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花宮香織さん②『D &Iと、組織のビジョンの関係性』

コモンビートのビジョンに共感して
くださる方はスキをお願いします!

こんばんは。『クローズアップNPO法人 〜現場の声から〜』です。

初めてコモンビートを知る人が団体に対して持つイメージで最も多いのは、「なんか楽しそう」という言葉。
でも、ただ楽しいだけじゃないんです。
企画の現場にいつだってある“楽しんで学んでもらうための仕掛け“は、NPO法人として「社会貢献活動」を実現させる一つの手段でもあります。
では一体、その仕掛けは誰がどう作っているのか、企画がどう社会貢献に繋がっていくのか。
コモンビートを運営するメンバーの皆さんに伺います。

今回お話を聞かせていただいたのは、コモンビート事務局長である花宮香織さん(以下、はなさん)です。

本日9月12日(月)は、②『D&Iと、組織のビジョンの関係性』をお伝えします。

なお、はなさんのシリーズは全4回。

14日(水) ③『花宮さんと、目標に対する考え方』
15日(木) ④『意地悪な質問と、NPOに興味を持つ学生へ』

と今後お送りしていきます。

⭐︎前回の記事はこちらから
①『NPO法人と、コモンビート法人化への歴史』

⭐︎はなさんの自己紹介はこちらから
NPO法人コモンビート 公式HP
https://commonbeat.org/outline/staff/

取材担当:広報インターン ジュン



ーーコモビジョン(⭐︎)について詳しくお聞きしたいと思います。D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進が組織のビジョンの一つにあります。
D &Iという言葉の他にSDGs(エスディージーズ)という言葉も近年では叫ばれていますが、この二つのアルファベットの違いがわかりにくいです。
SDGsは環境をメイン、D &Iは人間をメインにしているのかな?と、なんとなくでしかわからないという方も多いのではないでしょうか。
はなさんからその両者の違いを説明していただければなと思ってます。

⭐︎コモビジョンとは
NPO法人コモンビートが掲げる組織としてのビジョン。
個性が響きあう、多様な価値観を認めあえる社会を目的としている。

詳細な内容はこちらから
https://commonbeat.org/comovision/

⒈SDGsとは

SDGsとD&I、どうやって説明しよう・・・
SDGsは持続可能な社会にするために、あらゆる観点とあらゆる分野とあらゆるテーマでのアプローチをしているので、包括的みたいなところがあるかなと思います。
ジュンが言った通り環境のこととかもあるし、D&Iに関するようなジェンダーとか教育とか公平とか公正とかも含んでいるので、包括的な社会で取り組むべき目標かなって。あと、それを目標として定めていたりとかするから、ちょっとだけ強制力があるというか、SDGsを起点にいろんな企業への投げかけだったりとか取り組みだったりとかが生まれているかな。世界的に目指そうっていう合意が取れている企業の目標だよねと思っています。

ただ、実態としてちゃんとそれが機能してるかってのはまた別の話だなとは思っていて。「とりあえずSDGsを謳っておけばいいか」みたいなことをする組織もいるから・・・これはSDGsウォッシュって言われたりとかするんだけど、形だけでやっていて中身が伴っていなかったり。SDGsと言っておけばいい広告になったりとかするし、なんとなくいいことしてるってイメージが生まれやすかったりとかするから。そうやってSDGsっていうバッチをつけていても、環境に負荷高いことやったりすることもたくさん起きてて警鐘が鳴らされているよ。

⒉D&Iとは

じゃあSDGsがそれだけの包括性とか広さを持っているから、逆にD&Iは範囲が狭いのかというとそうではなくて。
D&Iは、目指すべき目標というよりかは、概念みたいなところが強いかなと思うので、D&Iが強制力を持って人に届くとか、それに基づく施策とかがダイレクトに生まれたりとかするっていうわけではないんだけど。

私個人の考えだと、D&Iは人間に対して言われることが一番大きい概念ではあるんだけど、もっと幅を広げて解釈することができる概念でもあるかなって思っています。
See the Dfference(⭐︎)で、森林浴をやっている小野なぎささん(一般社団法人森と未来 代表理事)という方をゲストにお呼びしたことがあって。
その時には、「D&Iっていうのを人間同士の違いで考えることもあるけど、もっとスケールを伸ばすと人間とその他の生物の違いっていう観点で考えられたりするよね」とか「インクルージョンする幅は人間社会じゃなくて、もう地球って捉えることもできるよね」みたいなふうに考えたりもして。もちろんそのスケールを決めるのはその言葉を受け取る側だけど、そういうふうに解釈のスケールを広げることができる言葉で素敵だなって私は思っていたりとかします。
人間同士って狭いから違いに対してイライラしちゃうけど、何か違う動物だと思ったら通じ合えないの当たり前だって思えたりとか、人間同士が豊かに暮らすためにも人間以外の動物とか環境とかとの調和って絶対必要だなと思ったときに、結局D&Iの幅って広がってくるかなと思う。
ただ、日本ではD&Iが元々どこから生まれてきた言葉かというと、経産省とかがずっと発信している言葉なんだよね。経済的な効果を生み出すために、高度外国人人材を登用しましょう、女性をもうちょっと登用しましょうっていう文脈から叫ばれてきた背景がある言葉だから、どうしても経済思考とか人間の範囲において使わ
れる言葉が日本においては強い言葉だなっていうのはD&Iに対して思っています。

