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 みのがし様(3)


三平は懐かしそうに語り、そのまま飯を置いて帰った。才蔵はその神様に頼んで逃げようと思ったが、蔵にいてはどうにもならない。そこで自分と背丈が似ていたもう一人の下男の吉太に、三平を通じて頼み込んだ。この二人はいわゆる捨て子であり、金五郎に養育され今日まで生きてこれた。だが手代の才蔵には手習いや勘定も習ってきた恩もある。


二人は2日間悩んだ後、計画に乗った。さて、祝言の当日、江戸から例の木綿問屋の嫡男千代太郎、父親の初蔵、母親のやえが駕籠に揺られ、金五郎方に到着した。挨拶もそこそこに持参金と土産を金五郎に渡し、場の準備が始められた。


才蔵は吉太と成り代わり着物を着替えており、三平の合図で飛び出す手筈だ。夜も更ける頃に祝言が始まった。三平は廊下を通って障子からこっそり覗いた時に時がきたと思い、犬笛を吹いた。


すると、才蔵は蔵から飛び出し、祝言の部屋にドタドタっと入り、金五郎、初蔵等が驚き、親類がパニックになった時にお千代を連れて才蔵が玄関までいくと、馬がおり、それにお千代をのせて自分も乗り込み、みのがし様を目掛けて走り出した。


金五郎は自分の面子を潰された才蔵に激昂し、代官所へ乗り込んだ。夜勤でうつらうつらしていた役人をたたき起こし、陳情をしたのだが、朝方まで動けないと言われると、吉太を脅しつけて吐かせ、みのがし様へと走った。

才蔵はようやくみのがし様を見つけると、お千代と共に近くに寄って一心不乱に祈願した。後ろから金五郎の乗った馬が走り込んできた。その時であった。才蔵、お千代が金五郎の前から姿を消してしまった。金五郎は辺りを探し回ったが何一つ見つからず呆然としていた。


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