「紙・耳・時間・多視点」推敲
ノウハウ的なエラそうな記事を書くつもりはないのです。
雑感、的な感じで、サラっとお読みください。
みなさん、記事や小説を書いたときはご自分で推敲されますよね。
私ももちろん、何度も何度も読んで手直しします。
思いついたら「とりあえず書いちゃえ」という場合が多いので、「書く」より「直し」の方が多いです。
推敲の方法って、人によっていろいろ違いますよね。
「紙に印刷して推敲」という人を結構見るのですが、私はインクがもったいなくてできないでいます(;´・ω・)
公募の場合は、よくPDFに変換して画面で確認してました。
モニターが大きいので「紙に印刷」とほぼ一緒だと思っているのですけど(;´・ω・)チガウカナ 気になる点にマーカーだけ引いたりします。
そして、いつからだったか。「耳」でも推敲するようになりました。
主に、車での移動中と犬の散歩中 です。
音声読み上げアプリに自分の書いたテキストをコピペ、です。
無料のアプリなので、漢字の読み間違いが非常に多いですが、だんだん慣れてきました。(声の高低や速度は調整できます)
何度、目視で確認しても気づかないミスが、一発で炙り出されるときがあります。
「タイポグリセミア現象」ってやつです。
たとえば、こんなのです。↓
この話、なんか聞いたことありますよね?
一時期、「イギリスのけんきゅうで なんちゃらかんちゃら~」という文章をネットでよく見ました。アレです。
この現象、視覚は騙されるけど、聴覚は騙されません。
他の方の作品も読み上げアプリで聞くことがありますが、たまに、そんなまがちい(タイプミス)にでわくすことがあります。 ふふ。
*
その現象とは少し違いますが、先日、「耳で聞いていたら気づいた」ことがありました。
私が「ピリカ文庫」で書いた短編小説をstand.fmで朗読劇にしてもらったんです。
この話はミステリーです。
殺人ではないけれど、事件が起きて、犯人もいて、理由もあって。トリックのようなものもあって(トリックというか…未読の方で期待して読みたくなったらすみません。そんなすごいトリックの話ではないです…💦)
ミステリーを書くときは、トリック的なものを思いついたあと、かなり神経を使って考えます。
「なぜ」「いつ」「どうやって」
それは当然、「一方向から」ではなく、「多方向」「多視点」から考えて推敲します。
犯人は、なぜ、いつ、どうやって、それを行うか。
刑事は、いつ、どうして、どこまで、知るのか。
もちろん、刑事や読者は「徐々に」知る。あるいは、途中で「騙される」。
そうでないと面白くありません。
どんなに面白いトリックでも、最初から全部理論立てて説明しちゃったら「小説」ではないですもんね。
また、トリック成立させるための「都合よい展開」は、しらけますもんね。
(※「都合よい展開」と「お約束の展開」は別もの)
今回、1万字以内の短編ですけど、ちょっと頭が上手く回ってなかった部分がありました。何度も書き直して、モヤモヤしたまま、「これでいいはず」と思って投稿し、1か月後の朗読を聞いて「おかしい!」ことに気づきました。
あ、これ、「耳で推敲」というより「時間を置いて推敲」って要素の方が大きいな。
ま、いいか。話を続けます。
おかしいと気づいて、恥ずかしい!どうしよう!と慌てて投稿した記事を読み返しました。(目で確認したら、それほど違和感なかった。でも耳で聞いたときは激しい違和感があった)
直した部分が主に以下の2点。
まず、犯人と刑事の会話の、刑事のセリフ。
は? ですよね。
本編未読の方はもちろんですけど、既読の方でもピンと来ない気がします。
でももしかして、朗読のために何度も読み込んだであろう、こーたさんや納豆ご飯さんなら(この流れ、なんかおかしいぞ)って違和感があったかもしれません。
簡単に説明すると、「紙に書かれた文字」が「Aと思っていたのにBだった」と軽く判明しているはずなのに、まだ「Aと思っている」感じで刑事が喋ってる……のです。(決定的に判明するのはこのあと)
また、その後のセリフを少し変更。さらに展開を分かりやすくするために追加修正しました。(太字の部分は追加)
あの……
読んでいるかた……
深く、考えなくていいです。
ざっくり捉えてくれればいいです。
要するにですね……
このシーンは、ほんの5分程度の会話の場面ですが、その中で判明していくことがいくつかあり、刑事が「今、何を、知っているか」が、少しだけズレていた んですよね。
これ、作者は最初から全部知っているから、起きちゃうミスだと思います。
現時点で、どの事実が判明していて、どの部分がナゾ? 刑事の、事実から考えた予想が、合ってる? 合ってない? 分かってるけど黙ってる? 犯人は、何をした? してない? その事実がバレてると分かってる? 分かってない? それとも敢えて?
