#創作大賞いまさら感想「さよなら炒飯!」
いまさら、です。すみません。
でも、意外と感想記事が少ないのでおすすめします。
今からでも読んだほうがイイヨ。
実は、最初の話だけ7月に読み、あとは応援期間も終わったつい最近読みました。なぜか。
「少なくとも中間は通る作品だから慌てて読んで応援しなくてもいい」と思っていたのです。もしかして、他の方も同じ考えかしら。
昨年の創作大賞も、そんなペースで読んでいました。
けれど今回、読み始めたら止まらなかった作品がコチラ。
山羊的木村さん「さよなら炒飯!」
「さよチャー」です。
長い!
14万字に収めるのが大変だったようで、ずいぶん推敲で削られたのだとXのポストを見たような?
たしかに、好きな映画が金曜ロードショーになったような違和感もときどきある。
「ここで何かシーンがカットされてますよね?」のような。
*
主な舞台は大手町。ランチは炒飯しかない中華料理屋。
今年の4月に書かれた「街中華のマトリックス」を読んでいた人は、脳内で再現される厨房の音と匂いに誘われ、迷わず暖簾をくぐったことだろう。
怪しげだけど可愛さもあるヤン君と、俺は「朔ちゃん」。二人が何か騒動を巻き起こす、巻き込まれる話だろうか? 私はミステリーが大好きだ。どんなミステリーなのだろうと読み進めると、話は高校時代に遡る。
野球部だ。野球はよく分からない。分からないけど話は面白い。会話が小気味よい。キャラの表情が目に浮かぶ。嶋津みたいな奴いたよね。いや、いたかな?
でも高校時代の話が…長い。炒飯はどこ行った? もうサヨナラしちゃったのか? 青春時代の彼らにとっては大きな事件も起こる。けど、それがミステリーにどう繋がるのだろうと思う。まだ全容が見えない。
そして話は現代に戻る。
お腹が空いた。ちょうど目の前にある街中華に入って「さよチャー」の続きを読もう。ラーメンを頼みたかったのに、この店は炒飯しかない。どうしようか悩んでいると耳元で何かささやかれて炒飯をオーダーする。
本は読みたいがサラリーマン達の声がアチコチから聞こえて集中できない。そんな雑音の中に、何か重要なメッセージが紛れているようで、それがときおり耳に残る。
それにしても「さよチャー」はこれから何が起こるんだろう?
いや、考えなくていい。流されろ。
人に判断を任せろ。その方が楽だ。心地よい。
ノイズまみれの誰かが囁く。
朔ちゃんや嶋津なら、その音声も漏れなく聞き取って文字起こしするのだろうか。私は考えずに、皿に盛られた物語をひたすら口に運んだ。
話は思ってもなかった方向へ進んでいった。じわじわと。知らない世界を見せられた。ワクワクした。そして一気にからめとられて堕ちていく。いや、そこから這い上がる。それだけでは終わらない。
そして気づくのだ。
高校時代、野球で熱くなった日々が、あの時、どんな思いで、何をして、何をしなかったか。
全て必要なピースだったんだ、と。
私は高校時代の彼らを横目で見ながら育ち、ビジネス街の彼らとすれ違いながら、地味に毎日働いていた。
その自分が、今、この瞬間
彼らと一緒に ロケンローしていた
そんな気がした。
そして最終話の読了後に激しく思うのだ。
「さよチャー」は、長い。でも、
推敲でやむなく削った部分も、全部読みたい!!
ネットで14万字って限界の数字なのだろうか。
でも、書籍にしたら普通に読める長さ。
むしろ、これはもっとちゃんと完成版を読みたくなるのだ。
彼らの物語の中に、もっと居続けたいと思った。
これは、書籍化してくれぇ~
相変わらず、感想になってねぇぞ~と反省しつつ、でも自分なりのペースで書いてみました。
心に響いた文章が、あちこちにあったのですけど、それが何話にあったのか探し出せなくて💦
私が一番心に残ったテーマ的な、問いかけだけ、さり気なく文章に盛り込んでみました。
山羊的木村さん、相変わらずカッコ良くて、最高だぜ。
ロケンロー!