【散文詩】半自動筆記に依る夜想曲(12)-1:『メルキゼェデクとイスマイールとバラモン』-1
寒々しい窓枠の霜が弾ける音を聞いて私は一つ気に為る事を思い出した。詰まる所、救世主等と呼ばれる者は(この際、如何読み仮名を宛てるかは最早如何でも良い。大祭司だろうが預言者だろうが奉教者だろうが、時に正悟者と呼ばれる事も有るかも知れない。)結局の所、大勢の社会不適合者の群れを引き連れ散々煽り立てて焚き付けて扇動し、其の数を倍々に溢れさせたのでは無いか、其の不幸な結果を、我々はこうして今、目の当たりにして居るのでは無いか…。
考えの途方も無い恐ろしさに、私は身震いした。此ればかりは如何なる魔術師が杖を振るえど蚊の刺す程にも影響は無いだろう。愚かしさは巡り、亦繰り返す。総ては永劫に照応した恒常で在る。私は、終わりの無い思考に飽き、一寸其処迄散歩に出る事にした。世界の無為を評し、盛大な放尿と共に、凍て付く夜に投身した。
<続>