二ホンミツバチ巣箱の作り方（安価・簡単・とても良い）

2024年8月31日 16:50

私は来良（ライラ）、皆さんがとても良いニホンミツバチ巣箱を作ることが出来るように案内役を務めさせていただきます。

巣箱は余裕を持って早めに作っておきましょう。分蜂時に慌てないように。
（みだしの椿の枝に出来た分蜂蜂球写真は会員の方からの提供です）
二ホンミツバチを飼育したい方はとても多くいらっしゃいますが、それには森や林や街中に自然に住んでいる蜜蜂を自ら捕獲しなければなりません。
二ホンミツバチ蜂蜜は普通の蜜蜂と違います。二ホンミツバチが数か月かけて巣箱の中で熟成した発酵蜂蜜といえるほどの素晴らしい蜂蜜なのです。そのため蜜蜂特有の物質が180種以上含まれ、乳酸菌も150種以上確認されていますが、乳酸菌は100種類くらいしか解明されていないのです。もちろん含まれている物質の効能もよくわかっていないものもありますが昔から体に良いことだけはどこの人々もわかっていました。そんな蜂蜜を自分で採蜜したいと思う方は最近大変多くなってきております。
しかしそれには大きなネックがあります。巣箱の値段が高いことです。巣箱を購入する場合に２段組で1万円以上しています。中には2段組で2万円以上のものも普通にあります。蜜蜂が入居して群れが強く、蜜源さえあれば瞬く間に3段、5段となってしまいます。そうするとせっかく入居したミツバチの巣箱はいっぱいになり、巣箱を継ぎ足してあげないと逃げて行ってしまいます。
蜂蜜は蜜蜂にとっては財産であり食料ですからもちろん全ての蜂蜜を持って逃げてしまうのです。また、販売している巣箱が必ずしも二ホンミツバチに住みよい良い巣箱とは限らないことです。

「茂木日本ミツバチ会」では多くの皆様に二ホンミツバチと親しんでいただき、併せて豊かな自然を未来の子供たちに残していただきたく、これまで研究してきた巣箱製作のノウハウをお伝えします。皆さんの庭に二ホンミツバチが来てくれることを願っております。
※重要な一言＝ここでは外寸２６ｃｍの重箱式巣箱の製作を行います。なぜ２６ｃｍかというとそれは二ホンミツバチの巣箱の内寸（空間）がどれくらいが適しているのかということを沢山の資金を投じて多くの蜜蜂飼育者から情報を集めたりして調査した方々がおりました。その結果、板の厚さを１０ｍｍ～２５ｍｍのいずれに変えても外寸２６ｃｍにすればミツバチに適した巣箱内の大きさが確保できるという結果が出てきたのです。ということは巣箱材料としての板の厚さが異なっても外寸２６ｃｍにすれば板厚を気にしないでもとても良い巣箱が作れるということです。なお採蜜は巣箱内の貯蜜量によっては巣箱1箱の高さが高いと1箱でその蜂群の蜂蜜を大量に採蜜してしまって、ミツバチの冬越しが困難になることから貯蜜が少ない群からは採蜜することが出来ない場合があります。そのため採蜜を少なくしてミツバチを生かしておくために巣箱の高さを１２～１８ｃｍにすると多くの群から容易に採蜜することも出来ます。全国の年間採蜜量の平均値は1群１．７５ｋｇという調査結果があります。

１巣箱作成上の注意点・検討すべき事項
　下記表を参考に巣箱製作にトライしてください。この表は一般的な考察　に基づいています。

２　巣箱を製作してみましょう

（１）巣箱材料の確保と切断、組立て（上記表から杉野地板を選びました）

① 板材の選び方
ここではホームセンターなどで一般的に販売されている杉材（野地板）、長さ１８２ｃｍ、板厚１２ｍｍ、板の巾１８ｃｍを使用して、待箱1組（2段）を製作する説明をします。野地板は5枚1組で販売されているのが多いです。誤差が数ミリありますので注意して下さい。値段は1500円前後です。今回選んだ板はほとんどのホームセンターで販売されていますのでこれから巣箱を製作しようとする初心者の方には入手しやすい材料です。