⭐︎See the Dfferenceとは
NPO法人コモンビートが毎月開催する「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」をテーマに、違いを知り、違いに出会い、違いとつながっていくためのイベント。

詳細は公式HPへ
https://commonbeat.org/program/see-the-difference/

○今回はなさんのお話の中で出てきた企画詳細はこちら

新緑の森で森林浴 〜考えることをやめて感じてみよう〜
https://commonbeat.org/events/48819/

一般社団法人森と未来 公式HP
https://www.fwithf.org/

⒊コモンビートのD&I

ーーそんなD&Iを軸に活動をしているのがコモンビートですが、他のミュージカルをやっているNPO法人さんたちと一線を返すようなことは何ですか。

ミュージカルをされている他のNPO法人のことをよく知らないので、断言できるわけではないかな。
でもいくつか特徴として挙げるとしたら、D&Iという目的のための手段としてミュージカルを使っている点だと思う。
そのD&Iに関しても、世間一般だとジェンダーだったりとか人種とか国籍の問題だったりとか障害の有無だったりとか、そういう「カテゴリーの違いを認めましょう」とか「マイノリティを認めましょう」っていう文脈も多いと思うんだけど、コモンビートに関しては、D&Iという言葉を「そういう違いはもちろんだけど、最終的には1人1人の違いを認めましょう」ということなんだよね。例えば、障害を持っている人の中にもいろんな人がいるって思ったときに、「結局1人1人全員違うじゃん」(⭐︎)っていうところを起点にD&Iを考えているっていうところは、コモンビートの一つの特徴だなって思っていたりする。

⭐︎この一文はビジョンに記載されている
「D &IはU&I」に繋がる言葉でもあります。

“U&I“の詳細はこちらから
https://commonbeat.org/comovision/

あとは、組織の形態としてかなりネットワーク型であんまり縦の階層が強くないところかな。創作現場とかって権力構造とかがはっきりしてる場合が多いと思うんだよね。それも一つの形かもしれないけど、コモンビートは組織の形としても創作現場の形としてもかなりネットワークでアメーバ型。1人1人が権限を持っていたり、フラットだったり、オープンだったりとかするっていうのも一つの特徴かなと思っています。
でも、ミュージカルをされている他のNPO法人がどうなのだろうかというところは断言できない部分があるので、今のコモンビートを見た時の特徴として捉えてください。

⒋ビジョンができるまでの変遷

ーー私の勝手な印象ですと、手段と目的がごちゃごちゃになっちゃいがちな団体って多いと思うんですよね。NPOとして舞台をやるにしても、それ自体が目的になってしまうのではないのかと。実際そこに参加した人たちがどういう影響を受けているのかとか、社会のために舞台をすることがどう効果的なのかとかをロジカルに考えている団体さんはむしろ少ないのかなっていう体感で。そういう点で言うと、 コモンビートはしっかりと考えて研究されている印象はあります。

ジュンがそういう感想を持っててくれてめちゃくちゃ嬉しいし、それが伝わってるのが超ありがたい。
ただ、コモンビートは2年後に20周年になるくらいやってきたから、その結果ようやくそういうふうになれてきたのかなと。初めからそれがしっかりしていたかと言われれば正直そうじゃない時期もあったかもしれないなって思います。

団体の歴史をおさらいすると、ミュージカルという活動が先にあって、後からNPO法人という形態になったんだよね。そのうち、うちの地域でもやりたいってどんどんどんどん広がって行って、コロナ前は年間5、6本とかやってる期間もあった。
そうなると、やっぱり次から次に活動がやってくるから立ち止まっている時間もなくて。しかも活動の現場を回してるボランティアのメンバーは地域の活動を成功させようと頑張ってくれていたりとかするから、ある意味、目の前だけを見てどんどん本数でやっていく時期もあって。それが駄目なわけではないんだけど、長期的な視野を持てたかって言うと別にそうではなかったかなと思う。

