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お試しパグのすけ(2)

と、いうことで!(どういうことで?)

有料記事、その(2)行くよ!

でも、さすがにこれで有料なのは申し訳ないので、「有料だけど全文読めます」パターンです。ちょっとやってみたかっただけです。
本当に、払うなよ。払うなよ!🤣

募金したい人は、してもいいです笑

3か月間ほど、別名で note 活動しておりました。
そのアカウントはすでに削除しましたが、PCに残っていたデータをそのまま腐らすのは勿体ないように思い、当時書いた「毎週ショートショートnote」の投稿作5つをはりつけて投稿いたします。

つまんなかった作品は永久お蔵入りですが、がんばって作ったヘッダー画像が綺麗だから載せたくなったものもあります。

では、行ってみよう!


1,俺たちネコクインテット(2023.2.5 お題「ネコクインテット」)

いよいよ全国大会だ。

ミーはバスを降りると肩のチェロケースを担ぎ直し、今日の会場となるホールを真正面から眺める。
優勝できなくてもいい。だが絶対に入賞するとネコ仲間に誓った。
何年も練習を積んだんだ。練習通りに演奏できれば、絶対に入賞できるはずだ。今度こそ。

「爆弾予告で大会が一日延期と聞いたときニャアどうなるかと思ったけど、昨日より調子が良くてかえってよかったニャ」
ピアノのタマは口角を片方あげて言った。

「他の奴らも一日多く練習してるんだ。油断するにゃよ」
第ニヴァイオリンのクロはいつも冷静だ。

「よし! 行くにゃ!」
ビオラのミケの掛け声に合わせ、俺たち五人は颯爽と入り口に向かって歩き出した。一歩ごとに緊張が増し、鼻息が荒くなる。毛が逆立つのが分かる。

俺たちが、歴史を変えてやるんだ。

ところが入り口の扉に鍵がかかっている。
「到着が早すぎたかにゃ?」
俺は昨日のメールを確認する。

差出人アドレスは、nezumi.jp だった。 


(410文字)


2,名探偵ボディビルディング(2023.2.12 のお題)

「キレてる、キレてる!」
「上腕二頭筋 チョモランマ!」

所長がビキニパンツで得意のポーズを決めるたび所員の江崎君と私が声を張り上げる。
ボディビルの醍醐味は、この掛け声にあるともいう。

とはいえ築60年のビルヂング。
「探偵事務所」の窓からこんな声が漏れたら相談者も二の脚を踏むに違いない、のに。

「ナイスみたらし団子!」
私の渾身の掛け声がお気に召さなかった所長の胸筋がぷるんと落ちた。
「森永、みたらし団子はナシだろ」
「でもテカテカ具合がいいかと」
「もっと強そうなのくれよ。でないと謎が解けん」

そう。
所長はボディビルの掛け声を浴びると何か閃くらしい。

本日は、所長の机の引出しから忽然と姿を消した「ゴディバ盗難事件」の謎を解くと息巻いている。

所長のシックスパックに江崎君が叫ぶ。
「その板チョコ、ひとかけ食べたーい!」

所長の三角筋で私が叫ぶ。
「よっ、三角チョコパイ、うまそー!」

そこで所長は閃いたようだ。

「チョコ盗んだの、お前らだろ?」

(411文字)

3,ヘルプ商店街(2023.2.26 のお題)

数年前までは限界集落とまで言われた町だった。
常にシャッターが降りている店ばかりだったが「こども110番」の看板はみな掲げていた。

ある年、連れ去りから子供を助けた元金物屋がバズって有名になると、暇を持て余していた老人たちは、こぞって子供を見守りだした。
見守るだけではなく
元教師は空き店舗スペースで宿題を見て
元本屋は児童図書を自由に貸し出し
元玩具屋は店先でプラモデルを作らせ
元スポーツ道具店も公園でボールを好きに使わせた。

不動産屋は空き家を子持ち家庭に安価で貸し
揚げ物屋は子持ち家庭にコロッケをサービスし
花屋は毎週切り花を子供の数だけ無料提供し

食事処には必ずお子様メニューが用意され
カフェにも必ず子供用スペースが併設され
ラーメン屋も居酒屋も例外ではなく
薬局には元看護師が集まって保育所を開設した。

生きがいを見つけた老人達の医療費は減り
若いカップルの転入者が増え
いつのまにか町は活気で溢れた。

という商店街が、どこかにないかな。

(410文字)

4,ダウンロードファーストクラス(2023.3.5 のお題)


『ダウンロードを開始します』
インジケータが動きだすと、オレの心は高鳴った。
最近噂の、最新技術のバーチャル旅行。
三年前、金遣いの荒い俺に愛想を尽かして北海道に帰ってしまった嫁と息子に、これで会いに行く。
本来なら、この居酒屋を繁盛させて、迎えに行くつもりだった。
なのに……コロナだ。
赤字続きで普通の生活もままならない。

もう限界。今日で店じまいだ。
だが、ずっと真面目に、爪に火をともすように節約して生きてきたんだ。
二人を迎えに行く気分くらい味あわせてくれてもいいだろう?
死ぬ前に一度くらい贅沢気分でファーストクラスに乗ったって、バチは当たらないだろう?
一張羅を着て髪を整え、座椅子に座ってVRゴーグルをつければ、もうファーストクラス。

よし。
ドキドキしながら離陸を待つが、いつまで待っても始まらないことを不思議に思い、使い古したAndroidの画面を確認する。

『ダウンロードに失敗しました。お使いの機種が対応しているかご確認ください』

(413文字)

5,星屑ドライブ(2023.3.12 裏お題)

「わぁ! キレイ」
彼女はタワマン最上階の窓辺に広がる夜空を眺めて言った。

ここで「君の方が綺麗だよ」なんて言った方がいいのだろうか。いや、そんなベタな返しはさすがに求めてないだろう。
ボクも、都会でもはっきり見えるようになってきた無数の星屑たちを黙って見上げる。

「あれは、何て名前の星かしら」
シャンパングラスを持ったまま、彼女は上目遣いでボクに問いかける。
「あれは……アークトゥルス。次に明るい、あっちの星がスピカ」
彼女はうっとりとした眼差しでボクを見る。
「今見える、あの光は大昔の光なのよね。神秘的だわ」
彼女は酔っているのか、少しボクの腕にもたれかかるようにして呟いた。
「そうかな」
「え?」
「まわりにある沢山の星屑は、ここ数十年の光だ。世界中の人間が破棄したコンピュータのドライブたちだよ。宇宙に捨てても捨ててもキリがない。飽きっぽい君みたいな人間のせいでスペースデブリもここまではっきり見えるようになったらもう……」

(408文字)


個人的には1,3,4番目が好き


いかがだったでしょうか。

本日は懐かしいお題にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

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