② 電動工具の選び方
電気ノコギリは初心者の方にはお勧めできません。自分で板を切断・加工したい方にはジクソーをお勧めします。巣門等細かい部分も簡単に加工することが出来ます。電動ドライバーは小型のものでドリル刃やドライバービットがセットになっているものをお勧めします。どちらもホームセンターや通販サイトのアマゾンなどで5000円前後で販売しています。プロではないので小型で安いもので十分です。電動ドライバーはインパクトでないほうが締め付けが調整出来て便利です。巣箱数組をとりあえず製作してみたいという方は、先走って高い電動工具を買うことを避け、ホームセンターで１カット５０円位で板を切断してくれますのでそちらを活用してはいかがでしょうか。巣門は小さなノコギリと小刀で自分で作ってください。

③ 板を切断してみましょう（2段重箱巣箱の場合）
　ア　巣箱前面と背面用～長さ２６cm　４枚
　イ　巣箱左右用～２６ｃｍ－（板厚１２ｍｍ×２）＝２３．６cm　４枚
　　　※板厚は１３ｍｍもあるので必ず確認してから切断する事
　ウ　前記アで切断した板１枚を下段の前面扉用に切断加工
　　　　１８ｃｍ×１２ｃｍと１８ｃｍ×５ｃｍに横にカットする

　④ 組み立ててみましょう（正方形に作ること、少しの隙間は気にしない）
　　組み立てる際のネジは木割れを防ぐためにスリムネジ（太さ3.3mm、
　　長さ40~50mm）をお勧めします。その他に巣箱1箱について扉開閉用の
　　蝶番1個、扉を閉めた時の固定用のための２０～２５ｍｍのネジ２本を
　　用意してください。
　　※下の写真は巣箱下段の組み立て完成図です。
　　　（巣箱の前後と左右のカットを同じにしたほうが切断が簡単ではない
　　　　かとの意見があると思いますが、そうしないのは開閉扉を初心者が
　　　　簡単に作ることが出来るからです。）

※下の写真は巣箱上段の完成図です。中央に巣の脱落防止棒が入っています。脱落防止棒は竹、木、ハンガーの金属でも問題ありません。十文字１個で心配でしたら太くしたり、井桁や2重にするなど自由に行って下さい。高さ１８ｃｍ以上の巣箱の場合は十文字1個ですと夏の暑い日には巣が落下する場合がありますので注意して下さい。

（２）巣箱天板と底板の作成

天板と底板の材質は特に選びません。ベニヤで十分です。
・天板の寸法は巣箱のサイズと同じか少し大きめサイズ
・底板の寸法は巣箱のサイズより１０ｃｍ以上大きいほうが巣箱を載せた
　ときに安定します。
・天板は四隅をネジ或いは全体を養生テープで止めます。
　底板は一切留めません（夏に5ｍｍ程度の薄い板を底板と下段巣箱の間に
　挟んでスムシ防除や巣箱内の蒸れ防止等を行う場合があるからです～別
　の機会に説明）。

（３）巣門（蜂の出入り口）の製作（巣門の高さはとても重要）

※巣門の横幅は15～20ｃｍで十分ですが高さは制限があります。
　高さは５～６ｍｍ位がベストです。５ｍｍ未満及び７ｍｍ以上は
　好ましくありません。

（４）巣箱の完成
下の写真は巣箱の完成品です。巣箱が完成したら必ず内外側全体をバーナーで焼くか、墨汁を薄めて全体に塗ってください（真黒くしないこと）。
その理由は、防腐と板のにおい消しです。蜜蜂を捕獲するため待箱を仕掛ける場所は広葉樹の木陰が最良な場所です。入口は東か南に向けてください。箱の内側には「二ホンミツバチの蜜ロウ（販売しています）」をぬっておきましょう。また、金両辺ランなどのミツバチ誘引植物や物質が必要です。

※１　巣箱上下と天板を止める場合は養生テープ（粘着布及び紙テープは
　　　使わないこと）又は巣箱左右に板を当ててネジ止めしてください。
　　　天板も四隅をネジ止めしてください。但し養生テープだけでは巣箱
　　　が貯蜜の重さに対して経年劣化などで耐えられない場合があります
　　　ので巣が大きく成長した場合にはネジで固定したほうが無難です。
※２　巣箱上段と天板の間の高さ５ｃｍ位の箱は「アカリンダニ防除用」
　　　のものですがミツバチを捕獲する場合には必要ありません。
　　　この箱の使い方は別の機会に説明します。