読者に、いつ、何を気づかせる? 違和感を持たせる? その時点で、刑事は気づいてる? 刑事も騙されてる?
ぅーーーわぁーーーっ! (≧д≦ヾ) チョット、モウ、ワカンネー
ってなる時があります。(この話はここまで複雑ではありませんが)
ちなみに、このシーンはラストではないので、誰かがまだ嘘をついています。読者に、事実の全てを開示するシーンではありません。
事件が解決した後、新人刑事が先輩刑事に報告するシーンは、事実を全て述べればいいだけなので、書くのは楽ちんです。漏れがないかな?全部回収してるかな?って考えるだけです。
そんな間違いに気づいて、ちょいと書き換えましたって話です。
*
「多視点から推敲する」ことについて追記。
重要な登場人物の、それぞれの立場に立って「その時なにがあって何を感じたか」を丁寧に追って考えることがあります。
「その人になりきる」みたいな感じです。
小説の流れは無視です。時系列通りに話はすすみませんから。
小説には描かれてないけど、その人が産まれてから、順に……まで丁寧に考えると、「この時点でこのセリフ・行動はおかしい」というのが自然と分かります。
(エラそうに書いてますが、毎回全員丁寧にやるわけでもないし、やっても間違えることは多々ある)
今回の朗読劇の放送の最後、小説の感想を言ってくださるのですが、ピリカさんが、離婚した某刑事さんと元奥さんの事を「仲悪くない」「まだ気持ちがあるのではないか」と言っていました。
妻の、とある癖とか、夫の「ドヤ顔」から感じたのかもしれません。
ピリカさんに言われて、私も初めてそれを自覚したわけなんです。無意識に書いていました。深く意識したわけではなく「その人になりきった」結果、元妻の出るシーンであえて描写した部分が、そう言えば他にもありました。
これらの描写に、読者さんの意識が残ったかどうか分かりません。あまり目立たないように書いてます。元妻としても「心の奥底の気持ち」です。
離婚した夫に娘を面会させる日、待ち合わせ場所で娘を引き渡すだけなんだけど、こんな格好してきたわけです。
まぁ、近所の喫茶店とかじゃなくて、今回はわざわざ東京駅での待ち合わせだったので化粧くらいは誰でもするだろうけど。
高めのサンダルに元妻の気持ちをちょっと乗せてます、って話でした。
そんな細部に気を配って書くこともあって。
誰も気づかないとしても、なんか、小説書くって、楽しいよね~
ぅーーーわぁーーーっ! (≧д≦ヾ)
ってなったとしても、面白いのよね~
推敲――
すればするほど、登場人物が掘り下げられて、楽しくなっていく気がします。あえて「削る」部分もありますけど、それも「描かれなかった、その人物」として、自分の中には積み重なっているので、やっぱり楽しいです。
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「すまいるスパイス」のみなさま
この度は、本当にお疲れ様でした!
こーたさん、「群馬県警鳩巻署刑事課強行犯係、唯一の女性巡査部長、藤岡華乃先輩」を噛まずに言えてしゅごいでしゅ👏
「ゆいちゅのじゅんしゃぶちょー」になっていたら、「ろうにゃくにゃんにょ」のリベンジになったのに ザンネン
あれ? 今になって「群馬県警鳩巻署」って言い方が変な気がしてきた。正式には「群馬県鳩巻警察署」かな……もう一回、収録しなおしてもらっていいですか?('ω')ノ
うそです。
今度、みなさんへのリスペクトの意味を込めて、当て書きで何か書きたくなってきちゃいました。
3回目のピリカ文庫依頼があるかどうか……
それと、収録された音源に「ナゾの音」が入っています((((;゚Д゚))))
ちょっとまじで怖いです。。。
(詳細は、上記に紹介したピリカさんの記事のコメント欄をご覧ください)