そんなふうにずっと走り続けてきたコモンビートを止めた出来事って、今までの歴史の中で2回あって・・・

一つが、東日本大震災。
キャスト100人全員決まっていて、来月から練習があるっていうところで東日本大震災になった。あの頃、エンタメは自粛するべきという空気があったり、電力をあまり無駄遣いしないようにしようという流れもあって、そんな世の中でコモンビートみたいなやらなくても今すぐ誰かが死ぬわけではない活動をあえてする必要があるのか、みたいな議論もあった。結局いろいろ考えた結果やるっていう選択をしたんだけどね。

もう一つが、新型コロナウイルス。
自分たちはあくまで、多様な価値観を認め合う社会っていう目的のためにミュージカルをやってたんだけど、ミュージカルができなくなったってなったときに、アイデンティティクライシスみたいな笑
じゃあ私たちは何をしたらいいのかってところで、ビジョンに立ち返るみたいな現象が起きて。あくまでミュージカルが手段で、それができないんだったら他の手段をとればいいじゃんっていう答えに行き着くから、オンラインでいろんな事業を起こそうっていうふうになって、週末留学(⭐︎)やCplus(⭐︎)っていうオンラインでの演劇が生まれたり、表現ひろば(⭐︎)が生まれたりとか。
そういうことがあって、2020年から新ためてビジョンを見つめ直して今の社会に対して何をすべきなのかなって考えた過程を経て、2021年にコモビジョンができています。

⭐︎コモンビートにはオンラインで参加できる企画が多数あります。
国際交流や表現活動に興味のある方はぜひチェックして見てください。
詳細はこちらから↓

・週末留学
https://commonbeat.org/program/jumpin/

・Cplus
https://commonbeat.org/program/cplus/

・表現ひろば
https://commonbeat.org/program/hiroba/

だから、ウェルビーイング(※)っていうそのジュンが興味を持ってくれてることが団体のビジョンに加わったのが2021年からかな。
今までミュージカルでずっと走ってきつつも、度々起こる社会的な出来事によって自分たちのビジョンやあり方や意義とかを考えさせられてもらってるってところかな。

※ウェルビーイング(well-being)とは
心身ともに良好な状態にあることを意味する概念で、「幸福」とも翻訳されます。
(コモンビート公式HPより)

ーーコモビジョンは最近できたものだったんですね。確かにコモビジョンは今の時代に適している考え方だなと感じます。

2004年の立ち上げ当初、コモンビートはD&Iを謳っていたわけではないんだよね。D&Iと同じような感性や感覚は持ってたんだけど、そもそもD&Iって言葉が2004年の後から日本で叫ばれるようになってきてて、「コモンビートが言ってたことって横文字とか概念にするとD&Iなんだ」っていうことを後から認識したところもあるから、あんまり自分たちがD&Iの団体ですって言ってきたことがなかったんだよね。

2010年代の後半ぐらいから、やっぱりコモンビートがしていることはD&Iだっていうふうに言われるようになって。
コロナになってからは自分たちの長期計画のためのビジョンを考えようっていうワークショップをやる中で、コモンビートはダイバーシティ&インクルージョンっていうのを掲げてもいいようなことをやってきたし、むしろもう掲げた方が伝わりやすいし、そういう概念が世間にも結構馴染んできたよねってなって、コモンビートがダイバーシティ&インクルージョンを掲げていいフェーズになっていったかな。

あと、じゃあなんで多様な価値観を認め合うのって言われたときの答えはなかったんだよね。「え、多様な価値観を認めた方がいいじゃん。」みたいな。
D&Iすらも手段であって本当の目的はウェルビーイングだよねってところにたどり着いたのが去年。だからビジョンの最上位の概念はウェルビーイングなんだよね。人も地球も幸せになるっていうウェルビーイングな状態になるのが一番良いと思ってる。

今の日本だと特に違いが認められない場面が多いから、ウェルビーイングにならない人も多い。それを解決するための手段としてD&Iを推進して、そのD&Iを推進していくための手段としてミュージカルを筆頭に表現活動をやってる、っていうのに整理し直したのが去年のビジョンを作る過程かな。
なので、ダイバーシティ&インクルージョンやウェルビーイングとかを明文化したのは去年からなんです。

明日9月14日(火)は ③『花宮さんと、目標に対する考え方』をお送りします。





関西公演情報

【ミュージカル「A COMMON BEAT」再開記念シリーズ 関西公演】

▼日程
2022年10月2日(日)
初公演:開場 12:30 開演13:00
千秋楽:開場 17:00 開演17:30 ★オンライン配信あり

▼会場
吹田メイシアター 大ホール

▼詳細
https://commonbeat.org/musical-acb/comeback2022/ticket2/
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