金沢ナイトミュージアム:「聴こえる温度」@泉野図書館
夜の図書館の中、オリジナル物語の朗読、そして生のスキャットやギターの音楽、そして光に導かれて、図書館内を歩きながら、あちこちでダンサー二人のパフォーマンスを鑑賞する・・・
「聴こえる」と「温度」という、普通は使わない表現がタイトルとして使われてたけど、終わった後に、なるほど~と思わせるタイトルでもありました。
夜・・・昼間はこのフロアで本を読む人、人の行き来、子供達の行ったり来たりがあるわけど、このフロアには人の体温が満ちていて、温かく光に満ちていただろう。
しかし夜は、人の姿はなく、静まっていて、本も人も動かない・・・体温も感じない、温度も感じないはずの空間・・・だけど、物語は夜だって動いている・・・この日の夜は、誰かが物語を読んでいる。そうすると空間だって色を帯び、そこにダンサーが動いていくと、空気が動き、熱を発したり、熱を帯びたり・・・鑑賞している私たちも空間のどこかに人の温かさを感じていく・・・
ダンサーお二人が時にガラス越しだったり、至近距離だったり、外だったりと・・図書館の空間を自在に使って動いていく中、時折挟まれるスキャットが「ああ、生の、ライブの声だ」と気づくと、ちょっと私も体が熱ってくるような感じになった。
夜の図書館の中、私たち鑑賞者たちも光に導かれ、動いていく。図書館ってふんだんに椅子が置いてあるから、ソファに座ったり、椅子に座ったり・・・で、そのすぐ近くをダンサーさんたちが自在に動いていく・・・どの人がどの椅子に座るなんて決まってないから、ダンサーさんの動きも即興的だ。ほんとにすぐ側でターンされたり、私の座ったすぐ隣でソファの上で逆さまになってたりとか、呼吸も静かでほんとに柔らかい動きだったので、何かの「精」が「空気」のように私たちの間を流れて動いていった・・・ようにも思えた。
ざわついていた心や感情が静かに夜に溶け合っていき、言葉の中に静かに着地していく。それをそっと寄り添うように見てくれる「存在」があって、見届けて、また、ふわっと消えていく・・・そんな時間でもありました。
最初はただ上を滑っていくような感覚で聞いていた朗読される物語も、次第に、私自身の気持ちの中に落ちてきて沁みていく・・・そんな不思議な感覚でした。
最近、ほんとに「紙の本」を読まなくなってます・・・
ああ、読まなくちゃ・・・って思ってしまうと、ほんとに頭の中に沁みてこなくて途中で挫折する・・・こういう夜の静かなパフォーマンスを見る機会があると、ああ、聴くっていいなぁと改めて思います。自分で読むのが辛いと思う時でも、朗読を聴くという楽しみ方があるなぁと。
ほんとに良い時間を過ごさせてもらいました。
そして・・・翌日・・・通常月曜日がお休みの「まるびぃ」ですが、この月曜日は祝日だったから開場してました。
すると、私の目の前に、その前の夜に図書館で踊っていたダンサーさんが!!
あ、展覧会を見にこられたんだ~と・・・
思わず、声をかけさせていただきました。
「昨日のダンサーさん・・・ですよね? すごく素敵な時間でした~!」と。
突然だったんで、驚かれたかもしれない・・・でも、とてもうれしそうな笑顔を返してくださいました。
こういうとき、つくづくと思います。「まるびぃは出会いの創出の場」だなぁと。