ちょい遅れております《#毎週ショートショートnote》

「ちょい遅れております」っていう声が確実に聞こえたのよ。本当よ。誰も信じてくれないけど。

「ちょいだけならいいけど」そう返事したら、周りのみんなはキョトンとした顔で私を見下ろした。「ナニ言ってるの？」って。マスクしてたからよく表情は見えなかったけど。たぶん、そう。

でも、結局あなたが来たのは「ちょい」あとじゃなくて「随分」あとだった。そうよ。気が遠くなるくらい遅れたわよ。待たされる間、私がどれほど苦しんだか分かる？

そば屋の「いま出ました」は信用ならないって知ってたけど、まさか、あなたが私に嘘をつくとはね。先が思いやられるわ。

え？　嘘じゃない？

ええ、まぁ、そうか。
「ちょい」って具体的な数字じゃないものね。価値観は人によって違うから、確かに嘘ではなかったのかも。
私とあなたは同じ価値観を持つと思ったけど、そうではないのね。

残念だけど、よく分かったわ。
私とあなたは別の人間。

十月十日、いや、プラス２週間も一緒に居たけどね！

(411文字)

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たらはさん、いつもありがとうございま……え？　なになに？
これ、企画じゃないの？
早く言ってよ〜😱