョン演出が加わる。
2024年の4月に行われた全国ツアー『輝夜を捜して』のファイナル公演も同じ場所で行われた。Zeppならではの細かい照明演出は、彼らをさらにかっこいいものにさせていく。激しい照明の中にいるクジラ夜の街は本当にかっこよかった。ステージ上のビジョンに大きく『クジラ夜の街』と出た時の感動や鳥肌が立ったことは今でも鮮明に覚えている。
彼らのライブはとにかくいい音楽体験ができる。きっと、ライブが終わる頃にはもうクジラ夜の街の夢中になっていることだろう。ぜひ一度、お越しいただきたい。
まとめとあとがき
…たくさん書いた。
ここまで読んでくれた方はいるのだろうか。いましたら感謝申し上げます。
まとめると、
・クジラ夜の街は四人組バンド
・「非現実的な設定×現実的な内容×実力」から成る楽曲
・彼らのこだわりはCDにあり
・クジラ夜の街×ライブは最強
これだけ述べたけれど、まず第一歩として、お手持ちのサブスクでいいので、クジラ夜の街の楽曲を聴いていただきたい。今のオススメは最新アルバム『恋、それは電影』。できたら一曲目から順番に。もし忙しければ『ホットドッグ・プラネッタ』だけでも。
もし気に入っていただけたら、ちょうどいいタイミングでツアーが開催されます。
ワンマンツアー『DENEI』
12月20日に愛知から始まり、大阪、宮城、北海道、広島、福岡、ツアーファイナルは東京。Zepp Shinjuku。
チケット一般発売中です。
イープラス、チケットぴあ、ローソンチケットでお取り扱いしています。テキストに各リンクを貼っているので、ご都合のいいサイトでご覧ください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。私の愛するクジラ夜の街の魅力は伝わったでしょうか。拙い文章でしたが、少しでもあなたに届いていれば幸いです。
クジラ夜の街のライブ体験は、あなたの記憶に残るものになるはずです。