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館長トーク:長谷川祐子 未来支度の部屋「アートの未来」 レアンドロ・エルリッヒ

金沢21世紀美術館の友の会企画の館長トークシリーズ。

今回のゲストは、”あのプール”の作家、レアンドロ・エルリッヒさん


私はレアンドロさん、あなたと、白鷺美術で、互いに呑んでて、ツーショット写真も撮ったことがあるのだよ、お忘れかい? by キシリア (分かる人は、分かるよね?)

そ~か~、レアンドロさんも50代に突入されたのね~


 金沢21世紀美術館の最大の目当ては「あのプール」と・・・20年経った今も一番人気の作品。

でも、もともとからあの作品をあそこに据える・・・ことにはなってなかった。長谷川祐子学芸部長(当時)がベネチア・ビエンナーレから帰ってきて、突然、それを言い出して、すでに図面も終わって施工に入ろうかという段階まできてるのに!? って現場は混乱、そういうよもやま話は開館当時にも聞いていたけど、改めて、一番最初、ベネチア・ビエンナーレに展示をしたときの「スイミング・プール」の作品を写真も交えてお話しされた。プールを床に埋め込むタイプではなく、上に置く。見た目、白い四角いキューブ、その上に上がってみると水面がある、で、キューブの下部に入口があって・・・という作品だ。

  レアンドロさん自身は、トリックどうの・・・という観点ではなく、建築的な観点からの作品として制作されている。建築が分断しがちな自然・・・でも、建築の中に入りながら自然をも意識させる、自然の移ろいをそのまま見ているのでは気づかないことも、建築の中に入れることで強く認識する・・・

最新作は、岡山の津山・奈義町を中心に行われている「森の芸術祭、晴れの国 岡山」で発表されている作品は、橋を渡るその下とその上に広がる森が、人々を惹きつけている・・・

 いいなぁ、行きたかったなぁ・・・会期がちょっと短いんだよなぁ・・・


  意外にも、割と早めから「質疑応答タイム」を設けてくださった。

 いきなり「真打ち登場」で黒沢伸さんから、20年前、美術館の設計がほぼ終わってる段階になって突然「このプールの作品を入れたい」と言われて、泡食った・・・という当事者の気持ちと、あのサイズになった経緯、床に埋め込む形式にどうやってもっていったか、階段だけじゃなくエレベータ設置よもやま話など、など・・・プールの地下部へのアクセスを展示室の中から・・・という、観光客さんにとっては「なんでやねん! 回りくどいやん!」と言いたくなる方法になった経緯・・・などなどが披露された。


 そして私も手を上げさせていただいた。

「仕事で、あのプールの地上部にずっと立ってる、気温35度の真夏も、寒い寒い冬の日も。雨の日、雪の日、観光客の方からは’なぜ屋内に作らなかったのか’と怒られる。でも、私自身はあのプールの一番の魅力は、あそこが屋外にあること。空、雲、雨の波紋、夜空、金沢の自然の移ろい、それを眺められることこそがこの作品の最大の魅力・・・でも、ネットなどで屋内にあるスイミングプールの作品を見たんですが、屋内にも作られているのですか?」と。


レアンドロさんからは、「テンポラリーの展覧会で屋内に作ったことはある。オランダでは屋内型も作ったことがある。だけど、あの作品をたとえば東京にとか、ソウルにとか、あちこちに作ることはするつもりはない。金沢に行かなきゃ見れない・・・そういう特別感を大事にしたい」と答えられたあと、ねぎらいの言葉もいただきました。「ありがとうございます。ずっとあそこに立って守ってくださって」という言葉。

レアンドロさんは、英語が母語ではないので、非常にゆっくりと話されるので、聞き取れたのもあって、すごくうれしかったです。

別の方の質問でも、どうやら、どこかの誰かが真似て作ってしまってるというものもあったらしく、場合によっては法的なことも考えているともおっしゃってました。


 レアンドロさんの後を追ってのアルゼンチンのアーティストさんが、今度の20周年記念の展覧会「すべてのものとダンスを踊って エコロジー」展の中で大きな作品を展示されるそうです。楽しみです。


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